HOME 海外

2022.07.21

アジア女子に2つの金メダル!!3000m障害はジェルト、円盤投は馮彬が初制覇!/世界陸上Day6
アジア女子に2つの金メダル!!3000m障害はジェルト、円盤投は馮彬が初制覇!/世界陸上Day6

◇オレゴン世界陸上(7月15日〜24日/米国・オレゴン州ユージン)6日目

広告の下にコンテンツが続きます

オレゴン世界陸上後半戦スタートとなる6日目は2種目で決勝が行われ、女子3000m障害ではノラ・ジェルト(カザフスタン)、女子円盤投は馮彬(中国)がそれぞれ初優勝。アジアに2つの金メダルが輝いた。

ジェルトは今年1月末にケニアからの国籍変更が認められた26歳。エチオピア勢や、同じくケニアから国籍変更したウィルフレッド・ムチレ・ヤヴィ(バーレーン)らとハイペースで周回を重ねていったが、その中からラストで段違いの強さを見せた。4人の優勝争いから、残り150m付近の最後の水壕を跳び越えて一気に抜け出し、新たな母国に同種目初の金メダルをもたらした。

Vタイム8分53秒02は、世界歴代3位の自己ベスト(8分53秒65)を塗り替えるとともに、前回大会でベアトオリス・チェプコエチ(ケニア)が作った大会記録(8分57秒84)を大幅に破るもの。ジェルトは、「みんな実力者なので、警戒していました。レースをコントロールしてメダル争いのためでもありますが、前に出るのが好きなので、レースを引っ張りましたが、それは簡単なことではなく、大変でした」と振り返った。

ジェルトに続いてエチオピア勢が2位、3位を占め、ウェルクハ・ゲタチェウが自国新・世界歴代4位の8分54秒61、メキデス・アベベが歴代5位の8分56秒08をマーク。4位のヤヴィは9分01秒31だった。

広告の下にコンテンツが続きます

女子円盤投の最大の焦点は、東京五輪覇者のヴァラリー・オールマンの地元Vなるか。4月初旬に2000年代世界最高となる71m46をマークするなど充実期に入った27歳に、スタンドからも大声援が飛ぶ。

ただ1人対抗できるとすれば、五輪、世界陸上を2度ずつ制すなど長くこの種目をリードしてきた32歳のサンドラ・ペルコヴィチ(クロアチア)かと思われた。しかし、勝負の流れは1投目で決まった。

試技順6番目のオールマンが67m62の好投を見せると、次のペルコヴィチがすぐさま67m74をマークしてトップに立つ。その流れから、試技順8番目の馮彬(中国)がサークルに入った。

鋭いターンから放たれた円盤は、70m付近に落下。記録は69m12。それまでの自己ベストは4月初旬に出した66m00だったが、それを一気に3m以上も更新する会心の一投だった。

広告の下にコンテンツが続きます

これが大きなプレッシャーとなったのか、2投目にペルコヴィチが68m45、オールマンが3投目に68m30へと記録を伸ばしたが、後半3投はトップを脅かすような投げはできなかった。結局、1投目の記録で馮彬が逃げ切り、3大会連続の世界陸上で初のメダルが金となった。

「ベストを尽くすことに集中した。自分の金メダルには驚いているけど、正直なところ記録には驚いていない。このようなレベルの高い戦いを期待していたし、タフな戦いになるとわかっていた」と馮彬。同種目の中国勢としては2011年テグ大会の李艶鳳以来、5大会ぶり2人目のチャンピオンに輝いた28歳は、「このファイナルに出場したすべての選手に大きな敬意を払っている。 これからも彼女たちに追いつけるように努力し、結果をもっと安定させたい」と力強く語った。

日本勢は、女子やり投で2大会連続出場の北口榛花(JAL)が予選B組の1投目にサードベストの64m32を放ち、予選通過標準記録62m50を一発でクリア。全体でもトップとなる記録で、昨年の東京五輪に続く決勝進出を決めた。また、同じB組に出場した武本紗栄(佐賀県スポ協会)も2投目の59m15で全体11位に食い込み、シニア世界大会初挑戦ながらファイナルへ駒を進めた。A組に出場した上田百寧(ゼンリン)は直前に左膝前十字靭帯を部分断裂した影響で思うような投てきができず、50m70で予選敗退となった。

