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【展望】明大、中大、日体大、拓大がトップ通過候補!初出場狙う駿河台大にも注目/箱根駅伝予選会

第98回箱根駅伝予選会は10月23日(土)、東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地で行われる。本戦への出場枠は前回と変わらず「10」。昨年同様に新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から国営昭和記念公園内や市街地には出ず、陸上自衛隊立川駐屯地内の周回コースのみで実施される。

選考方法は従来通り。各校10名以上12名以下がハーフマラソンに出走し、各校の上位10人の合計タイムで争われる。10月11日のチームエントリーを反映させた最新情報で予選会の勢力図を分析していく。

10000m28分30分切りの中大・千守、日大・松岡が外れる

各校のエントリーリストを見ると、有力選手が何人か外れているのが見て取れる。その中でも、関東インカレでも入賞している富田峻平(明大3)や松岡竜矢(日大3)、10000mで好タイムを持つ千守倫央(中大3)、岩佐一楽(筑波大3)、武川流以名(中央学大3)、椎野修羅(麗澤大4)らはチームの主軸となる選手だけに影響が大きそうだ。

その他にも、明大は昨年の全日本5区区間7位と好走した金橋佳佑(4年)、中大は箱根6区区間5位の若林陽大(3年)、専大は昨年の予選会で1年生ながらチームトップの快走を見せた木村暁仁(2年)らがエントリーから外れた。

【エントリーに入れなかった有力選手】
選手名(所属)10000m ハーフマラソン
富田 峻平(明大3)   28.35.41  1.02.59  21年箱根9区10位、21年関東インカレ2部5000m8位
金橋 佳佑(明大4)   28.56.70  1.05.24  20年全日本5区7位
井上 大輝(中大4)   28.47.62  1.05.20
千守 倫央(中大3)   28.15.40  1.02.37  21年箱根1区17位
若林 陽大(中大3)   28.54.01  1.05.30  21年箱根6区5位
伊東 大翔(中大2)   28.59.59  ――
園木 大斗(中大2)   29.03.33  1.03.40  21年関東インカレ1部5000m13位
川口  慧(神奈川大4) 28.48.33  1.03.27  21年箱根3区10位
呑村 大樹(神奈川大4) 29.02.58  1.02.06  21年箱根1区4位
島﨑 昇汰(神奈川大3) 29.01.15  1.06.42
兒玉 陸斗(拓大4)   29.23.20  1.03.25  20年箱根7区10位
佐々木虎太郎(拓大3)  29.27.97  1.04.21  21年箱根6区18位
松尾 鴻雅(城西大4)  29.13.27  1.03.11  19年全日本4区5位
久納  碧(法大4)   29.53.46  1.04.48  20年箱根1区19位
扇   育(法大3)   29.43.48  1.06.21  21年全日本選考会1組8着
稲毛 崇斗(法大2)   29.14.14  1.03.44
渡邊 晶紀(山梨学大4) 29.37.85  1.05.30  21年箱根10区18位
橘田 大河(山梨学大3) 29.18.22  1.02.47  20年箱根予選会46位
星野 一平(山梨学大3) 29.48.83  1.06.29  21年箱根5区15位
島津 裕太(山梨学大2) 29.47.70  ――   21年箱根3区16位
金久保 遥(専大4)   29.39.68  1.03.22  21年箱根3区20位
成島 航己(専大3)   29.32.59  1.03.38  21年箱根7区20位
木村 暁仁(専大2)   29.46.47  1.02.44  20年箱根予選会44位
岩佐 一楽(筑波大3)  28.41.71  1.02.57  20年箱根予選会57位
小野 一貴(中央学大4) 29.01.27  1.03.56
坂田 隼人(中央学大4) 29.10.98  1.05.18
武川流以名(中央学大3) 28.40.48  1.04.08  20年箱根6区5位
松島  匠(中央学大3) 29.05.81  ――   21年全日本選考会1組5位
椎野 修羅(麗澤大4)  28.37.03  1.02.19  20年箱根予選会23位
中島 駿佑(上武大3)  29.21.95  1.07.16  
金田 龍心(大東大3)  29.13.53  1.04.08
井田  春(大東大3)  29.15.51  1.04.45
菊地 駿介(大東大2)  29.15.78  1.03.30  21年箱根関東学生連合メンバー入り
小坂 友我(日大4)   28.55.36  1.03.10  21年箱根7区12位相当(学生連合)
松岡 竜矢(日大3)   28.21.52  1.04.26  21年関東インカレ1部5000m7位

