◇静岡国際(5月3日/静岡・エコパスタジアム)
静岡国際のフィナーレを飾るグランプリ男子200mA決勝。予選で3年ぶりの自己ベスト(20秒40)を叩き出した犬塚渉(スズキ)が果敢に攻め込んだ。前半でリードを奪ったが、後半は”地元の英雄”が猛然と追いかけた。飯塚翔太(ミズノ)は犬塚の背後に近づくと、ゴール手前で大逆転。20秒34(-0.4)の好タイムで連覇を飾った。2位の犬塚は20秒41、3位の上山紘輝(住友電工)は20秒46。昨年の日本選手権王者・小池祐貴(住友電工)は上山と同タイムの4位だった。
飯塚は昨年6月に右膝を痛めた影響もあり、東京五輪の200mは予選で敗退。ビッグイヤーはケガに泣いた。「去年は右膝のケガがあって、練習が全然できませんでした。でも、冬季はいい練習が積めていたんです。今日は自信を持って臨みました」と飯塚。予選で20秒43(+1.5)を刻むと、決勝では絶好調の犬塚を後半の圧倒的なスピードで一蹴した。
「昨季までの走りを振り返ると、後半に失速する原因は腕が先行しちゃって、腕と脚のタイミングが合わないところにあったんです。今季は手脚のリズムを合わせるのをテーマにしてきました。その部分に集中できたことで、後半も余力がありましたね」
飯塚が話すには着地した瞬間に手が腰の横を通るのが理想だという。走りのバランスを修正したことで、持ち味であった後半の走りにキレが出てきた。
今後は5月中旬の東日本実業団選手権を経て、6月前半の日本選手権に向かう予定。オレゴン世界選手権の参加標準記録(20秒24)を突破していないが、世界を目指す姿勢と自信は失っていない。
「タイムを狙って走るとうまくいかないことが多いんです。自分の走りに徹することが結果的にタイムにつながる。日本選手権も自分のレースに集中したいと思っています。今季一番の目標はオレゴン世界選手権です。決勝に残れるように頑張りたい。世界選手権とアジア大会の両方で出られるように準備して、久しぶりに自己ベストも更新したいですね」
6月25日に31歳を迎える飯塚。かつてのライバルたちがグラウンドを去っているが、3度の五輪を経験した男は貪欲に世界を目指していく。
文/酒井政人

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