HOME 国内、世界陸上、日本代表
松田瑞生 涙の完走「世界で結果を残せるように」日本人大会最速で入賞まであと一歩の9位/世界陸上
松田瑞生 涙の完走「世界で結果を残せるように」日本人大会最速で入賞まであと一歩の9位/世界陸上

◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)4日目

オレゴン世界陸上4日目のモーニングセッションに行われた女子マラソン。一山麻緒(ワコール)と新谷仁美(積水化学)が新型コロナウィルス感染のため欠場となり、松田瑞生(ダイハツ)のみの出場となった。松田は単独走が続く中で粘りを見せ、2時間23分49秒の9位。入賞にあと一歩届かなかったが、大会日本人最速記録を更新した。

スタートして早々にアフリカ勢がダッシュを見せて15人ほどの先頭集団となり、松田はその後方に陣取る。プランは考えず「展開に対応しようと思った」と松田。先頭集団はハイペースで進み、2kmすぎに離れる。その後は5kmを16分43秒と自己新に近いペースをしっかり守って前を追う。10kmは33分30秒の16位で通過した。

単独走が続くなか、松田は「すべて一人のレースだったので、抜いてもついてくる。後ろにつくとペースが下がるだけだったのでとにかく攻めて行こうと思った」。先頭は15kmを49分29秒で通過。松田は約40秒差で追いかける。20kmで13位に上がり、前の集団と11秒差につめた。ハーフはトップが3人で1時間9分01秒、松田はさらに1時間10分38秒。その後1つ順位を上げた。8位集団とは17秒差に詰まった。

棄権者や脱落者がいるなか、残り2km手前で8位の選手の後ろに追いついた松田。だが、「一つでも前に、1秒でも前にと思っていたのですが、ラストの脚が残っていませんでした」。最後は突き放されて9位でフィニッシュした。

広告の下にコンテンツが続きます

大会前に久しぶりのボルダーでの高地合宿。「後半に崩れた部分があった」と言い、「不安がなかったと言えば嘘になりますが、覚悟を持ってスタートラインに立ちました」。それでも、「まったく歯が立たなかった。練習も含めて世界陸上。マラソンは練習ができてこそ」と振り返る。

夢に見た東京五輪に迫りながら出場できなかった松田。それでも奮起してようやくマラソンで日の丸を着けて世界の舞台に立った。「これが自分の精一杯の力。最初から最後まで全力でした。ただただ力がなかった」。ただ、調整さえできれば戦えるという実感も得た。

「世界の舞台に立てない悔しさと、世界の舞台に立つプレッシャーと責任感。どちらも経験した。一番悔しさをわかっていると思うので、これを糧に世界の舞台に戻ってきて、結果を残せるようにイチから頑張りたいと思います」

