
◇第30回金栗記念選抜中長距離2022(4月9日/熊本・えがお健康スタジアム)
男子5000mには、駒大のエース・田澤廉が今季初戦として出場した。
10000mで昨年12月に日本歴代2位の27分23秒44をマーク、オレゴン世界選手権参加標準記録(27分28秒00)を突破しており、このレースは、「日本選手権(10000m、5月7日)に向けて弾みをつける」ために臨んだ。
序盤は、実業団の外国人選手や塩尻和也(富士通)らが先頭争いを牽引。田澤は常に上位をうかがえる位置でレースを進めた。
「塩尻さんや、オリンピックの5000mを走った坂東(悠汰、富士通)さんといった選手がいる中でも、自分は負けないと思っていました。日本人トップを獲るのは当たり前だと思っていたので、日本人2〜3番あたりで、3000mまで余裕を持って走るレースがしたかったです。それができたのは良かったです」
1周64秒前後のペースを刻み、1000mを2分42秒、2000mを5分20秒、3000mを8分02秒で通過しても、田澤には余裕があった。3000mを過ぎて塩尻が後退した後も、田澤は外国人選手が形成する集団に食らいつく。
その後、キプランガット・ベンソン(SUBARU)、スタンネリー・ワイザカ(ヤクルト)、ジャクソン・カベサ(Honda)の外国人選手3人が抜け出したが、「あそこでついても良かったけど、身体的に(疲労が)残りそうな感じがあったので、やめました」と、1ヵ月後を見据え、無理をする選択を敢えて取らなかった。
それでも、第2集団には「大学界の唯一のライバル」というイェゴン・ヴィンセント(東京国際大)がおり、4000m過ぎにはヴィンセントの前を走る場面もあった。
ラスト100mでヴィンセントにかわされたものの、田澤は13分22秒63で5位。有言実行の日本人トップでフィニッシュした。
「最後、ヴィンセント選手に抜かれてしまったのは不満ですが、全体的には良かったと思う。そんなに追い込んだ感じもしていないので、良い刺激が入ったと思います」
タイムは学生歴代8位、日本人学生では歴代6位。昨年7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会でマークした自己記録(13分29秒91)を7秒以上更新した。
ただ、これもまた、田澤にとっては、ほぼ想定通りのタイム。
「(大八木弘明)監督から『13分19秒ぐらいでいければ』と言われましたが、自分の中では13分19秒だと結構(疲労が)残るかなと思っていたので、13分20秒から25秒ぐらいかなと思っていました。5000mの練習をすれば、もっと行けると思いますが、自分には5000mが専門という意識はありません。10000mで、いかに余裕を持ちながら5000mを通過できるかが大事なので、5000mという種目はこれぐらいでいいのかなと思っています」
すべてを出し切らないのが田澤の伸びしろの部分でもある。次戦はいよいよ日本選手権10000m。初の世界選手権代表に向けて、仕上がりは順調のようだ。
文/福本ケイヤ

◇第30回金栗記念選抜中長距離2022(4月9日/熊本・えがお健康スタジアム)
男子5000mには、駒大のエース・田澤廉が今季初戦として出場した。
10000mで昨年12月に日本歴代2位の27分23秒44をマーク、オレゴン世界選手権参加標準記録(27分28秒00)を突破しており、このレースは、「日本選手権(10000m、5月7日)に向けて弾みをつける」ために臨んだ。
序盤は、実業団の外国人選手や塩尻和也(富士通)らが先頭争いを牽引。田澤は常に上位をうかがえる位置でレースを進めた。
「塩尻さんや、オリンピックの5000mを走った坂東(悠汰、富士通)さんといった選手がいる中でも、自分は負けないと思っていました。日本人トップを獲るのは当たり前だと思っていたので、日本人2〜3番あたりで、3000mまで余裕を持って走るレースがしたかったです。それができたのは良かったです」
1周64秒前後のペースを刻み、1000mを2分42秒、2000mを5分20秒、3000mを8分02秒で通過しても、田澤には余裕があった。3000mを過ぎて塩尻が後退した後も、田澤は外国人選手が形成する集団に食らいつく。
その後、キプランガット・ベンソン(SUBARU)、スタンネリー・ワイザカ(ヤクルト)、ジャクソン・カベサ(Honda)の外国人選手3人が抜け出したが、「あそこでついても良かったけど、身体的に(疲労が)残りそうな感じがあったので、やめました」と、1ヵ月後を見据え、無理をする選択を敢えて取らなかった。
