HOME 国内、世界陸上、日本代表
田中希実は1500m3大会連続の予選突破はならず 「あきらめることな走り切れた」 5000mへ続くチャレンジ/東京世界陸上
田中希実は1500m3大会連続の予選突破はならず 「あきらめることな走り切れた」 5000mへ続くチャレンジ/東京世界陸上

女子1500m予選1組10着で準決勝進出はならなかった田中希実

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)1日目

東京世界陸上初日のイブニングセッションが行われ、女子1500m予選1組に出場した田中希実(New Balance)は4分07秒34の10着で準決勝進出を逃した。3大会連続の予選突破はならなかった。

「冷静に考えると、やっぱり実力不足。でも、実力不足だと最初からあきらめるのではなくて、ゴールの瞬間まで(脚を)動かしたいという気持ちがありましたし、今日は久しぶりにずっとあきらめることなく走り切れました」。田中は予選敗退を真摯に受け止めた。

広告の下にコンテンツが続きます

4年前の東京五輪では、日本人初となる決勝に進み、8位入賞を果たした1500m。世界選手権でも前々回、前回と準決勝には駒を進めていた。しかし、「今の私にとっては、真剣にレースに向かおうとした時に怖さしかない」。さまざまな経験を積んだ今回は同じレースを競うライバルたちとは別に、伸しかかる重圧とも戦わなければならなかった。

それでもスタート前の選手紹介では、田中の名がアナウンスされたとき、無観客開催だった東京五輪ではなかった大歓声を浴びた。「すごくうれしかった」と笑顔で応え、胸の内には昂ぶる思いも芽生えた。

レースが始まると、まずは3番手についた。先頭は400mを1分06秒73で通過。残り2周で2位に上がり、積極性は見せ続けた。800m通過は2分15秒68。ただ、ラスト1周でペースアップした選手たちに次々と置いていかれ、対応できないまま無念のフィニッシュとなった。

「1500mが終わってしまったことは悔しいというより喪失感がすごく大きい。悔しいという気持ちにさえもなれないのが不甲斐ないです」と話し、「1500mに関してはもっと実力をつけなさいということだと思うので、そこはしっかり受け入れていかないといけないと思います」と、やるせない表情で肩を落とした。

1500mで望む結果を出せなかったが、田中の東京世界陸上はこれで終わりではない。次なる戦いは18日、大会6日目の5000mだ。

「1500mは答えが出たので、5000mも答えを見つけに行きたいです。5000mも今は怖さのほうが大きいですが、結局は今日と同じ姿勢で行くしかないのかなと。ちゃんと“生き残る”ことを信じて、最後の瞬間まで疑わない姿はもう1回お見せしたいと思います」

