2023.05.06
◇第10回木南記念(5月6、7日/大阪・ヤンマースタジアム長居)
日本グランプリシリーズG1の木南記念が行われ、男子やり投は﨑山雄太(愛媛陸協)が83m54の大会新記録で優勝した。
会心の一投だった。「やるべきことをやろうと思った」と﨑山。「やりを上下動させないこと」と「クロスステップで左が強くなり過ぎないように」。全体的に「8割くらい」の力感で投げた。
バチッとハマった一投は、これまで80mを2度投げているが初めて「行ったと思った」と振り返る。試合前には「どんなイメージで、どんな軌道で、どこまで飛ばすかイメージした」。
日本歴代5位のビッグスロー。自他共に認めるポテンシャルを秘めていた﨑山は、中学まで野球部ながら姉の影響で高校から陸上に。高校時代は61m06がベストで、同学年の森秀や石山歩の影に隠れる存在だった。しかし、主要大会のタイトルはないものの、日大に進学後は1年目に74m11をスロー。4年時には75m61を投げている。社会人1年目の19年に初めて大台到達となる80m14を投げた。
一方で、そのポテンシャルがあるがゆえに度々、ケガに泣かされた。大学時代には腰椎分離症に苦しみ、東京五輪前には左足首の付け根を痛めた。五輪への挑戦が終わった21年日本選手権後に足首を手術。昨年5月に80m51を投げた時にようやく「ブロックができた」と言う。
同じ環境にいた小椋健司(エイジェックスポーツマネジメント)や北口榛花(JAL)が世界に飛び立つ中で、「自分のほうが行けるのに、という思いがずっとありました。それを発揮できない悔しさのほうが大きかった」。今季はフィジカルよりも技術の安定に注力したのに加えて、精神的にも成長したことが好記録につながっている。
これでようやく本当の意味で「世界」を公言できるところまできた。「年齢的にもいいところに入っているので、世界を狙っていきたい」。まだ2回目以降に記録を伸ばせなかったこともあり、「安定して80mを投げられるように」と課題に挙げる。
誰もが認めるポテンシャルをついに発揮した﨑山。女子に負けじと、日本の伝統とも言える男子やり投を盛り上げる一人に躍り出た。
男子やり投日本歴代10傑をチェック!
87.60 溝口 和洋(ゴールドウイン) 1989. 5.27 86.83 新井 涼平(スズキ浜松AC) 2014.10.21 85.96 村上 幸史(スズキ浜松AC) 2013. 4.29 84.28 ディーン元気(早大3) 2012. 4.29 83.54 﨑山 雄太(愛媛陸協) 2023. 5. 6 82.52 小南 拓人(染めQ) 2021. 4.29 81.84 吉田 雅美(大京) 1990. 7.10 81.73 寒川建之介(奈良陸協) 2020. 7.18 81.63 小椋 健司(栃木スポ協) 2021. 6. 6 81.55 長谷川鉱平(福井陸協) 2016. 5.21
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