HOME 国内、大学

2022.09.09

走幅跳・髙良彩花が6m50!「あきらめずに」4年ぶり自己新&35年ぶり大会新/日本IC
走幅跳・髙良彩花が6m50!「あきらめずに」4年ぶり自己新&35年ぶり大会新/日本IC

◇日本インカレ(京都・たけびしスタジアム京都:西京極)1日目

学生ナンバーワンを決める第91回日本インカレの1日目が行われ、女子走幅跳の髙良彩花(筑波大)が、長く止まっていた大会記録、そして過去の自分という2つの壁を打ち破った。

広告の下にコンテンツが続きます

その時は4回目に訪れる。「考えずに勢いのままいけた」。これまで考えすぎてしまっていた助走。今回は無心でスタートして、無心で走った。髙良らしい、美しく、力強い跳躍。大会記録を示す印を超えて着地し、3年ぶり有観客のスタンドから大きな拍手が沸いた。

記録は6m50(+0.7)。さらに大きな拍手が起こる。1987年に磯貝美奈子(群馬大)が作った6m46の大会記録を35年ぶりに更新。それだけではなく、高3のアジア・ジュニア選手権で出した6m44の高校記録であり、止まっていた自己記録を4年ぶりに塗り替えた。珍しく両手を高く上げて喜びを表現する。日本歴代9位、学生歴代5位にランクインする大記録だった。

「4年間自己ベストが出なくて悔しい思いをしてきました。最後の日本インカレで、仲間の前で出せて本当にうれしいです」。この4年間のことを聞かれると、言葉に詰まった。

広告の下にコンテンツが続きます

中学時代からトップジャンパーとして日本一になると、高校時代はインターハイ3連覇。2、3年と日本選手権まで連覇した。高校記録を作ったアジア・ジュニアで優勝。U20世界選手権では日本初の銀メダルを獲得するなど、数々の歴史を作ってきた。

筑波大に入ってからも関東インカレ4連覇などしてきたが、自己記録は長く更新できず。「いろんな思いがありました。周囲の自己ベストに嫉妬したこともあります。高校時代に跳んでしまった。もう跳べないんじゃないか」。それでも、仲間やコーチたちが「大丈夫」「跳べるよ」と声をかけつづけてくれた。その声に背中を押されて、ここまで続けてこられた。

「成長しているのは実感しても、記録が出ないと感じられなかった。でもこうして更新できました。あきらめずに続けてこられたのは自分の強みだと思っています」。何度も試行錯誤しては崩して、また作って。その過程は決して無駄ではなかった。

卒業後も社会人として続けていく予定で、「やっと世界に行きたいといえるところまできた。スタートラインに立てました」。最後のインカレで見せた意地とプライドと勝負強さ。やっぱり、千両役者はひと味違う。再び世界と戦うために。稀代のジャンパー・高良彩花の第二章がここから始まる。

■女子走幅跳学生歴代5傑
6.78(0.8) 池田久美子(福島大3) 2001年
6.58(1.0) 磯貝美奈子(群馬大) 1987年
6.53(1.4) 桝見咲智子(福岡大4) 2006年
6.52(0.7) 高松 仁美(埼玉大4) 1998年
6.50(0.7) 髙良 彩花(筑波大4) 2022年