それでも、第2集団には「大学界の唯一のライバル」というイェゴン・ヴィンセント(東京国際大)がおり、4000m過ぎにはヴィンセントの前を走る場面もあった。
ラスト100mでヴィンセントにかわされたものの、田澤は13分22秒63で5位。有言実行の日本人トップでフィニッシュした。
「最後、ヴィンセント選手に抜かれてしまったのは不満ですが、全体的には良かったと思う。そんなに追い込んだ感じもしていないので、良い刺激が入ったと思います」
タイムは学生歴代8位、日本人学生では歴代6位。昨年7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会でマークした自己記録(13分29秒91)を7秒以上更新した。
ただ、これもまた、田澤にとっては、ほぼ想定通りのタイム。
「(大八木弘明)監督から『13分19秒ぐらいでいければ』と言われましたが、自分の中では13分19秒だと結構(疲労が)残るかなと思っていたので、13分20秒から25秒ぐらいかなと思っていました。5000mの練習をすれば、もっと行けると思いますが、自分には5000mが専門という意識はありません。10000mで、いかに余裕を持ちながら5000mを通過できるかが大事なので、5000mという種目はこれぐらいでいいのかなと思っています」
すべてを出し切らないのが田澤の伸びしろの部分でもある。次戦はいよいよ日本選手権10000m。初の世界選手権代表に向けて、仕上がりは順調のようだ。
文/福本ケイヤ
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.22
佐久長聖1年の橋本蒼平が5000m14分30秒50でトップ/SGH文スポ チャレンジ
-
2025.12.22
-
2025.12.22
-
2025.12.22
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
2025.12.21
【大会結果】第76回全国高校駅伝・男子(2025年12月21日)
2025.12.21
800m日本記録保持者・久保凛が最後の都大路で9人抜きの激走! /全国高校駅伝・女子
-
2025.12.21
-
2025.12.20
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
-
2025.12.21
-
2025.12.21
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.22
佐久長聖1年の橋本蒼平が5000m14分30秒50でトップ/SGH文スポ チャレンジ
12月23日、滋賀県守山市のSGホールディングスグループ陸上競技場で令和7年度SGH文スポ チャレンジ競技会が開催された。 同大会は主に前日の全国高校駅伝(男子)に出場した学校のうち、出走できなかった選手たちを中心に参加 […]
2025.12.22
箱根駅伝Stories/継続中最長シード・東洋大 激動のシーズンに高まる結束力 2年生世代が台頭
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 「チームのために走る」 20年連続で箱根駅伝のシード権を守り続けてい […]
2025.12.22
箱根駅伝Stories/悔しさを味わってきた東農大・原田洋輔 「がっつり爪痕を残したい」 地元・戸塚で貢献を
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 身近にあった箱根駅伝 10月の箱根駅伝予選会で東農大は6位を占め、2 […]
2025.12.22
箱根駅伝Stories/ハーフで強さ示してきた帝京大・島田晃希 「エース区間を走りたい」期待の“大器”最後の舞台へ
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 身近にあった箱根駅伝 この1年で帝京大の長距離種目の歴代記録がガラリ […]
2025.12.22
大学対校男女混合駅伝のアンバサダーに堀未央奈が就任!来年2月15日開催、22チーム出場
第6回全国大学対校男女混合駅伝の大会要項が公開され、大会アンバサダーに元乃木坂46の堀未央奈さんが選ばれた。 堀さんは乃木坂46の2期生として加入し、『バレッタ』でセンターを務めるなど人気メンバーとして活躍。21年3月に […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳
