2022.08.12

王者がその強さを見せた。男子20㎞競歩で前回ドーハ大会に続いて連覇を達成した山西利和(愛知製鋼)。この種目の連覇は03・05・07年と3連覇を達成したジェファーソン・ペレス(エクアドル)以来、3人目のことだった。オレゴンに向けて「自分でレースを支配する」という絶対的な強さを追い求めてきた山西。その理想とする歩きにどれほど近づけたのか。そして、この先にどんな道を歩んでいくのか。メダルを手にした翌日に現地で話を聞いた。
やりたいことをやって勝ち切れた
――オレゴンまでの調整についてはうまくいったのでしょうか。
山西 実は3月の世界競歩チーム選手権(オマーン・マスカット=1時間22分52秒で優勝)の疲労が、思ったより長引きました。イメージしていた調整の流れからは少し後れを取ったと思います。その間、冬にやっていた取り組みを中抜きしながらと言いますか、一段
ずつスキップする感じです。90%くらいでしたが、それで十分だとも言えます。冬の取り組みというのは時間的にも環境的にも100%やるのは厳しい。本番までには(理想の)7、8割くらいは見えていました。
――レースを振り返ると、まずは大きく飛び出し、その後は集団になって歩くかたちになりました。
山西 前半からそれほど遅すぎるペースにしないことを考えていました。気温や湿度の感じから、「思ったより動ける。このペースで行けるな」というのがあります。後半10㎞以降に集団を絞って小さくしている。それをイメージしていました。
――銅メダルだった昨年の東京五輪では他国の選手からマークされ、それを気にしたことも反省材料の一つとされていました。今回は?
山西 まずスタートラインが違います。今回はマークされることを前提とした上で戦略を組んできました。「マークされるかも」という心理状態とは違いがあります。その前提でいると、レース中に「マークされている」という心境になりにくいのです。
――「レースを支配する」強さを求めていたと思います。オレゴンではどれほど達成できましたか。
山西 今回のレースが完成形ではないですし、欲を言えば……というのはもちろんあります。それでもやりたいことをやれて、勝ち切れたのは収穫でした。
―― 池田向希選手(旭化成)との一騎打ちでした。どんな相手でしょう。
山西 粘れるし、ラストもキレ味がある。いるとなかなか大変な選手ですよ。ただ、あまり特定の誰かを意識する戦略はありません。どういう展開になっても、最後の1人になるまで生き残り続けなければならない。欲を言えばもう少し早く抜け出したかったのです
が、その領域に私はまだたどり着けていなかったか、という印象です。
絶対王者になるために要求に応える
――ドーハの金メダルとの違いはどう捉えますか。
山西 ドーハの時は有力選手の一人、つまり「one of them」でした。今回は「彼を中心に進むだろう」と思われる一人になった。そうなると周囲から要求される水準も上がります。それに応えないと勝てなくなるわけです。今回勝てたことで、その要求水準に追いついてきたと思います。
この続きは2022年8月12日発売の『月刊陸上競技9月号』をご覧ください。
定期購読はこちらから
王者がその強さを見せた。男子20㎞競歩で前回ドーハ大会に続いて連覇を達成した山西利和(愛知製鋼)。この種目の連覇は03・05・07年と3連覇を達成したジェファーソン・ペレス(エクアドル)以来、3人目のことだった。オレゴンに向けて「自分でレースを支配する」という絶対的な強さを追い求めてきた山西。その理想とする歩きにどれほど近づけたのか。そして、この先にどんな道を歩んでいくのか。メダルを手にした翌日に現地で話を聞いた。
やりたいことをやって勝ち切れた
――オレゴンまでの調整についてはうまくいったのでしょうか。 山西 実は3月の世界競歩チーム選手権(オマーン・マスカット=1時間22分52秒で優勝)の疲労が、思ったより長引きました。イメージしていた調整の流れからは少し後れを取ったと思います。その間、冬にやっていた取り組みを中抜きしながらと言いますか、一段 ずつスキップする感じです。90%くらいでしたが、それで十分だとも言えます。冬の取り組みというのは時間的にも環境的にも100%やるのは厳しい。本番までには(理想の)7、8割くらいは見えていました。 ――レースを振り返ると、まずは大きく飛び出し、その後は集団になって歩くかたちになりました。 山西 前半からそれほど遅すぎるペースにしないことを考えていました。気温や湿度の感じから、「思ったより動ける。このペースで行けるな」というのがあります。後半10㎞以降に集団を絞って小さくしている。