女子5000mでは、1500mに続く2種目めの出場だった田中希実(豊田自動織機)が今季ベストの15分00秒21で9着ながら、プラス通過で2大会連続の決勝に進出。10000mで12位ながら日本歴代2位の30分39秒71をマークしていた廣中璃梨佳(日本郵政グループ)はプラス通過にあと1人及ばず、萩谷楓(エディオン)とともに予選で敗れる。

広告の下にコンテンツが続きます

男子400m準決勝に進んだ佐藤風雅(那須環境技術センター)、ウォルシュ・ジュリアン(富士通)はそれぞれ2組5着(45秒71)、1組6着(45秒75)で決勝には届かなかった。

■6日目優勝者一覧
【女子】
3000m障害 ノラ・ジェルト(カザフスタン) 8分53秒02=大会新
円盤投   馮  彬(中国)        69m12=自己新

◇オレゴン世界陸上(7月15日〜24日/米国・オレゴン州ユージン)6日目 オレゴン世界陸上後半戦スタートとなる6日目は2種目で決勝が行われ、女子3000m障害ではノラ・ジェルト(カザフスタン)、女子円盤投は馮彬(中国)がそれぞれ初優勝。アジアに2つの金メダルが輝いた。 ジェルトは今年1月末にケニアからの国籍変更が認められた26歳。エチオピア勢や、同じくケニアから国籍変更したウィルフレッド・ムチレ・ヤヴィ(バーレーン)らとハイペースで周回を重ねていったが、その中からラストで段違いの強さを見せた。4人の優勝争いから、残り150m付近の最後の水壕を跳び越えて一気に抜け出し、新たな母国に同種目初の金メダルをもたらした。 Vタイム8分53秒02は、世界歴代3位の自己ベスト(8分53秒65)を塗り替えるとともに、前回大会でベアトオリス・チェプコエチ(ケニア)が作った大会記録(8分57秒84)を大幅に破るもの。ジェルトは、「みんな実力者なので、警戒していました。レースをコントロールしてメダル争いのためでもありますが、前に出るのが好きなので、レースを引っ張りましたが、それは簡単なことではなく、大変でした」と振り返った。 ジェルトに続いてエチオピア勢が2位、3位を占め、ウェルクハ・ゲタチェウが自国新・世界歴代4位の8分54秒61、メキデス・アベベが歴代5位の8分56秒08をマーク。4位のヤヴィは9分01秒31だった。 女子円盤投の最大の焦点は、東京五輪覇者のヴァラリー・オールマンの地元Vなるか。4月初旬に2000年代世界最高となる71m46をマークするなど充実期に入った27歳に、スタンドからも大声援が飛ぶ。 ただ1人対抗できるとすれば、五輪、世界陸上を2度ずつ制すなど長くこの種目をリードしてきた32歳のサンドラ・ペルコヴィチ(クロアチア)かと思われた。しかし、勝負の流れは1投目で決まった。 試技順6番目のオールマンが67m62の好投を見せると、次のペルコヴィチがすぐさま67m74をマークしてトップに立つ。その流れから、試技順8番目の馮彬(中国)がサークルに入った。 鋭いターンから放たれた円盤は、70m付近に落下。記録は69m12。それまでの自己ベストは4月初旬に出した66m00だったが、それを一気に3m以上も更新する会心の一投だった。 これが大きなプレッシャーとなったのか、2投目にペルコヴィチが68m45、オールマンが3投目に68m30へと記録を伸ばしたが、後半3投はトップを脅かすような投げはできなかった。結局、1投目の記録で馮彬が逃げ切り、3大会連続の世界陸上で初のメダルが金となった。 「ベストを尽くすことに集中した。自分の金メダルには驚いているけど、正直なところ記録には驚いていない。このようなレベルの高い戦いを期待していたし、タフな戦いになるとわかっていた」と馮彬。同種目の中国勢としては2011年テグ大会の李艶鳳以来、5大会ぶり2人目のチャンピオンに輝いた28歳は、「このファイナルに出場したすべての選手に大きな敬意を払っている。 これからも彼女たちに追いつけるように努力し、結果をもっと安定させたい」と力強く語った。 日本勢は、女子やり投で2大会連続出場の北口榛花(JAL)が予選B組の1投目にサードベストの64m32を放ち、予選通過標準記録62m50を一発でクリア。全体でもトップとなる記録で、昨年の東京五輪に続く決勝進出を決めた。また、同じB組に出場した武本紗栄(佐賀県スポ協会)も2投目の59m15で全体11位に食い込み、シニア世界大会初挑戦ながらファイナルへ駒を進めた。A組に出場した上田百寧(ゼンリン)は直前に左膝前十字靭帯を部分断裂した影響で思うような投てきができず、50m70で予選敗退となった。 女子5000mでは、1500mに続く2種目めの出場だった田中希実(豊田自動織機)が今季ベストの15分00秒21で9着ながら、プラス通過で2大会連続の決勝に進出。10000mで12位ながら日本歴代2位の30分39秒71をマークしていた廣中璃梨佳(日本郵政グループ)はプラス通過にあと1人及ばず、萩谷楓(エディオン)とともに予選で敗れる。 男子400m準決勝に進んだ佐藤風雅(那須環境技術センター)、ウォルシュ・ジュリアン(富士通)はそれぞれ2組5着(45秒71)、1組6着(45秒75)で決勝には届かなかった。 ■6日目優勝者一覧 【女子】 3000m障害 ノラ・ジェルト(カザフスタン) 8分53秒02=大会新 円盤投   馮  彬(中国)        69m12=自己新