10000mPB上位10人平均は明大がダントツ

明大を牽引する鈴木聖人と手嶋杏丞(ともに4年)

各校エントリー選手の10000m自己ベストを集計し、上位10人の平均タイムを出したものが以下の表だ(※本来であれば本番と同じハーフマラソンの自己ベストを用いるべきだが、昨年からロード大会の開催が激減してデータ不足のため10000mで比較する)。

①明 大   28.43.69(前回シード校)
②中 大   28.56.29(28.59.17)2位
③日体大   28.58.05(29.25.97)6位
④拓 大   29.00.94(29.29.83)9位
⑤中央学大  29.04.43(29.10.81)12位
⑥国士大   29.06.53(29.25.70)5位
⑦法 大   29.09.27(29.54.84)8位
⑧神奈川大  29.13.32(29.48.16)4位
⑨城西大   29.21.55(29.20.37)3位
⑩山梨学大  29.22.36(29.13.41)7位
=====通過ライン=====
⑪大東大   29.25.22(29.30.47)16位
⑫上武大   29.26.49(29.30.05)14位
⑬駿河台大  29.29.35(29.31.05)15位
⑭慶 大   29.38.61(29.46.92)19位
⑮立 大   29.40.29(30.16.98)28位
⑯専 大   29.42.45(29.58.36)10位
⑰日 大   29.44.36(29.07.38)18位
⑱亜細亜大  29.52.27(30.00.30)20位
⑲東農大   30.00.13(29.47.21)17位
⑳筑波大   30.02.12(29.39.86)11位
21麗澤大   30.04.38(29.42.55)13位
※前回の箱根駅伝出場校+昨年の予選会上位20位+全日本大学駅伝選考会出場校を集計
※留学生が複数いる大学は記録の良い選手を反映
※右のカッコ内の数字は昨年の同時期のタイムと実際の順位(記載のないものは前回シード校)
※小数点第3位以下は切り上げ

ランキングトップは明大。富田峻平、金橋佳佑と、10000m28分台を持つ2人がエントリーから外れたものの、エントリー14人中8人が10000m28分台という高い総合力を持つ。

ランキング2位の中大も、2位通過を果たした昨年のメンバーが6人残り、上位通過が予想される。

3位以下は日体大、拓大、中央学大、国士大、法大、神奈川大と続き、ここまではさほど大きな差がない。拓大は9月に10000mで27分25秒65の学生記録を樹立したジョセフ・ラジニ(3年)の存在が平均タイムの底上げに影響している。

日大はフルメンバーなら上位にランクインしていたが、主力を多数欠いたことに加え、10番手が31分台ということもあって大幅に順位を下げた。

トップ通過、本戦出場ラインのゆくえは?

前述の10000mの平均タイムや、今年の勢い、これまでの予選会での実績などを踏まえ、今大会の勢力図を予想した。

A(上位候補)
明大、中大、日体大、拓大
B(通過濃厚)
国士大、法大
C(通過候補)
神奈川大、城西大
D(ボーダー付近)
中央学大、山梨学大、大東大、上武大、駿河台大
E(チャレンジ校)
慶大、立大、専大、日大、亜細亜大、東農大、筑波大、麗澤大など

明大はハーフマラソンで1時間1分台を持つ鈴木聖人や10000m28分13秒70の手嶋杏丞(ともに4年)ら主軸選手も順当に選ばれ、平均タイムでもトップ。上位争いが予想される全日本大学駅伝が2週間後に控えていることから、無理にトップ通過を狙わない可能性もあるが、よほどのことがない限りは上位通過が堅いと見られる。

