◇第99回箱根駅伝・往路(1月2日:東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)
第99回箱根駅伝の往路が行われ、4区で東京国際大のイェゴン・ヴィンセント(4年)が区間新記録を打ち立てて区間賞を獲得した。
大砲は、最後まで大砲だった。
1年時には3区で59分25秒の区間新記録を叩き出せば、2年時は花の2区で1時間05分49秒の、これまた区間新記録。3年時こそ途中の左足首の痛みもあり、区間5位の1時間07分02秒という記録だったものの、ヴィンセントは最後の箱根で最強の留学生の名にふさわしい走りを見せた。
4年間、ともに戦ってきた1区・山谷昌也、2区・丹所健とつなぐも本来の走りができず総合10位で3区へ。白井勇佑も粘りたかったが2つ順位を落とした。ヴィンセントがタスキを受け取った時点で12番目になっていた。
「脚の状態もコンディションも100%ではなかったですし、ほぼ1ヵ月程度で調子を上げなければなりませんでした。エンデュランスのトレーニング(持久系)はしていましたが、それでも練習は十分ではありませんでしたから心配も不安もありました」
万全でなくても、自分の仕事を果たすだけ、最高の走りをするだけ、と淡々とレースを進める。1人抜き、また1人抜く。異次元のスピードで国道1号線を駆け抜けていく。追いつけば、躊躇することなく抜き去っていく。抜かれた選手はただ唖然とするばかり。この光景は、今までもヴィンセントが走る区間では幾度となく見られた景色だった。
気づけば、あっという間に8人をごぼう抜き。記録も速報では史上初となる1時間を切る59分59秒をマーク。正式結果は1時間ジャストとなったが、それでも従来の区間記録を一気に30秒縮める区間新記録で最後の箱根路を駆け抜ける。車に乗る大志田監督からの声にスッと手を上げて応えた。最強留学生の箱根駅伝が終わった。
「区間新記録を出せてとても良い気持ちです。大志田監督からは10kmからペースを守れ、という言葉がありました。目標は60分カット。記録もうれしいです」
少しはにかむようにしてインタビューに答える。ヴィンセントはこれで2区、3区、そして4区と3つの区間記録を保持するという、史上初の快挙を成し遂げた。
勉強熱心で、普段から勉学にも励み、遅い時間まで課題のリポートに取り組むこともあった。恥ずかしがり屋のため、公のインタビューではあまり日本語は話さないものの、日本語自体はほとんど理解しているという。
言葉も違えば文化も違う。衣食住の環境も習慣も違う異国の地。そんな中でストレスなく、陸上に集中することができたのは、同級生で「家族同然の存在」というルカ・ムセンビの存在が大きかった。ムセンビ、そして丹所ら仲間とともに過ごしたこの4年間は、ヴィンセントにとってもかけがえのない時間であったことだろう。
出雲駅伝前に左脚のふくらはぎの肉離れという故障に見舞われながらも、最後の最後まで最強の留学生でありつづけたヴィンセント。大志田監督は「彼がいなければ今の東京国際はない」と功労者に最大限の賛辞を送る。最後はファンに囲まれ、子供たちから写真撮影をせがまれ、それに笑顔で応じていた。
「今後はまずトラックでパリ五輪が目標。その後はマラソンにも挑戦していきたい」。ヴィンセント劇場は、まだ第1幕を終えたばかり。これからもきっと、アッと言わせるパフォーマンスを披露し続けていくことだろう。
文/田坂友暁
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4区 #東京国際大学 #イェゴン・ヴィンセント 選手 1時間00分00秒で自身3区間目となる区間新記録達成です🎉 ↓番組HPでLIVE配信中↓https://t.co/XRZ4NL38vM pic.twitter.com/XEDDeyU4n2 — 箱根駅伝番組公式 (@hakone_ntv) January 2, 2023
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