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.05.15

日本陸連 パリ五輪代表選考要項を訂正 参加資格得られる参加標準記録に誤り

日本陸連は5月15日、今夏のパリ五輪の代表選考要項の一部を訂正したと発表した。 昨年9月20日に発表されたパリ五輪の「トラック&フィールド種目日本代表選考要項」の中にある各種目の出場資格獲得の条件となる「参加標準記録」を […]

NEWS ダイヤモンドリーグ・ユージン110mHに泉谷駿介エントリー 世界選手権トップ5集結しハイレベルな争いの予感

2024.05.15

ダイヤモンドリーグ・ユージン110mHに泉谷駿介エントリー 世界選手権トップ5集結しハイレベルな争いの予感

陸上の最高峰・ダイヤモンドリーグ(DL)の主催者はこのほど、ユージン大会(米国、5月25日)での一部種目のエントリー選手を発表し、男子110mハードルに23年世界選手権5位の泉谷駿介(住友電工)が登録された。 泉谷の他に […]

NEWS 富士山の銘水のポール・オニエゴが退部 21年箱根駅伝で4区区間賞を獲得

2024.05.15

富士山の銘水のポール・オニエゴが退部 21年箱根駅伝で4区区間賞を獲得

富士山の銘水は5月15日、所属するポール・オニエゴが4月30日付で退社、帰国したこと明らかにした。 オニエゴはケニア南西部のキシイ出身。18歳で来日し、山梨学大に入学した。大学2年までは目立った活躍はなかったものの、20 […]

NEWS セイコーGGP 佐藤圭汰がコンディション不良で5000m欠場 男子110mHでパリ標準突破の野本周成が欠場、ブダペスト代表・横地が追加出場

2024.05.15

セイコーGGP 佐藤圭汰がコンディション不良で5000m欠場 男子110mHでパリ標準突破の野本周成が欠場、ブダペスト代表・横地が追加出場

日本陸連は5月15日、セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京(5月19日/東京・国立競技場)の欠場選手と追加登録選手を発表した。 男子5000mでは室内(1周200m)で日本歴代2位の13分09秒45をマークした佐 […]

NEWS ダイヤモンドリーグ・マラケシュのエントリー発表! 3000m障害三浦龍司が王者エル・バッカリやキビウォトと対決 円盤投世界記録保持者アレクナが参戦

2024.05.15

ダイヤモンドリーグ・マラケシュのエントリー発表! 3000m障害三浦龍司が王者エル・バッカリやキビウォトと対決 円盤投世界記録保持者アレクナが参戦

世界最高峰のリーグ戦・ダイヤモンドリーグ(DL)の主催者は、5月19日にモロッコで行われるマラケシュ大会のエントリーを発表した。 日本からは男子3000m障害の三浦龍司(SUBARU)がただ1人参戦。10日のDLドーハで […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年6月号 (5月14日発売)

2024年6月号 (5月14日発売)

別冊付録学生駅伝ガイド

page top