◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技1日目
「入賞が目標。(同じ福島出身の)円谷幸吉さんも1964年の東京五輪10000mで6位入賞されているので、そこを目指したい」
最初の決勝種目となった男子10000mで、この種目の日本記録保持者・相澤晃(旭化成)が偉大な先輩、そして2000年シドニー五輪7位の高岡寿成以来21年ぶりの五輪入賞へチャレンジした。
序盤でS.キッサ(ウガンダ)が単独で飛び出すも、その他は大集団のスローペースで進む。5000mは14分08秒で先頭が通過し、相澤は14分11秒6の14番手だった。
「スローペースで進みましたが、ペースアップについていく余裕がありませんでした」と振り返るように、はたからではわからなかったが、ペース変化が頻繁にあり、徐々に集団が削られていく。7000m以降は集団最後尾で粘ったものの、8000mを過ぎて苦しくなった。
レースは21歳のS.バレガ(エチオピア)がウガンダ勢を抑えて27分43秒22で優勝。東京の蒸し暑さのなかでも、トップ選手は後半の5000mを13分30秒ほどで走破した。相澤はそのスピードについていけず、28分18秒37の17位。入賞となる8位のタイムは27分52秒03で、ターゲットにしていた入賞ラインには26秒届かなかった。
「想定よりは涼しかったと思うんですけど、湿度もあって、最後は(体力が)持ちませんでした」と相澤。「まだまだ日本の長距離は世界との差が大きい」と、単純なタイムだけでは表せられない海外勢の強さを痛感した。
円谷幸吉と同じ福島県須賀川市出身。その名を冠したクラブ「円谷ランナーズ」で相澤は走り始めた。福島・学法石川高時代は同学年や後輩の遠藤日向(現・住友電工)のほうが結果を残していたが、東洋大に進学し、4年目には学生界のエースになるまで成長した。今回、同じ代表として走った伊藤達彦(Honda)との箱根駅伝2区の激走はファンの心に刻まれている。
本来行われるはずだった2020年の大学卒業時には、東京五輪はおろか日本選手権の参加標準記録さえ破れていなかった。しかしコロナ禍で延期になったことで状況が一変。20年12月の日本選手権10000mで27分18秒75の日本新記録を樹立して優勝し、五輪代表を勝ち取った。
初めて臨んだ五輪でその壁にはじき返された相澤。「もっと勝負できる種目に転向することも考えていますが、10000mを極めて勝負できるようにしたい気持ちもあります」と、マラソン転向も視野に入れつつ、トラックで再び世界に挑戦する気概を持つ。
オリンピックの舞台で感じたのは「楽しむ」こと。「海外選手はレースに臨む姿勢を楽しんでいるように見えました。次は自分も楽しめるように」。原点を見つめ直すきっかけにもなったようだ。この経験が、相澤をさらに強くするだろう。
写真/時事
◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技1日目
「入賞が目標。(同じ福島出身の)円谷幸吉さんも1964年の東京五輪10000mで6位入賞されているので、そこを目指したい」
最初の決勝種目となった男子10000mで、この種目の日本記録保持者・相澤晃(旭化成)が偉大な先輩、そして2000年シドニー五輪7位の高岡寿成以来21年ぶりの五輪入賞へチャレンジした。
序盤でS.キッサ(ウガンダ)が単独で飛び出すも、その他は大集団のスローペースで進む。5000mは14分08秒で先頭が通過し、相澤は14分11秒6の14番手だった。
「スローペースで進みましたが、ペースアップについていく余裕がありませんでした」と振り返るように、はたからではわからなかったが、ペース変化が頻繁にあり、徐々に集団が削られていく。7000m以降は集団最後尾で粘ったものの、8000mを過ぎて苦しくなった。
レースは21歳のS.バレガ(エチオピア)がウガンダ勢を抑えて27分43秒22で優勝。東京の蒸し暑さのなかでも、トップ選手は後半の5000mを13分30秒ほどで走破した。相澤はそのスピードについていけず、28分18秒37の17位。入賞となる8位のタイムは27分52秒03で、ターゲットにしていた入賞ラインには26秒届かなかった。
「想定よりは涼しかったと思うんですけど、湿度もあって、最後は(体力が)持ちませんでした」と相澤。「まだまだ日本の長距離は世界との差が大きい」と、単純なタイムだけでは表せられない海外勢の強さを痛感した。
円谷幸吉と同じ福島県須賀川市出身。その名を冠したクラブ「円谷ランナーズ」で相澤は走り始めた。福島・学法石川高時代は同学年や後輩の遠藤日向(現・住友電工)のほうが結果を残していたが、東洋大に進学し、4年目には学生界のエースになるまで成長した。今回、同じ代表として走った伊藤達彦(Honda)との箱根駅伝2区の激走はファンの心に刻まれている。
本来行われるはずだった2020年の大学卒業時には、東京五輪はおろか日本選手権の参加標準記録さえ破れていなかった。しかしコロナ禍で延期になったことで状況が一変。20年12月の日本選手権10000mで27分18秒75の日本新記録を樹立して優勝し、五輪代表を勝ち取った。
初めて臨んだ五輪でその壁にはじき返された相澤。「もっと勝負できる種目に転向することも考えていますが、10000mを極めて勝負できるようにしたい気持ちもあります」と、マラソン転向も視野に入れつつ、トラックで再び世界に挑戦する気概を持つ。
オリンピックの舞台で感じたのは「楽しむ」こと。「海外選手はレースに臨む姿勢を楽しんでいるように見えました。次は自分も楽しめるように」。原点を見つめ直すきっかけにもなったようだ。この経験が、相澤をさらに強くするだろう。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.12.13
-
2025.12.13
-
2025.12.13
-
2025.12.07
-
2025.11.20
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.13
箱根駅伝15年ぶりV狙う早大が合同取材会 花田勝彦駅伝監督「状態上がっている」 山口智規「大手町を楽しみにしてほしい」
箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を狙う早大が12月13日、埼玉・所沢キャンパスで合同取材会を開いた。 この日は撮影と共通取材、個別取材を実施。共通取材で花田勝彦駅伝監督は「今年もかなり良いかたちで準備ができたと思っています […]
2025.12.13
連覇か、V奪回か?「ニューイヤー駅伝2026」に挑む強豪3チームの意気込み/旭化成・トヨタ自動車・富士通
2026年の幕開けを飾る全日本実業団対抗駅伝(通称・ニューイヤー駅伝)は、第70回の記念大会として1月1日、前橋市にある群馬県庁前をスタートし、上州路をぐるりと回って県庁に戻る7区間・総距離100kmのコースで行われる。 […]
2025.12.13
ロス瑚花アディアが60m7秒48のユタ州立大新記録 東京・城西高出身で今秋から留学中
12月10日に米国・ユタ州でブリガム・ヤング大で行われた同大学招待競技会室内女子60mで、ロス瑚花アディア(ユタ州立大)が7秒48で4位に入った。従来のユタ州立大記録38年ぶりの更新となる。 ロスは東京・駒沢中から城西高 […]
2025.12.13
京山は中西彩葉が1区、下田千紗都が5区 男山三、黒石野もエースを3km区間に起用 全中1500mVの是枝愛香は1区に/全中駅伝・女子
第33回全国中学駅伝は12月14日、滋賀県の野洲市と湖南市にまたがる希望が丘文化公園で開催される。13日には開会式が行われ、併せて区間エントリーも発表された。 女子は1区と5区が3km。2区、3区、4区が2kmで実施され […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025