2026.07.11
今年9月に開かれる名古屋アジア大会での金メダル、そして、来年の北京世界選手権の出場権を狙う男子4×100mリレー日本代表が、7月18日のダイヤモンドリーグ(DL)ロンドンに向かうにあたって練習を公開した。
今回、合宿に参加したのはアジア大会で100m代表に選ばれている多田修平(住友電工)、小池祐貴(同)、リレーメンバー代表の桐生祥秀(日本生命)、小室歩久斗(中大)の4人。男子200mの水久保漱至(宮崎県スポ協)もメンバー入りしていたが不参加となり、ロンドンには林明良(慶大)をサポートメンバーとして帯同する。
今回、驚かされたのがバトンパス。これまで世界大会でメダルを手にしてきた日本伝統のアンダーハンドパスではなく、ベーシックなオーバーハンドパスで測定を行った。
バトンジョグなどの段階から、選手同士やスタッフとも手の上げ方など基礎的な受け渡し動作を確認。この日は、1走・多田、2走・小室、3走・桐生、アンカーに小池を想定し、各区間のバトンパス技術や歩数、タイムの確認を行った。
アンダーハンドパスは受け渡しする2人の距離が近く、失敗のリスクが少なく、走る動作に近いフォームでパスできるため加速しやすいなどがメリットとされる。日本代表は2001年に採用。2008年北京五輪での銀、16年リオ五輪銀など、日本らしい独自のバトン技術で走力で劣る国々を相手にメダルを手にしてきた。
25年の時を経て、オーバーハンドパスを解禁。これについて、信岡沙希重ヘッドコーチは「突然ではなく、議論されてきた」と明かす。
途中棄権だった2021年東京五輪以降、世界大会のメダルから遠ざかる。その間、世界の国々は個々のスプリント力アップはもちろん、バトンパス技術も向上。そうした背景から「アンダーハンドパスがベストなのか。シンプルに探っていかなくてはいけない。そのためにはデータが必要」と考えた。
加えて、男女混合4×100mリレーも正式種目となり、「身長差やリスクを考えればオーバーハンドパス」と判断したこともきっかけになった。
オーバーハンドパスは受け渡しの2人が腕を伸ばしてバトンパスするため、「利得距離」を稼げるのが最大のメリット。一方で、タイミングを逃すと失速につながるリスクもある。
「これは方向転換ではなく、あくまでも可能性を探るのが目的」とし、「最終的に結論を出してロス五輪に向かっていく」ためのトライとなる。
スタッフとさして参加した大前祐介コーチは、指導する早大でも伝統としてオーバーハンドパスを採用。「腕の上げ方など、ベーシックなところを伝えました」とアドバイスを送った。
多田は「僕も今日聞いたところですが、走り方としてもオーバーのほうが好き」と言い、桐生は「前からやってみたかったので楽しみ」と歓迎。人生初のオーバーハンドパスだったという小池も「オーバーにしたらどうなるかと思っていたし、どこかのタイミングでやるべきだとずっと考えていた」と話す。
初代表の小室は「初めてでしたが、先輩たちからは、『速く走ればいい』と言ってくれました」とはにかむ。
アンダーハンドパスよりも走者間の距離が遠く、受け渡しの合図である「はい!」の声出しもいつもより遠くのうちに発する。アンダーで慣れているため「遠かった」と距離感には苦労したが、そこは日本代表たち、「こういう感じね、とイメージしてくれているようだった」と信岡ヘッドコーチは評価した。
今年の世界リレーでは、12位以内に入れず来年の北京世界選手権の出場権を逃した日本。残り4枠は、来年夏までの記録上位から得るため、DLロンドン、そしてアジア大会が重要になる。この2大会についてはオーバーハンドパスを採用する。
「37秒6〜7あたりを出せればプラス4枠に入れる。そのための役割を果たしたい」と桐生。1走の多田は「流れを作ってトップで渡す」と力を込める。
「お家芸と言われていた、日本にしかできないバトンパスを探していきたい」と信岡ヘッドコーチ。日本男子4継の復活、そして世界大会悲願の金メダルへ。試行錯誤しながら、日本独自のリレーを作り上げていく。
【動画】オーバーハンドパスに取り組む四継メンバーをチェック
ロンドンDLに出場する男子4×100mR代表の練習が公開!
— 月陸Online/月刊陸上競技 (@Getsuriku) July 11, 2026
今季は伝統のアンダーハンドからオーバーハンドパスにトライします! pic.twitter.com/V60dGjY50l
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