2025.10.04
◇滋賀国民スポーツ大会(10月3日~7日/滋賀・平和堂HATOスタジアム:彦根総合スポーツ公園陸上競技場) 1日目
滋賀国スポ・陸上競技の2日目が行われ、成年男子やり投は﨑山雄太(愛媛・愛媛県競技力本部)が6回目の大逆転となる80m43を投げて優勝した。東京世界選手権本番では苦しい予選落ちだったが、貫禄勝ちだった。
﨑山が言う。「まだ切り替えられずモヤモヤしていましたが、支えになってくれた存在。大学の1つ先輩で、今日までお世話になったので、真剣勝負をしたいと思って、全日本実業団対抗と国スポに出ました」。視線の先にいたのが、小椋健司(栃木・エイジェック)だった。
22年オレゴン、23年ブダペストと世界選手権に2度出場した小椋が、今シーズン限りで引退をすることを明かした。「あんまり1位をとったことがない人生。引き立て役ですよ」と笑う。この言葉も小椋健司というスロワーの人柄がにじみ出る。
1995年生まれの30歳。桐生祥秀(日本生命)、小池祐貴(住友電工)、福部真子(日本建設工業)ら、きら星のごとくタレントが並ぶ世代だ。
鳥取県出身で、名門・倉吉総産高では67m56の自己記録を出し、インターハイは2年時に4位、3年時に3位。東京五輪代表になる小南拓人(染めQ)らがライバルだった。日大に進学し、当時現役だった村上幸史にアドバイスをもらいつつ、成長していく。
「僕が入った当時は強い選手がたくさんいて、70mを投げても6、7番手でした」。他ブロックにも走幅跳の小田大樹(ヤマダホールディングス)ら、有力選手がいた。さらに、1つ下に﨑山らが加わり、2学年下の北口榛花(JAL)も入学してくる。
「切磋琢磨できたから今の自分があります。日大に入って正解でした」
大学4年時に当時学生歴代5位の78m32をスロー。台北のユニバーシアードにも出場した。だが、日本インカレは2位が2回。日本選手権も一度も勝てなかったが、16年から22年まで7年連続入賞した。80mスロワーの仲間入りも21年と時間がかかった。
個性豊かな日大の選手たちにあって、いつも微笑んで人当たり優しく、少し後ろから見守っているような、そんな雰囲気があった。「一番苦しかった時に助けてくれました」とこの日、駆けつけた北口。コーチ不在となり、ケガや食事が喉を通らない時期があったが、その時に救いの手を差し伸べてくれたのが、小椋や﨑山、森秀ら男子の先輩たちだった。
22年のオレゴン世界選手権で初のシニア代表をつかむと、23年ブダペスト、同年アジア大会と日本代表を経験。「家族が支えでした」と、理解を示してくれた妻と長男、もうすぐ誕生する第二子が心のよりどころでもあった。
「本当はパリ五輪イヤーまでと決めていたのですが、歯切れの悪い終わり方になったので、家族に相談してあと1年本気でやってみようと思いました」。今年の3月には「結果がどうであれ引退」と決めていたという。シーズンを追うごとに「調子が悪くなった」と悔しさはあるが、「後輩たちがどんどん良い記録を出してくれたのがうれしい。素直に応援できます」と、やっぱり穏やかに笑った。
『一番』には遠かった競技人生。「(インターハイやインカレ、日本選手権など)日本一にはなれなかったですが、国体も連覇したり、全日本実業団対抗も勝ったり。楽しい思い出がいっぱい。もう満足です」。
この後、地元鳥取で記録会などには参加予定。「まずは家族もいるので」と仕事に従事しながら「大きな大会は最後ですが、趣味で続けて国スポに選ばれた出ようかな」。最後の大舞台は、さすがの安定感で5位入賞。「後輩にやられちゃいました」。涙はなく、やっぱり穏やかな笑顔で、世界で飛び立った後輩に目をやって競技場を去った。
【画像】やり投の小椋健司が引退 後輩・北口も駆けつける
#滋賀国スポ
— 月陸Online/月刊陸上競技 (@Getsuriku) October 4, 2025
今季限りで引退の小椋健司(栃木・エイジェック)
日大時代の後輩・北口榛花も駆けつけました! pic.twitter.com/1OXiojF6yp
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