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2022.12.23

大激戦の予感 4年ぶりV狙う倉敷に佐久長聖、西脇工、仙台育英が争うか/全国高校駅伝展望・男子
大激戦の予感 4年ぶりV狙う倉敷に佐久長聖、西脇工、仙台育英が争うか/全国高校駅伝展望・男子

2022年全国高校駅伝男子の優勝候補チームの選手たち。左から倉敷・南坂、佐久長聖・吉岡、西脇工・長嶋、仙台育英・佐藤蓮

上位をうかがう八千代松陰と埼玉栄

関東大会を2時間3分36秒で優勝した埼玉栄(埼玉)と5秒差で2位の八千代松陰(千葉)も上位を争う力を持つ。

ただ、八千代松陰は関東大会で全員が1、2年生。ここに前回1区8位のエースの綾一輝、3区で日本人2番手の区間6位だった工藤慎作、4区を務めた田中愛睦の3年生トリオが加わり伸びしろは大きい。1区と3区は今回も変わらず、4区は経験者の田中に加え、国体少年B3000m優勝の鈴木琉胤(1年)、インターハイ1500m7位の小河原陽琉(2年)も候補だ。終盤で競り合う展開となれば、初制覇の可能性もある。

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埼玉栄は、国体少年A5000m4位の小山翔也(3年)が牽引。関東大会では1区区間賞に輝いた。また、5000mで小山とともに13分台の本間颯主将(3年)がおり、前回1区の久保田琉月(3年)、3区の松井海斗(2年)は安定している。35年ぶり2回目の優勝を見据える。

2連覇中の世羅(広島)や前回2位の洛南(京都)、同8位の学法石川(福島)、同9位の秋田工(秋田)なども虎視眈々と上位をうかがう。

主力の大半が卒業した世羅は前回7区区間賞の村上響(3年)が今季のエースだ。留学生ジェレミア・カマウ(1年)の実力は未知数だが、伝統の力で史上2校目の3連覇を狙う。高校最高記録を保持する洛南は近畿大会1区区間賞の主将・柴田大地(3年)を中心によくまとまる。インターハイ総合V10を果たしたチーム力は健在だ。

学法石川は3年生4人が軸となる。5000mの平均タイムは4番目を占め、特に大湊柊翔と山崎一吹は5000m13分台。選手層も含め、過去最高の3位(2018年)を上回る力はある。秋田工は前回メンバー4人が残った。同6区区間賞でインターハイ800m・1500m2冠の大野聖登(3年)を擁し、スピードを生かして序盤から上位争いに加われるか。

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前回4位の大分東明はインターハイ5000m王者のダニエル・ディリツ(3年)で流れを引き寄せられるか。近畿大会で洛南に先着して3位に入った智辯カレッジは、国体少年A5000m7位の滝本朗史(3年)、近畿大会3区区間2位の植阪嶺児(3年)の2枚看板が引っ張る。

東農大二は前回2区の徳本陽、3区の原田望睦、5区区間賞の瀬間元輔といった2年生が主力。このほか、関東大会で東農大二に先着した城西(東京)も初出場ながら入賞圏内。5000m13分51秒89の田中純(3年)に注目だ。

九州では四半世紀ぶりの都大路となる熊本工(熊本)。ロードの強さを発揮できれば、3位に入った第47回大会(1996年)以来26年ぶりの入賞もあるかもしれない。また小林(宮崎)も5000m14分02秒11の佐藤愛斗(2年)を中心にチーム力で勝負する。

このほか、5000mの平均タイムが14分19秒の伊賀白鳳(三重)や滋賀学園(滋賀)も入賞争いに加わる力がありそうだ

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上位を争うチームはいずれも優勝タイムを2時間1分台と予想。7年前に世羅がマークした大会記録(2時間1分18秒/高校国内国際最高記録)や高校最高記録の更新はなるか。また、過去2回の8位入賞は前回が2時間3分50秒、前々回が2時間4分18秒と高速化が進む。コンディションや序盤の展開次第では、入賞ラインが2時間3分台前半まで引き上げられる可能性もある。

有力選手の区間配置次第だが、エースの集う1区は、2019年(第70回)に佐藤一世(八千代松陰/現・青学大)が出した日本人最高記録(28分48秒)が焦点となりそう。また、3区でも2020年にコスマス・ムワンギ(世羅/現・中国電力)が打ち立てた区間記録22分39秒や、前回(21年)佐藤圭汰(洛南/現・駒大)がマークした日本人最高記録(23分10秒)も更新されるかもしれない。その辺りの記録水準が上がれば、全体のタイムにも影響するだろう。

