HOME 国内、世界陸上、日本代表
女子マラソン7位 小林香菜「絶え間ない応援がありがたかった」 視線は28年ロス五輪へ/東京世界陸上
女子マラソン7位 小林香菜「絶え間ない応援がありがたかった」 視線は28年ロス五輪へ/東京世界陸上

東京世界陸上女子マラソン7位の小林香菜

【動画】小林香菜 涙のインタビュー

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目 東京世界陸上2日目のモーニングセッションが行われ、女子マラソンでは小林香菜(大塚製薬)は2時間28分50秒の7位でフィニッシュし、日本勢として3大会ぶりに入賞を果たした。 前々日の会見では「とても緊張していますが、ここに向けて練習をしてきました。その成果を出し切って、笑顔でフィニッシュしたい」と語っていた小林。実際のゴールは笑顔ではなく、倒れ込む姿だったが、それは力を出し切った証しでもあった。しかもレースを通じて大いに見せ場をつくった。 スタート直後、国立競技場を出ると小林は果敢に先頭へ。「夏の大きなレースなので牽制があると思っていた。河野匡監督からも『自分のペースで、無理に抑えなくていい』と言われていた」と振り返る。8km過ぎ、米国勢2人が抜け出すと、小林だけが迷わずついていった。 20kmから中間点を過ぎても3位を走っている小林の姿を見て、日本勢12年ぶりのメダル獲得を期待した者も少なくなかったはずだ。しかし、そうした淡い思いは24km付近で打ち破られる。後方にいたアフリカ勢らの集団が一気にペースアップし、小林を一気に置き去りにしたのだ。これぞ世界トップクラスの実力だった。 ただ、「いつか来ると思っていた」という小林には想定内の展開。だから慌てることなく、「鬼ごっこみたいな感じで、抜かれたからここからは自分が追いかけよう」と切り替えて前を追った。 28km手前で11位まで後退し「いっぱいいっぱいだった」というが、沿道から順位を伝えられ「入賞(8位以内)を狙える」と奮起。少しずつ順位を上げ、35km手前で8位に浮上。さらに前を走っていたマグダリン・マサイ(ケニア)の途中棄権で7位に上がり、最後は後方の追い上げをしのぎ切った。 「本当に最高でした。みなさんが沿道で絶え間なくずっと応援してくださって、特に秋葉原や折り返し地点では、頭が痛いくらい声が聞こえて本当にありがたかったです」とレース後は笑顔が弾けた。 ランニングサークル出身という異色の経歴を持つ小林。今年1月の大阪国際女子マラソンでは終盤に大逆転を演じ、2時間21分19秒の日本歴代10位(当時)で日本人トップの2位を占めた。その勢いで世界選手権代表に選ばれる展開は、本人も想像していなかっただろう。 「自分はずっと楽しみながらマラソンをやってきたので、1人での合宿は孤独で精神的に一番きつかった。代表に選ばれたプレッシャーも大きく、気持ちが辛い時期もありました」と吐露する。それでもただ、そういう中でも「電波の悪い(合宿地の)山の中でも電話に付き合ってくれる友達や家族」が心の支えとなり、小林を「がんばろう」と奮い立たせる原動力だった。 この結果により、小林は2027年秋に予定される28年ロサンゼルス五輪代表を懸けたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権を獲得。「世界の舞台を経験できたことは大きな強みになる。これを無駄にしないようにしっかりロサンゼルス五輪につなげていきたいです」と、小林は力強く語った。 文/小野哲史

【動画】小林香菜 涙のインタビュー

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.14

35km競歩 脱水症状の川野将虎「競歩に人生を捧げてきて良かった」症状回復、感謝のコメント/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)1日目 東京世界陸上の初日、モーニングセッションに行われた男子35km競歩で、川野将虎(旭化成)は2時間37分15秒で18位。フィニッシュ後にあいさつした後は転倒してケイレ […]

NEWS 女子35km競歩の渕瀬真寿美「きついレースになってしまった」07年大阪に続いて地元大会歩き切る/東京世界陸上

2025.09.14

女子35km競歩の渕瀬真寿美「きついレースになってしまった」07年大阪に続いて地元大会歩き切る/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)1日目 東京世界陸上1日目のモーニングセッションで行われた女子35km競歩に出場した渕瀬真寿美(建装工業)のコメントが9月14日、日本陸連から発表された。 渕瀬は3時間3分 […]

NEWS スピードの赤松諒一、技術の真野友博、パワーの瀬古優斗 史上最強・走高跳トリオが出陣/東京世界陸上

2025.09.14

スピードの赤松諒一、技術の真野友博、パワーの瀬古優斗 史上最強・走高跳トリオが出陣/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目 東京世界陸上2日目のイブニングセッションに、男子走高跳予選が行われる。日本からは赤松諒一(SEIBU PRINCE)、真野友博(九電工)、瀬古優斗(FAAS)が代表 […]

NEWS 世界最速王者&女王が今夜決定!男子走高跳“日本最強トリオ”が決勝狙う/東京世界陸上DAY2イブニングみどころ

2025.09.14

世界最速王者&女王が今夜決定!男子走高跳“日本最強トリオ”が決勝狙う/東京世界陸上DAY2イブニングみどころ

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目 東京世界陸上の2日目のイブニングセッションも注目種目が目白押しだ。 何と言っても世界最速を懸けた男女各100mは準決勝、そして決勝が行われる。予選1組から9秒8台が […]

NEWS 明日朝スタートの男子マラソン 細谷恭平の補欠登録を解除/東京世界陸上

2025.09.14

明日朝スタートの男子マラソン 細谷恭平の補欠登録を解除/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目 日本陸連は9月14日、世界陸上男子マラソンの補欠だった細谷恭平(黒崎播磨)の登録を解除したと発表した。 男子マラソンは明日15日7時30分にスタート。日本からは小山 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top