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2022.04.10

田澤廉 日本選手権1万mへ弾みつく5000m自己新 世界選手権目指して仕上がり順調/金栗記念
田澤廉 日本選手権1万mへ弾みつく5000m自己新 世界選手権目指して仕上がり順調/金栗記念


◇第30回金栗記念選抜中長距離2022(4月9日/熊本・えがお健康スタジアム)

男子5000mには、駒大のエース・田澤廉が今季初戦として出場した。

10000mで昨年12月に日本歴代2位の27分23秒44をマーク、オレゴン世界選手権参加標準記録(27分28秒00)を突破しており、このレースは、「日本選手権(10000m、5月7日)に向けて弾みをつける」ために臨んだ。

序盤は、実業団の外国人選手や塩尻和也(富士通)らが先頭争いを牽引。田澤は常に上位をうかがえる位置でレースを進めた。

「塩尻さんや、オリンピックの5000mを走った坂東(悠汰、富士通)さんといった選手がいる中でも、自分は負けないと思っていました。日本人トップを獲るのは当たり前だと思っていたので、日本人2〜3番あたりで、3000mまで余裕を持って走るレースがしたかったです。それができたのは良かったです」

1周64秒前後のペースを刻み、1000mを2分42秒、2000mを5分20秒、3000mを8分02秒で通過しても、田澤には余裕があった。3000mを過ぎて塩尻が後退した後も、田澤は外国人選手が形成する集団に食らいつく。

その後、キプランガット・ベンソン(SUBARU)、スタンネリー・ワイザカ(ヤクルト)、ジャクソン・カベサ(Honda)の外国人選手3人が抜け出したが、「あそこでついても良かったけど、身体的に(疲労が)残りそうな感じがあったので、やめました」と、1ヵ月後を見据え、無理をする選択を敢えて取らなかった。

それでも、第2集団には「大学界の唯一のライバル」というイェゴン・ヴィンセント(東京国際大)がおり、4000m過ぎにはヴィンセントの前を走る場面もあった。

ラスト100mでヴィンセントにかわされたものの、田澤は13分22秒63で5位。有言実行の日本人トップでフィニッシュした。

「最後、ヴィンセント選手に抜かれてしまったのは不満ですが、全体的には良かったと思う。そんなに追い込んだ感じもしていないので、良い刺激が入ったと思います」

タイムは学生歴代8位、日本人学生では歴代6位。昨年7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会でマークした自己記録(13分29秒91)を7秒以上更新した。

ただ、これもまた、田澤にとっては、ほぼ想定通りのタイム。

「(大八木弘明)監督から『13分19秒ぐらいでいければ』と言われましたが、自分の中では13分19秒だと結構(疲労が)残るかなと思っていたので、13分20秒から25秒ぐらいかなと思っていました。5000mの練習をすれば、もっと行けると思いますが、自分には5000mが専門という意識はありません。10000mで、いかに余裕を持ちながら5000mを通過できるかが大事なので、5000mという種目はこれぐらいでいいのかなと思っています」

すべてを出し切らないのが田澤の伸びしろの部分でもある。次戦はいよいよ日本選手権10000m。初の世界選手権代表に向けて、仕上がりは順調のようだ。

文/福本ケイヤ


◇第30回金栗記念選抜中長距離2022(4月9日/熊本・えがお健康スタジアム)

男子5000mには、駒大のエース・田澤廉が今季初戦として出場した。

10000mで昨年12月に日本歴代2位の27分23秒44をマーク、オレゴン世界選手権参加標準記録(27分28秒00)を突破しており、このレースは、「日本選手権(10000m、5月7日)に向けて弾みをつける」ために臨んだ。

序盤は、実業団の外国人選手や塩尻和也(富士通)らが先頭争いを牽引。田澤は常に上位をうかがえる位置でレースを進めた。

「塩尻さんや、オリンピックの5000mを走った坂東(悠汰、富士通)さんといった選手がいる中でも、自分は負けないと思っていました。日本人トップを獲るのは当たり前だと思っていたので、日本人2〜3番あたりで、3000mまで余裕を持って走るレースがしたかったです。それができたのは良かったです」

1周64秒前後のペースを刻み、1000mを2分42秒、2000mを5分20秒、3000mを8分02秒で通過しても、田澤には余裕があった。3000mを過ぎて塩尻が後退した後も、田澤は外国人選手が形成する集団に食らいつく。

その後、キプランガット・ベンソン(SUBARU)、スタンネリー・ワイザカ(ヤクルト)、ジャクソン・カベサ(Honda)の外国人選手3人が抜け出したが、「あそこでついても良かったけど、身体的に(疲労が)残りそうな感じがあったので、やめました」と、1ヵ月後を見据え、無理をする選択を敢えて取らなかった。

それでも、第2集団には「大学界の唯一のライバル」というイェゴン・ヴィンセント(東京国際大)がおり、4000m過ぎにはヴィンセントの前を走る場面もあった。

ラスト100mでヴィンセントにかわされたものの、田澤は13分22秒63で5位。有言実行の日本人トップでフィニッシュした。

「最後、ヴィンセント選手に抜かれてしまったのは不満ですが、全体的には良かったと思う。そんなに追い込んだ感じもしていないので、良い刺激が入ったと思います」

タイムは学生歴代8位、日本人学生では歴代6位。昨年7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会でマークした自己記録(13分29秒91)を7秒以上更新した。

ただ、これもまた、田澤にとっては、ほぼ想定通りのタイム。

「(大八木弘明)監督から『13分19秒ぐらいでいければ』と言われましたが、自分の中では13分19秒だと結構(疲労が)残るかなと思っていたので、13分20秒から25秒ぐらいかなと思っていました。5000mの練習をすれば、もっと行けると思いますが、自分には5000mが専門という意識はありません。10000mで、いかに余裕を持ちながら5000mを通過できるかが大事なので、5000mという種目はこれぐらいでいいのかなと思っています」

すべてを出し切らないのが田澤の伸びしろの部分でもある。次戦はいよいよ日本選手権10000m。初の世界選手権代表に向けて、仕上がりは順調のようだ。

文/福本ケイヤ

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