それをイメージしていました。 ――銅メダルだった昨年の東京五輪では他国の選手からマークされ、それを気にしたことも反省材料の一つとされていました。今回は? 山西 まずスタートラインが違います。今回はマークされることを前提とした上で戦略を組んできました。「マークされるかも」という心理状態とは違いがあります。その前提でいると、レース中に「マークされている」という心境になりにくいのです。 ――「レースを支配する」強さを求めていたと思います。オレゴンではどれほど達成できましたか。 山西 今回のレースが完成形ではないですし、欲を言えば……というのはもちろんあります。それでもやりたいことをやれて、勝ち切れたのは収穫でした。 ―― 池田向希選手(旭化成)との一騎打ちでした。どんな相手でしょう。 山西 粘れるし、ラストもキレ味がある。いるとなかなか大変な選手ですよ。ただ、あまり特定の誰かを意識する戦略はありません。どういう展開になっても、最後の1人になるまで生き残り続けなければならない。欲を言えばもう少し早く抜け出したかったのです が、その領域に私はまだたどり着けていなかったか、という印象です。絶対王者になるために要求に応える
――ドーハの金メダルとの違いはどう捉えますか。 山西 ドーハの時は有力選手の一人、つまり「one of them」でした。今回は「彼を中心に進むだろう」と思われる一人になった。そうなると周囲から要求される水準も上がります。それに応えないと勝てなくなるわけです。今回勝てたことで、その要求水準に追いついてきたと思います。 この続きは2022年8月12日発売の『月刊陸上競技9月号』をご覧ください。RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.04.16
コモディイイダがベテラン・木田貴大の現役引退と市川繁貴の退部を発表
2026.04.16
仙台育英高出身の手塚蕾がエディオンに加入! 「恵まれた環境で競技に取り組めることへ感謝」
-
2026.04.15
-
2026.04.14
-
2026.04.14
-
2026.04.14
-
2026.04.14
2026.04.12
5000m山口智規が強さ示す「一つかたちになった」早大後輩の鈴木、増子も好走/金栗記念
2026.04.09
吉川崚がJAL入社!「夢がかなった」一般社員として就職活動し内定 ロス五輪目指し競技続行
-
2026.04.11
-
2026.04.12
-
2026.04.12
-
2026.04.13
2026.03.16
GMO・吉田圭太と100mHの安達楓恋が結婚!「これからも二人で」青学大の先輩後輩
-
2026.03.31
-
2026.03.31
Latest articles 最新の記事
2026.04.16
仙台育英高出身の手塚蕾がエディオンに加入! 「恵まれた環境で競技に取り組めることへ感謝」
エディオン女子陸上部は4月14日、仙台育英高(宮城)出身の手塚蕾が新たに加入したと発表した。 千葉県出身の手塚は佐倉東中では1500mで2年連続全中に出場し、3年時には4位に入っている。仙台育英高では2年時にインターハイ […]
2026.04.16
Onから長距離ランやテンポ走に最適なスーパートレーナー「LightSpray Cloudmonster 3 Hyper」が4月16日より発売開始!
スイスのスポーツブランド「On (オン) 」およびオン・ジャパンは4月16日、革新技術「LightSprayTM (ライトスプレー) 」を採用した新作スーパートレーナー「LightSpray Cloudmonster 3 […]
2026.04.15
世界競歩チーム選手権代表が帰国 マラソン金の勝木隼人「物足りない」ハーフ吉川は「メダル見えるところに来た」
4月12日にブラジルで行われた世界競歩チーム選手権の日本代表が4月15日に帰国し、選手たちが取材に応じた。 男子マラソンで金メダルを獲得した勝木隼人(自衛隊体育学校)。終始、先頭を歩く一人旅のレースに「ロングの練習よりも […]
2026.04.15
吉田克久氏の退職の会が開催 和歌山北高時代にインターハイ総合優勝、ロンドン五輪代表・九鬼巧らを育成
和歌山北高校などで長く指導した吉田克久氏の退職の会が、和歌山市内のホテルで開催された。 吉田氏は大体大を卒業し、和歌山県の教員に。「陸上競技を通して感謝の気持ちを育てる」という信念のもと、生徒一人ひとりと真摯に向き合う指 […]
Latest Issue
最新号
2026年5月号 (4月14日発売)
2026シーズン展望
中距離特集ほか