オレゴンで刻んだ涙が、また松田を一歩前へ、1秒前へと突き動かす。

◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)4日目 オレゴン世界陸上4日目のモーニングセッションに行われた女子マラソン。一山麻緒(ワコール)と新谷仁美(積水化学)が新型コロナウィルス感染のため欠場となり、松田瑞生(ダイハツ)のみの出場となった。松田は単独走が続く中で粘りを見せ、2時間23分49秒の9位。入賞にあと一歩届かなかったが、大会日本人最速記録を更新した。 スタートして早々にアフリカ勢がダッシュを見せて15人ほどの先頭集団となり、松田はその後方に陣取る。プランは考えず「展開に対応しようと思った」と松田。先頭集団はハイペースで進み、2kmすぎに離れる。その後は5kmを16分43秒と自己新に近いペースをしっかり守って前を追う。10kmは33分30秒の16位で通過した。 単独走が続くなか、松田は「すべて一人のレースだったので、抜いてもついてくる。後ろにつくとペースが下がるだけだったのでとにかく攻めて行こうと思った」。先頭は15kmを49分29秒で通過。松田は約40秒差で追いかける。20kmで13位に上がり、前の集団と11秒差につめた。ハーフはトップが3人で1時間9分01秒、松田はさらに1時間10分38秒。その後1つ順位を上げた。8位集団とは17秒差に詰まった。 棄権者や脱落者がいるなか、残り2km手前で8位の選手の後ろに追いついた松田。だが、「一つでも前に、1秒でも前にと思っていたのですが、ラストの脚が残っていませんでした」。最後は突き放されて9位でフィニッシュした。 大会前に久しぶりのボルダーでの高地合宿。「後半に崩れた部分があった」と言い、「不安がなかったと言えば嘘になりますが、覚悟を持ってスタートラインに立ちました」。それでも、「まったく歯が立たなかった。練習も含めて世界陸上。マラソンは練習ができてこそ」と振り返る。 夢に見た東京五輪に迫りながら出場できなかった松田。それでも奮起してようやくマラソンで日の丸を着けて世界の舞台に立った。「これが自分の精一杯の力。最初から最後まで全力でした。ただただ力がなかった」。ただ、調整さえできれば戦えるという実感も得た。 「世界の舞台に立てない悔しさと、世界の舞台に立つプレッシャーと責任感。どちらも経験した。一番悔しさをわかっていると思うので、これを糧に世界の舞台に戻ってきて、結果を残せるようにイチから頑張りたいと思います」 オレゴンで刻んだ涙が、また松田を一歩前へ、1秒前へと突き動かす。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.23

男子5000m五輪メダリストのポール・チェリモ インタビュー「マラソンで米国記録を作る」

4月上旬、フランス・パリでランニングブランド「KIPRUN(キプラン)」の新作シューズ発表イベントが行われた。KIPRUNとして過去最大となったイベントでは、カーボンプレート搭載のシューズについての説明が行われただけでな […]

NEWS 【世界陸上プレイバック】―95年イエテボリ―エドワーズが三段跳で世界記録の圧巻のパフォーマンス!山崎一彦が400mHで同種目初のファイナリストに

2025.04.23

【世界陸上プレイバック】―95年イエテボリ―エドワーズが三段跳で世界記録の圧巻のパフォーマンス!山崎一彦が400mHで同種目初のファイナリストに

今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。 これ […]

NEWS 前回9秒97wの栁田大輝に期待! 800m初戦の落合晃、前回2冠・山形愛羽、ハンマー投・村上来花らも注目/日本学生個人

2025.04.23

前回9秒97wの栁田大輝に期待! 800m初戦の落合晃、前回2冠・山形愛羽、ハンマー投・村上来花らも注目/日本学生個人

今年7月にドイツボーフムで開かれるワールドユニバーシティゲームズの代表選考会を兼ねた日本学生個人選手権は4月25日~27日、神奈川・レモンガススタジアム平塚で行われる。ユニバ代表を懸けた学生たちの熱戦を展望する。 トラッ […]

NEWS 東京世界陸上ボランティア研修がスタート!「ともに楽しんで大会を作り上げたい」

2025.04.23

東京世界陸上ボランティア研修がスタート!「ともに楽しんで大会を作り上げたい」

公益財団法人東京2025世界陸上財団は、9月に控える東京世界選手権(9月13日~21日)を支えるボランティアの研修を東京都内で4月19日からスタートした。24日までの6日間で、最初のステップとなるオリエンテーションが行わ […]

NEWS U20世界選手権女子200m銅メダルリスト・ダグラスが100m11秒26でV ケネディは投てき2冠/カリフタゲームス

2025.04.23

U20世界選手権女子200m銅メダルリスト・ダグラスが100m11秒26でV ケネディは投てき2冠/カリフタゲームス

4月19日から21日まで、トリニダード・トバゴでカリフタゲームスが行われ、U17男子砲丸投(5kg)ではK.ケネディ(ジャマイカ)が18m90で優勝した。ケネディは2009年生まれ。この大会ではU17円盤投(1.5kg) […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top