次のページ スタート時間と各区間距離、大会記録等

全国高校駅伝が12月25日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)発着で行われる。47都道府県の代表がクリスマスの都大路でタスキをつなぐ。ここでは7区間42.195kmで競う第73回大会の男子のレースを展望する。

主力の区間配置に注目

今季のトラックレースの成績、駅伝でのタイム、経験値などを踏まえると、優勝争いは例年以上の混戦が予想される。都道府県大会で今季トップの2時間3分14秒をマークした前回6位の倉敷(岡山)と、11月13日には5000mで破格の高校記録(13分22秒99)を打ち立てた吉岡大翔(3年)を中心に分厚い戦力を持つ前回5位の佐久長聖(長野)が競り合いそう。さらに、前回7位の西脇工(兵庫)、前回3位の仙台育英(宮城)も強力な戦力を持つ。 倉敷は6位だった前回メンバーのうち、1区4位の南坂柚汰(3年)、3区を23分02秒で走破して区間3位のイマヌエル・キプチルチル(3年)、1年生ながら4区で先頭争いを繰り広げた桑田駿介(2年)が今回も主軸となる。2年連続で1区南坂、3区キプチルチルの可能性が高く、実績のある南坂が先頭から大きく遅れることは考えにくい。3区までをセットで考えれば、前半はライバル校に先行する力がある。4区終了時で後続に20~30秒差をつけて主導権を握るのが理想だ。1区で流れをつかみ、45年連続45回目の節目を4年ぶり3回目の優勝で飾るか。 佐久長聖は前回1区2位の吉岡が牽引。今季はU20世界選手権5000mで7位に入った。この他、インターハイ3000m障害2位の永原颯磨と、山口峻平の2年生2人も5000m13分台。さらに、前回3区を務めた長屋匡起(3年)やインターハイ1500m2位の松尾悠登(3年)らが控える。吉岡は2年連続1区だけでなく3区出走の可能性もあるが3区終了時でトップと10~20秒程度の差でつなぐことができれば、逆転は十分可能。5年ぶり3度目の日本一と高校最高記録(2時間1分59秒)奪還に近づく。 西脇工にも5000mで高校歴代6位の13分37秒46の記録を持つ長嶋幸宝(3年)という大黒柱がいる。さらに、前回4区の稲見峻、同7区の新妻玲旺、主将・藤田大智の3年生カルテットが強力だ。長嶋も吉岡同様、前回担当した1区だけでなく3区へ出走する思いを持っている。こちらもチーム状態、距離や上り下りの適性などを含めて区間配置が決まるだろう。優勝となれば20年ぶり9回目だ。 前回3位のメンバー4人が残る仙台育英は、3年ぶり8回目の頂点と、女子とともに3年ぶり3回目の男女Vがターゲット。5000mのタイムでは、13分37秒49の留学生、ボニフェス・ムテチ(3年)以外の日本人選手は全員14分台。だが、上位7人の平均タイムでは3番目につけるなど層は厚い。インターハイ5000m16位の後村光星(3年)や、前回7区区間2位の佐藤蓮(3年)が長距離区間を担うだろう。 倉敷や仙台育英は留学生区間でリードしたいところ。特に倉敷は前回、3区だけで佐久長聖に1分03秒、西脇工には1分06秒差をつけた。対して、日本人のみのチームはエースの出走区間に注目だ。ただ、1区は、各校の日本人エースが集結するだけに留学生のいるチーム相手に大量リードをするのは容易ではない。留学生と同じ区間に配して少しでも接戦に持ち込むことが理想だろう。その場合、エースに代わって入る1区や、2区の選手が先頭付近でレースを進められるかがポイントだ。 次のページ 上位をうかがう八千代松陰と埼玉栄

