HOME 学生長距離

2025.12.20

箱根駅伝Stories/30年ぶりの総合優勝狙う中大 トータル10区間で「新たな“1”を」

「出し惜しみはしない」

藤原監督は今回の選考について、「優勝がかかったプレッシャーの中でも耐え切れる16人を選びました」と説明し、区間配置や戦い方のプランを詰めている。

「出し惜しみはしないつもりです。すでに決めているのは、2区の溜池と3区の本間。状態が良いので、2人には区間記録を狙わせたいと思っています」

広告の下にコンテンツが続きます

前回大会では王者・青学大に決定的な差をつけられ、悲願の優勝に向けた最大の課題となる5区と6区についても言及。「69分台、56分台というのはなかなか厳しい」と冷静に分析しつつ、「計算できる、昨年よりレベルの高い選手はそろえられました」と自信をのぞかせた。

少なくとも27分台ランナーの1人を復路に配置できる点は、他大学にとって大きな脅威となる。そのうえで、指揮官の視線はレース終盤まで抜かりなく向けられている。

「今回はかなりの接戦になるでしょうし、優勝争いもおそらく10区まで上位3校くらいが競る展開になると思います。復路にまで“ゲームチェンジャー”と呼ばれる選手を残しておく必要があります。アンカー勝負も想定して、例えば濵口を10区に置ければ、ラスト勝負では絶対に勝ってくる。最後の大手町で一歩前にいれば、それで勝てる。10区間トータルで戦えるチームを考え、準備を進めています」

中大史上、歴代最強と言っても過言ではないピースはそろった。あとは本番に向けて状態を合わせること、そしてどのようなメンタリティーで臨めるかだ。近年優勝を重ねてきた青学大や駒大にあって、中大にまだ足りないもの。それを藤原監督は「勝ち癖」や「ウイニングマインド」と表現する。

チーム内でエントリーメンバーを発表した際には、「ウイニングマインドを持つためには、日々の小さな積み重ねと、どれだけ本気で勝ちたいと思える準備ができるかが重要だ。それがタスキを同時にもらったときに、『俺のほうが強い』と思ってスタートできるかどうかの差になる」と選手たちに伝えたという。本番までの残り数日で、そのメンタル面が整えば、悲願達成はさらに近づくはずだ。

最多14回の総合優勝を誇る名門も、最後の栄冠から30年の時が流れた。優勝候補に挙げられながら、体調不良者が続出して涙を飲んだ2年前のような脆さは、今のチームからは微塵も感じられない。

今季のチームスローガン『真紅の歴史に新たな“1”を』を体現する大一番が迫ってきた。

30年ぶりの勝利に向けて一丸で挑む中大

文/小野哲史

[caption id="attachment_193753" align="alignnone" width="800"] 箱根制覇を目指す中大の吉居駿恭と溜池一太[/caption] 新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。

11月に表れた取り組みの成果

前回大会を5位で終えた中大は、1年後の箱根駅伝での総合優勝を目標に掲げ、強化を進めてきた。選手一人ひとり、あるいはチーム全体を見ても、良い時期もあれば、そうでない時期もあった。その積み重ねの中で、取り組んできた成果が目に見える形で表れたのが、11月の各レースだったと言える。 全日本大学駅伝では、主将の吉居駿恭(4年)が2区で首位に立ち、3位でタスキを受けた柴田大地(3年)が4区区間賞の快走で再びトップへ。後半区間は耐えながらアンカー・溜池一太(4年)がエースらしい力走を見せ、過去最高順位タイの2位でフィニッシュした。 10月の出雲駅伝は調整がうまくいかず、10位に終わっていた。それだけに吉居も「優勝を狙っていたので悔しいですが、箱根に向けては、みんながもう一段階気合を入れていくと思います」と前向きな手応えを口にした。 全日本から2週間後の上尾ハーフマラソンでは、箱根経験者で今季は調子が上がり切っていなかった白川陽大(4年)が1時間1分34秒、初の箱根出走を目指す折居幸成(4年)も1時間2分45秒で、ともに自己ベストを更新。ここにきて状態を上げ、メンバー入りへ強くアピールした。 さらに八王子ロングディスタンスとMARCH対抗戦では、13人が10000mの自己ベストを更新するラッシュとなった。岡田開成(2年)が日本人学生歴代7位となる27分37秒06を叩き出せば、藤田大智(3年)も27分40秒50でともに中大新記録。ルーキー・濵口大和も27分台をマークし、目指していた10人には届かなかったものの、すでにタイムを持っていた吉居と溜池、前回3区区間賞の本間颯(3年)を含め、27分台ランナーは一気に6人に増えた。 12月10日にエントリーメンバー16人が発表され、中大の上位10人の平均タイムは驚異の27分55秒98。昨年度の28分15秒61を大幅に更新し、史上初めて28分を切った。ライバルの青学大や駒大をも上回ったが、中大陣営に慢心はない。 むしろ藤原正和駅伝監督は、「チーム全員の平均タイムで28分59秒までいった」点に胸を張る。37人いる部員のうち、今季自己ベストを更新していないのはわずか3人。部員全体が高いレベルで切磋琢磨し、底上げが図られた結果が、この数字に表れている。 そうした状況の中で、ハーフマラソン1時間2分28秒など、秋に3種目で自己新をマークした鈴木耕太郎(3年)や、MARCH対抗戦で28分28秒11まで記録を伸ばした田原琥太郎(2年)といった実力者がエントリーメンバーから外れた。裏を返せば、それほどチーム内競争が激しく、層が厚いことを物語っている。

