◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)2日目
パリ五輪・陸上競技2日目のイブニングセッションが行われ、女子5000m予選1組に出場した田中希実(New Balance)は15分00秒62で9着となり、予選敗退となった。
「決勝しか狙っていなかったので、現実が受け入れられない状態です」
田中はそう言葉を絞り出し、唇を噛んだ。
決勝進出条件は上位8着まで。世界記録保持者のフェイス・キピエゴン(ケニア)、2連覇が懸かるシファン・ハッサン(オランダ)、2022年オレゴン世界選手権覇者のグダフ・ツェガイ(エチオピア)と強豪ぞろいの中で、「確実に前回よりも進化できている自負はある」と自信を持って臨んだはずだった。
スタートからスローな展開となり、山本有真(積水化学)が飛び出す。それは追わずに、田中は第2集団前方をキープした。
そして、集団を引っ張りながら3400m手前で山本をかわしてトップに立つ。集団の人数が徐々に絞られ、残り1周の時点で9人。あと1人を振り切れば、この種目では初の決勝進出となる。
だが、この時点で「ラスト1周の脚が残っていませんでした」。集団を引っ張りながら、「余裕が作れれば良かったけど、引っ張りながらもレースを支配できているかと言うと、そこがなかった」と振り返る。
ラスト300mでキピエゴンにかわされると、集団中盤で残り100mへ。ここからのラストスパートが伸びなかった。集団の最後方、9着でのフィニッシュとなった。
前回の東京五輪では、この種目は当時自己新(14分59秒93)をマークしながらもわずかの差で予選敗退。それでも、1500mで準決勝(3分59秒15)、決勝(3分59秒95)と日本人初の3分台を連発し、8位入賞を果たした。
22年オレゴン世界選手権では800mも加えた3種目出場という偉業。昨年は、ブダペスト世界選手権の5000mで8位に入賞。さらに、日本記録を最終的に14分29秒18にまで引き上げた。
今シーズン序盤は苦しんだが5月のダイヤモンドリーグ(DL)ユージンの5000mで14分47秒69をマークして五輪内定。DLストックホルム1500mでは東京五輪以降で最速となる4分02秒98をマーク。さらに、日本選手権1500mでサードベストの4分01秒44を叩き出して即内定を得た。
世界を飛び回り、さまざまな環境の中で力をつけ、自信をつけてきたはずだった。それでも、「それをうまく出せなかった部分があります」。
「2種目決勝、一つは入賞」という目標は達成できなかったが、まだもう1種目残っている。日本時間8月6日17時に行われる1500m予選に向け、「今年、1500mはまだ不完全燃焼のレースが続いています。今日がダメだったぶん、全部出し切るレースがしたいです」と必死に前を見つめた。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.07.06
田中希実が1500m悠々6連覇! 5000mに続き世界陸上代表内定!/日本選手権
-
2025.07.06
-
2025.07.06
2025.07.02
HOKAの新作レーシングシューズ「ROCKET X 3」が7月2日に新登場!
-
2025.07.05
-
2025.07.01
-
2025.07.04
2025.06.17
2025中学最新ランキング【男子】
-
2025.06.17
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.07.06
混戦の砲丸投・大学1年の坂ちはるが15n76でV! 前回まで4連覇・郡菜々佳に「追いつき、追い越せるように」/日本選手権
◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 3日目 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、女子砲丸投は1投目に学生歴代8位、U20日本歴代4位となる15m76を放った大学1年生の坂ちはる( […]
2025.07.06
田中希実が1500m悠々6連覇! 5000mに続き世界陸上代表内定!/日本選手権
◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 3日目 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、女子1500mでは田中希実(New Balance)が4分04秒16で6年連続6回目の優勝を飾った […]
2025.07.06
サニブラウンがファンの前に登場!「元気をもらえました」写真やサインに応じる
日本選手権のイベントとして行われている日本陸連の「キッズデカスロンチャレンジ」のブースに、男子100mのスターがサプライズで登場した。 今大会に出場していたが、股関節の痛みで予選敗退に終わったサニブラウン・アブデル・ハキ […]
2025.07.06
東京世界陸上マラソン代表・小山直城「いよいよだと実感沸いてきた」 91年大会金メダル・谷口浩美さんから助言も
過去のメダリストのウェアやシューズ、世界選手権の歴史などを展示する世界陸連の「ワールドアスレティックス・ミュージアム(MOWA)が東京都庁内に開設され、7月6日にオープニングセレモニーが行われた。 9月の東京世界選手権の […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会