中大は5000mで現役日本人学生最速の13分25秒87を持つエースの吉居大和(2年)に注目。昨年はチームトップの1時間1分47秒をマークしており、本調子なら日本人トップの最有力候補となるが、今季は春先から不調が続く。どこまで調子を取り戻せるかがトップ通過へのカギか。

昨年の予選会でチーム上位を占めた吉居大和(右から2人目)と森凪也(右端)

日体大も高い総合力を誇り、10000mの平均タイムは昨年から約28秒もアップ。エースの藤本珠輝(3年)は10000mで28分08秒58の走力を誇り、個人日本人トップ候補にも挙がる。主力が順当にエントリー入りしていることから、チーム状態の良さがうかがえる。

拓大は前述のラジニでタイムを稼げるほか、9月の記録会で主力の多くが10000mで自己記録を更新。今年は6月の全日本大学駅伝選考会でも盤石の4位通過を果たしており、昨年よりもチーム力が格段にアップしている印象がある。上記3校は留学生を起用しない大学なだけに、ラジニが2年連続個人1位の爆走を見せればトップ通過もありえる。

国士大も順当に主力がエントリー入りし、10000mの平均タイムは昨年から大幅に向上。ハーフマラソンで学生歴代2位の59分51秒を持つ留学生のライモイ・ヴィンセント(4年)でタイムを稼ぎ、得意の集団走で安定の上位通過を狙う。

法大は昨年から10000mの平均が45秒も飛躍し、全日本大学駅伝の選考会でも3位通過と強さを発揮。今年は鎌田航生(4年)が箱根駅伝1区区間賞、日本学生ハーフマラソン優勝など活躍が目覚ましく、今大会では稼ぎ頭としてチームの7年連続本戦出場を牽引しそうだ。

神奈川大は10000mの平均が16位だった昨年も4位通過しており、この立川決戦の戦い方を熟知している。例年の傾向から通過は問題ないと思われるが、箱根駅伝1区区間4位の呑村大樹(4年)、10000m28分48秒33の川口慧(4年)、同29分01秒15の島﨑昇汰(3年)を欠いた影響は大きい。勢いのある2年生世代を中心に、12年連続の箱根路行きを決められるか。

城西大は3位通過だった前回メンバーが7人もエントリー入り。ハーフマラソン1時間1分52秒を持つエースの砂岡拓磨(4年)も健在で、通過候補に挙がる。ただし、多くの大学が昨年から10000mの平均タイムを向上させるなか、1秒とはいえ落としているのは気になるところ。2年前には「上位通過候補」と称されながら15位と敗退しており、集団走の出来次第では「ボーダー争い」に巻き込まれる可能性もある。

ここまで8校を挙げており、順当なら残りの通過枠は「2」。

10000m平均で5位につける中央学大は主力数人をエントリーできなかったことに加え、エントリーした選手の数名も夏からの故障から復調途上で本調子ではない可能性が高い。さらに昨年は上位通過候補ながら、まさかの12位で本戦連続出場を「18」でストップさせている。2年ぶり本戦出場への道のりは険しい。

留学生を擁する山梨学大大東大、3年ぶりの本戦復帰を目指す上武大は戦力的に通過できる戦力を有しているものの、主力数名をエントリーできず、6月の全日本選考会でも10位、12位、17位と不発。1つのミスが命取りになりそうだ。

一方で駿河台大は10000m平均では13位ながら、全日本選考会で次点の8位と健闘。留学生のジェームス・ブヌカ(4年)は日本インカレの10000mを2連覇するなど強力で、日本人選手も28分台の自己ベストを持つ町田康誠と清野太成の3年生コンビを筆頭に着実に育っている印象だ。通過すれば初出場となる。

昨年、一昨年と「サプライズ通過」を果たした専大筑波大は、ともにエース級の選手をエントリーできず、大きく評価を落とした。至近3年で12位、11位、13位と初出場に迫っている麗澤大も、前述のとおりエースの椎野がエントリーから外れたことで苦しい戦いが予想される。

一方で伝統校の慶大立大が着実に力をつけており、ともに前回(19位、28位)から順位を上げてきそうだ。

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