◇日本インカレ(京都・たけびしスタジアム京都:西京極)1日目 学生ナンバーワンを決める第91回日本インカレの1日目が行われ、女子走幅跳の髙良彩花(筑波大)が、長く止まっていた大会記録、そして過去の自分という2つの壁を打ち破った。 その時は4回目に訪れる。「考えずに勢いのままいけた」。これまで考えすぎてしまっていた助走。今回は無心でスタートして、無心で走った。髙良らしい、美しく、力強い跳躍。大会記録を示す印を超えて着地し、3年ぶり有観客のスタンドから大きな拍手が沸いた。 記録は6m50(+0.7)。さらに大きな拍手が起こる。1987年に磯貝美奈子(群馬大)が作った6m46の大会記録を35年ぶりに更新。それだけではなく、高3のアジア・ジュニア選手権で出した6m44の高校記録であり、止まっていた自己記録を4年ぶりに塗り替えた。珍しく両手を高く上げて喜びを表現する。日本歴代9位、学生歴代5位にランクインする大記録だった。 「4年間自己ベストが出なくて悔しい思いをしてきました。最後の日本インカレで、仲間の前で出せて本当にうれしいです」。この4年間のことを聞かれると、言葉に詰まった。 中学時代からトップジャンパーとして日本一になると、高校時代はインターハイ3連覇。2、3年と日本選手権まで連覇した。高校記録を作ったアジア・ジュニアで優勝。U20世界選手権では日本初の銀メダルを獲得するなど、数々の歴史を作ってきた。 筑波大に入ってからも関東インカレ4連覇などしてきたが、自己記録は長く更新できず。「いろんな思いがありました。周囲の自己ベストに嫉妬したこともあります。高校時代に跳んでしまった。もう跳べないんじゃないか」。それでも、仲間やコーチたちが「大丈夫」「跳べるよ」と声をかけつづけてくれた。その声に背中を押されて、ここまで続けてこられた。 「成長しているのは実感しても、記録が出ないと感じられなかった。でもこうして更新できました。あきらめずに続けてこられたのは自分の強みだと思っています」。何度も試行錯誤しては崩して、また作って。その過程は決して無駄ではなかった。 卒業後も社会人として続けていく予定で、「やっと世界に行きたいといえるところまできた。スタートラインに立てました」。最後のインカレで見せた意地とプライドと勝負強さ。やっぱり、千両役者はひと味違う。再び世界と戦うために。稀代のジャンパー・高良彩花の第二章がここから始まる。 ■女子走幅跳学生歴代5傑 6.78(0.8) 池田久美子(福島大3) 2001年 6.58(1.0) 磯貝美奈子(群馬大) 1987年 6.53(1.4) 桝見咲智子(福岡大4) 2006年 6.52(0.7) 高松 仁美(埼玉大4) 1998年 6.50(0.7) 髙良 彩花(筑波大4) 2022年

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.18

400m・中島佑気ジョセフ「たくさんの人に力をもらった」高野超え6位入賞で「見えた景色」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子400m決勝で中島佑気ジョセフ(富士通)が44秒62をマークして6位入賞を果たした。 1991年東京大会の高野 […]

NEWS 鵜澤飛羽200mファイナル届かず「全力は出した。それでダメなら負けを認めるしかない」/東京世界陸上

2025.09.18

鵜澤飛羽200mファイナル届かず「全力は出した。それでダメなら負けを認めるしかない」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子200m準決勝1組に出場した鵜澤飛羽(JAL)は20秒23(-0.1)の6着。2003年パリ大会の末續慎吾、2 […]

NEWS マクローリン・レヴロン47秒78!!降りしきる雨のなか女子400m世界歴代2位、大会新の激走/東京世界陸上

2025.09.18

マクローリン・レヴロン47秒78!!降りしきる雨のなか女子400m世界歴代2位、大会新の激走/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、女子400mはシドニー・マクローリン・レヴロン(米国)が世界歴代2位、大会新の47秒78でこの種目初優勝を飾った。 […]

NEWS 中島佑気ジョセフ400m6位 3レース連続の44秒台で日本選手過去最高位/東京世界陸上

2025.09.18

中島佑気ジョセフ400m6位 3レース連続の44秒台で日本選手過去最高位/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子400m決勝に出場した中島佑気ジョセフ(富士通)は44秒62で6位となり、1991年東京大会で高野進が7位だっ […]

NEWS 中島佑気ジョセフ400m44秒62 高野進を超える歴史的6位入賞を果たす/東京世界陸上

2025.09.18

中島佑気ジョセフ400m44秒62 高野進を超える歴史的6位入賞を果たす/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子400m決勝1組の中島佑気ジョセフ(富士通)が44秒62で6位に入った。 日本人選手が世界陸上で決勝を走ったの […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top