上位をうかがう八千代松陰と埼玉栄

関東大会を2時間3分36秒で優勝した埼玉栄(埼玉)と5秒差で2位の八千代松陰(千葉)も上位を争う力を持つ。 ただ、八千代松陰は関東大会で全員が1、2年生。ここに前回1区8位のエースの綾一輝、3区で日本人2番手の区間6位だった工藤慎作、4区を務めた田中愛睦の3年生トリオが加わり伸びしろは大きい。1区と3区は今回も変わらず、4区は経験者の田中に加え、国体少年B3000m優勝の鈴木琉胤(1年)、インターハイ1500m7位の小河原陽琉(2年)も候補だ。終盤で競り合う展開となれば、初制覇の可能性もある。 埼玉栄は、国体少年A5000m4位の小山翔也(3年)が牽引。関東大会では1区区間賞に輝いた。また、5000mで小山とともに13分台の本間颯主将(3年)がおり、前回1区の久保田琉月(3年)、3区の松井海斗(2年)は安定している。35年ぶり2回目の優勝を見据える。 2連覇中の世羅(広島)や前回2位の洛南(京都)、同8位の学法石川(福島)、同9位の秋田工(秋田)なども虎視眈々と上位をうかがう。 主力の大半が卒業した世羅は前回7区区間賞の村上響(3年)が今季のエースだ。留学生ジェレミア・カマウ(1年)の実力は未知数だが、伝統の力で史上2校目の3連覇を狙う。高校最高記録を保持する洛南は近畿大会1区区間賞の主将・柴田大地(3年)を中心によくまとまる。インターハイ総合V10を果たしたチーム力は健在だ。 学法石川は3年生4人が軸となる。5000mの平均タイムは4番目を占め、特に大湊柊翔と山崎一吹は5000m13分台。選手層も含め、過去最高の3位(2018年)を上回る力はある。秋田工は前回メンバー4人が残った。同6区区間賞でインターハイ800m・1500m2冠の大野聖登(3年)を擁し、スピードを生かして序盤から上位争いに加われるか。 前回4位の大分東明はインターハイ5000m王者のダニエル・ディリツ(3年)で流れを引き寄せられるか。近畿大会で洛南に先着して3位に入った智辯カレッジは、国体少年A5000m7位の滝本朗史(3年)、近畿大会3区区間2位の植阪嶺児(3年)の2枚看板が引っ張る。 東農大二は前回2区の徳本陽、3区の原田望睦、5区区間賞の瀬間元輔といった2年生が主力。このほか、関東大会で東農大二に先着した城西(東京)も初出場ながら入賞圏内。5000m13分51秒89の田中純(3年)に注目だ。 九州では四半世紀ぶりの都大路となる熊本工(熊本)。ロードの強さを発揮できれば、3位に入った第47回大会(1996年)以来26年ぶりの入賞もあるかもしれない。また小林(宮崎)も5000m14分02秒11の佐藤愛斗(2年)を中心にチーム力で勝負する。 このほか、5000mの平均タイムが14分19秒の伊賀白鳳(三重)や滋賀学園(滋賀)も入賞争いに加わる力がありそうだ 上位を争うチームはいずれも優勝タイムを2時間1分台と予想。7年前に世羅がマークした大会記録(2時間1分18秒/高校国内国際最高記録)や高校最高記録の更新はなるか。また、過去2回の8位入賞は前回が2時間3分50秒、前々回が2時間4分18秒と高速化が進む。コンディションや序盤の展開次第では、入賞ラインが2時間3分台前半まで引き上げられる可能性もある。 有力選手の区間配置次第だが、エースの集う1区は、2019年(第70回)に佐藤一世(八千代松陰/現・青学大)が出した日本人最高記録(28分48秒)が焦点となりそう。また、3区でも2020年にコスマス・ムワンギ(世羅/現・中国電力)が打ち立てた区間記録22分39秒や、前回(21年)佐藤圭汰(洛南/現・駒大)がマークした日本人最高記録(23分10秒)も更新されるかもしれない。その辺りの記録水準が上がれば、全体のタイムにも影響するだろう。 次のページ スタート時間と各区間距離、大会記録等
スタート時間と各区間距離、大会記録等 ■全国高校駅伝(男子73回、女子34回) 12月25日(日)/京都・たけびしスタジアム京都発着 ●男子→12時30分スタート 〔7区間42.195km〕 1区10km-2区3km-3区8.1075km-4区8.0875km-5区3km-6区5km-7区5km ○高校最高記録 2.01.59 洛南(京都)/2021年全国 ○高校国内国際最高記録 2.01.18 世羅(広島)/2015年全国 ○大会記録 2.01.18 世羅(広島)/2015年 ●女子→10時20分スタート 〔5区間21.0975km〕 1区6km-2区4.0975km-3区3km-4区3km-5区5km ○高校最高記録 1.06.26 埼玉栄(埼玉)/1996年全国 ○高校国内国際最高記録 1.06.04 神村学園(鹿児島)/2020年鹿児島県大会 ○大会記録 1.06.26 埼玉栄(埼玉)/1996年 ■2022全国高校駅伝代表校一覧はこちらをクリック!

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