自分の納得いく走りを目指し、田中のチャレンジは続く。

文/小野哲史

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)1日目 東京世界陸上初日のイブニングセッションが行われ、女子1500m予選1組に出場した田中希実(New Balance)は4分07秒34の10着で準決勝進出を逃した。3大会連続の予選突破はならなかった。 「冷静に考えると、やっぱり実力不足。でも、実力不足だと最初からあきらめるのではなくて、ゴールの瞬間まで(脚を)動かしたいという気持ちがありましたし、今日は久しぶりにずっとあきらめることなく走り切れました」。田中は予選敗退を真摯に受け止めた。 4年前の東京五輪では、日本人初となる決勝に進み、8位入賞を果たした1500m。世界選手権でも前々回、前回と準決勝には駒を進めていた。しかし、「今の私にとっては、真剣にレースに向かおうとした時に怖さしかない」。さまざまな経験を積んだ今回は同じレースを競うライバルたちとは別に、伸しかかる重圧とも戦わなければならなかった。 それでもスタート前の選手紹介では、田中の名がアナウンスされたとき、無観客開催だった東京五輪ではなかった大歓声を浴びた。「すごくうれしかった」と笑顔で応え、胸の内には昂ぶる思いも芽生えた。 レースが始まると、まずは3番手についた。先頭は400mを1分06秒73で通過。残り2周で2位に上がり、積極性は見せ続けた。800m通過は2分15秒68。ただ、ラスト1周でペースアップした選手たちに次々と置いていかれ、対応できないまま無念のフィニッシュとなった。 「1500mが終わってしまったことは悔しいというより喪失感がすごく大きい。悔しいという気持ちにさえもなれないのが不甲斐ないです」と話し、「1500mに関してはもっと実力をつけなさいということだと思うので、そこはしっかり受け入れていかないといけないと思います」と、やるせない表情で肩を落とした。 1500mで望む結果を出せなかったが、田中の東京世界陸上はこれで終わりではない。次なる戦いは18日、大会6日目の5000mだ。 「1500mは答えが出たので、5000mも答えを見つけに行きたいです。5000mも今は怖さのほうが大きいですが、結局は今日と同じ姿勢で行くしかないのかなと。ちゃんと“生き残る”ことを信じて、最後の瞬間まで疑わない姿はもう1回お見せしたいと思います」 自分の納得いく走りを目指し、田中のチャレンジは続く。 文/小野哲史

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.15

関西スポーツ賞に20㎞競歩世界新・山西利和、800m東京世界陸上出場・久保凛が選出!

第69回関西スポーツ賞の個人部門に、男子20km競歩で世界新記録を樹立した山西利和(愛知製鋼)、東京世界選手権女子800m出場の久保凛(東大阪大敬愛高3)が選出された。 同賞はその年の優秀な成績、関西スポーツ界への貢献度 […]

NEWS なぜ、トップアスリートがOnを選ぶのか? “人気2モデル”の記録更新に向けての『履き分け』とは
PR

2025.12.15

なぜ、トップアスリートがOnを選ぶのか? “人気2モデル”の記録更新に向けての『履き分け』とは

スイスのスポーツブランド「On(オン)」。同社は、陸上の男子3000m障害の日本記録保持者で、9月に東京で開催された世界選手権で最後まで優勝争いを演じて8位入賞を果たした三浦龍司(SUBARU)や、学生時代から駅伝やトラ […]

NEWS 2026年の日本ICは9月上旬に日産スタジアムで開催!10000mは4月の日本学生個人で実施 全日本大学駅伝は11月1日

2025.12.15

2026年の日本ICは9月上旬に日産スタジアムで開催!10000mは4月の日本学生個人で実施 全日本大学駅伝は11月1日

日本学生陸上競技連合は12月15日、2026年度の主催競技会日程を発表し、第95回日本インカレは9月5日~7日に神奈川県横浜市の日産スタジアムでの開催が決まった。 ただし、暑熱対策として、同大会実施種目のうち男女競歩は1 […]

NEWS アンダーアーマーの新作「UA ベロシティ」シリーズ3モデルを同時発売!12月20日より発売開始

2025.12.15

アンダーアーマーの新作「UA ベロシティ」シリーズ3モデルを同時発売!12月20日より発売開始

アンダーアーマーの日本総代理店である株式会社ドームは12月15日、最新ランニングシリーズ「UA ベロシティ」を12月20日より発売することを発表した。 新モデルは、ランナー一人ひとりの目的やレベルに応じて最適な1足を選べ […]

NEWS 女子はバットクレッティが連覇!東京世界陸上ダブルメダルの実力示す 男子はンディクムウェナヨV/欧州クロカン

2025.12.15

女子はバットクレッティが連覇!東京世界陸上ダブルメダルの実力示す 男子はンディクムウェナヨV/欧州クロカン

12月14日、ポルトガル・ラゴアで欧州クロスカントリー選手権が行われ、女子(7470m)はパリ五輪10000m銀メダルのN.バットクレッティ(イタリア)が24分52秒で優勝した。 バットクレッティは現在25歳。今年の東京 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top