愛知製鋼が6月19日、東京世界選手権の競歩代表となった山西利和、丸尾知司の会見を開き、本番への意気込みを語った。
男子20km競歩で4大会連続の世界選手権を決めた山西。今年2月の日本選手権では1時間16分10秒の世界記録を樹立した。
世界選手権は19年ドーハ、22年オレゴンと2大会連続金メダルの偉業。だが、23年のブダペストでは厚底シューズの浸透により世界のレベルが引き上がったことなども影響して24位。さらに、五輪でも21年の東京五輪は日本人2番手の銅メダル、昨年のパリ五輪を逃すなど悔しい思いをしてきた。
「去年、パリ五輪に出られず少し悔しい思いをしました」と山西。ブダペスト世界選手権からの2年間は「2年とは思えないくらい自分の中でいろいろなことがあった」とも言う。
パリを逃した際には引退までよぎったが、その後は欧州遠征すると、東京五輪金メダリストのマッシモ・スタノ(イタリア)と交流を深めるなどし、心境にも変化が。厚底シューズへの対応も進み、今年、進化を遂げて戻ってきた。
「1、2年でさまざまな経験をして、出会いや支えがあった。少し考え方も変わりました。変化しながら迎える最初の世界選手権。1回目(ドーハ)に近い」と心境を明かし、「経験を深みとして新たな表現として形にできれば」と語る。
日本選手権以降は本格的に欧州転戦し、5、6月は世界トップウォーカーと同じスケジュールをこなした。ワルシャワ、マドリード(10km)、ラコルーニャと、WA競歩ツアーを3戦3勝。ワールドランキングでも1位になった。
技術面では「大会ごとにばらつきがありますし、ロス・オブ・コンタクトのレッドカード、注意について多いと感じています。練習でも平均点が少し低い」と課題に挙げるが、海外勢からの“山西包囲網”が激しくなるなか「勝てたことは自信になります」と収穫になった。
特にラコルーニャでのレースでは「難しさを感じました。自分でレースを作らないと勝たせてもらえないと感じましたし、本番でもそういった局面はあると思います」とイメージを膨らませる。特に「レース後半のバリエーション、引き出しは増えている」と手応えをつかんでいた。
転戦を終え、「1ヵ月ゆっくりして、7月20日から1ヵ月、イタリアに行く予定」だとし、そこから暑熱対策をしながら9月の東京世界選手権を迎える。
世界記録保持者の重圧は「ないとは言わない」。だが、「順位がすべてではなく、過程やプロセスというところが自分にとってポジティブで、重圧から距離を置ける」。五輪を逃すなど悔しさを味わい、多くの出会いがあったからこそ、よりそこにフォーカスできるようになった。
それでも、実業団として歩いているからこそ、たくさんの応援を受けるからこそ、結果はもちろん求めていく。
「金メダルを目標にしています。ここからの準備期間でまた新たな学び、経験があるとのでそれを大事にして、迷うこと、うまくいかないことにも丁寧に立ち会って、それが9月に実を結べばいい」
21年の東京五輪、そして23年ブダペスト世界選手権で味わった2つの挫折。“東京”と“世界陸上”の借りを一緒に返す絶好のチャンスまで、あと3ヵ月を切った。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.08.05
-
2025.08.05
-
2025.08.05
-
2025.08.05
-
2025.08.05
-
2025.08.05
-
2025.08.05
2025.08.03
桐生祥秀が9秒台、守祐陽も標準突破 東京世界陸上100m代表争いは?
-
2025.07.24
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.08.05
【選手名鑑】森下 大地
森下 大地 MORISHITA DAICHI KAGOTANI 1994年7月9日 氷丘中(兵庫)→滝川高(兵庫)→筑波大 砲丸投:18m30(25年) ■代表歴 ― 【年次ベスト】 砲丸投 11年(高2) 12m98 […]
2025.08.05
【選手名鑑】小林 美月
小林 美月 KOBAYASHI MITSUKI SNS: > 日体大 2005年3月16日 金井中(東京)→明星学園高(東京) 棒高跳:4m31(25年) ■代表歴 ― 【年次ベスト】 棒高跳 19年(中3) 3m10 […]
2025.08.05
【選手名鑑】寺本 葵
寺本 葵 TERAMOTO AOI 天理大 2003年7月22日 夢前中(兵庫)→滝川二高(兵庫) 400m:53.14(25年) ■代表歴 ― 【年次ベスト】 400m 20年(高2) 59秒19 21年(高3) ― […]
Latest Issue
最新号

2025年8月号 (7月14日発売)
詳報!日本選手権
IH地区大会