「出し惜しみはしない」

藤原監督は今回の選考について、「優勝がかかったプレッシャーの中でも耐え切れる16人を選びました」と説明し、区間配置や戦い方のプランを詰めている。 「出し惜しみはしないつもりです。すでに決めているのは、2区の溜池と3区の本間。状態が良いので、2人には区間記録を狙わせたいと思っています」 前回大会では王者・青学大に決定的な差をつけられ、悲願の優勝に向けた最大の課題となる5区と6区についても言及。「69分台、56分台というのはなかなか厳しい」と冷静に分析しつつ、「計算できる、昨年よりレベルの高い選手はそろえられました」と自信をのぞかせた。 少なくとも27分台ランナーの1人を復路に配置できる点は、他大学にとって大きな脅威となる。そのうえで、指揮官の視線はレース終盤まで抜かりなく向けられている。 「今回はかなりの接戦になるでしょうし、優勝争いもおそらく10区まで上位3校くらいが競る展開になると思います。復路にまで“ゲームチェンジャー”と呼ばれる選手を残しておく必要があります。アンカー勝負も想定して、例えば濵口を10区に置ければ、ラスト勝負では絶対に勝ってくる。最後の大手町で一歩前にいれば、それで勝てる。10区間トータルで戦えるチームを考え、準備を進めています」 中大史上、歴代最強と言っても過言ではないピースはそろった。あとは本番に向けて状態を合わせること、そしてどのようなメンタリティーで臨めるかだ。近年優勝を重ねてきた青学大や駒大にあって、中大にまだ足りないもの。それを藤原監督は「勝ち癖」や「ウイニングマインド」と表現する。 チーム内でエントリーメンバーを発表した際には、「ウイニングマインドを持つためには、日々の小さな積み重ねと、どれだけ本気で勝ちたいと思える準備ができるかが重要だ。それがタスキを同時にもらったときに、『俺のほうが強い』と思ってスタートできるかどうかの差になる」と選手たちに伝えたという。本番までの残り数日で、そのメンタル面が整えば、悲願達成はさらに近づくはずだ。 最多14回の総合優勝を誇る名門も、最後の栄冠から30年の時が流れた。優勝候補に挙げられながら、体調不良者が続出して涙を飲んだ2年前のような脆さは、今のチームからは微塵も感じられない。 今季のチームスローガン『真紅の歴史に新たな“1”を』を体現する大一番が迫ってきた。 [caption id="attachment_193758" align="alignnone" width="800"] 30年ぶりの勝利に向けて一丸で挑む中大[/caption] 文/小野哲史

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

2026.02.04

関東学院大にチーム初のケニア人留学生・オンディソが入学 自由ケ丘高・吉田悠輝ら11人が加入

関東学院大入部予定者 右は5000mベスト エズラ・オンディソ(ケニア) 27分50秒(10km) 吉田悠輝(自由ケ丘・福岡) 14分45秒63 上野岬紀(藤沢清流・神奈川)14分45秒80 本間空(相洋・神奈川)    […]

NEWS トヨタ紡織・下史典が引退 IH5000m日本人トップ、全国高校駅伝1区区間賞 箱根、ニューイヤーでも活躍

2026.02.04

トヨタ紡織・下史典が引退 IH5000m日本人トップ、全国高校駅伝1区区間賞 箱根、ニューイヤーでも活躍

【画像】引退が発表された下史典 【お知らせ】#下史典 選手が今年度限りで競技を引退することとなりましたのでご報告いたします。 先日行われました大阪ハーフがトヨタ紡織としてはラストランとなりました。 最後のレースは、2/1 […]

NEWS 日本選手権ハーフマラソン競歩 山西利和、勝木隼人、吉川絢斗、柳井綾音らがエントリー! 世界陸上金のボンフィムも参戦

2026.02.04

日本選手権ハーフマラソン競歩 山西利和、勝木隼人、吉川絢斗、柳井綾音らがエントリー! 世界陸上金のボンフィムも参戦

第109回日本選手権ハーフマラソン競歩 エントリーをチェック 山西利和(愛知製鋼) 逢坂草太朗(東洋大) 吉迫大成(東学大) 吉川絢斗(サンベルクス) 石田理人((福)八康会) 野田明宏(自衛隊体育学校) 古賀友太(大塚 […]

NEWS キプリモのハーフマラソン56分42秒は世界記録認定ならず 先導車が助力行為と判断

2026.02.04

キプリモのハーフマラソン56分42秒は世界記録認定ならず 先導車が助力行為と判断

【動画】キプリモと先導車の距離が近かったと指摘されているシーン

NEWS ミラノ・コルティナ五輪 開会式の旗手にキプチョゲ氏が選出

2026.02.04

ミラノ・コルティナ五輪 開会式の旗手にキプチョゲ氏が選出

2月6日にイタリアで行われるミラノ・コルティナ2026冬季五輪の開会式で男子長距離のE.キプチョゲ氏(ケニア)が五輪旗の旗手を務めることがわかった。 開会式では10人が旗手を務め、そのうちの1人としてキプチョゲ氏が選出さ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年2月号 (1月14日発売)

2026年2月号 (1月14日発売)

EKIDEN Review
第102回箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
全国高校駅伝
全国中学校駅伝
富士山女子駅伝

page top