HOME 学生長距離

2024.12.23

箱根駅伝Stories/2年前の雪辱を期する東洋大・石田洸介 チームのために「自分の最大限の力を出し切る」
箱根駅伝Stories/2年前の雪辱を期する東洋大・石田洸介 チームのために「自分の最大限の力を出し切る」

最後の箱根路で完全燃焼を誓っている東洋大・石田洸介

新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。

最終学年充実の前半戦

東洋大に頼もしい選手が帰ってきた。4年の石田洸介。その実績は華々しく、各世代の記録を塗り替えてきた逸材だ。

広告の下にコンテンツが続きます

福岡・浅川中時代には1500mと3000mで当時の中学記録を樹立し、全中実施種目ではない5000mでも中学最高記録。群馬・東農大二高に進むと、3年時には5000mの高校記録を16年ぶりに更新している。

東洋大では1年目から駅伝で活躍。出雲駅伝5区、全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得し、“スーパールーキー”の呼び声に違わぬ走りをさっそく披露した。

ところが、箱根駅伝ではなかなか力通りの活躍を見せられずにいる。1年時は体調が万全ではなかったために起用されず、2年時は満を持して2区に登場したものの、区間19位と力を発揮することができなかった。チームは10位に踏みとどまり、なんとか連続シード権を確保したものの、石田には悔しさだけが残った。

「箱根駅伝で悔しい思いをして、なかなか立ち直ることができず、自分軸というものがなくなってしまったと感じました」。3年生になった石田は、陸上競技から離れ、自分自身を見つめ直す時間を設けた。

なぜ自分が走っているのか、自分は陸上で何を目指しているのか・・・・・・。競技を辞めることも考えたというが、そんな自問自答を繰り返し、日々変化する自分自身の心境と向き合った。

競技を離れていた期間は4ヵ月にも及んだ。走る気力を少しずつ取り戻した石田は、チームに戻る決断をする。仲間も言葉にはせずとも、石田の帰りを待っていた。

3年目は一度も駅伝を走ることがなかったが、仲間の走りは石田にとって大きな刺激になった。

「チームを支えてきた梅崎(蓮、現・4年)と小林(亮太、同)が、箱根駅伝で魂の込もった攻めの走りを見せてくれて、本当に感動しました。2人の走りには“このままでは絶対に終わらせない”という気迫がありました。2人の走りが、僕の心に火をつけてくれました」

そして、最終学年を迎えた石田は復活を果たす。春先からトラックレースで力走を続け、5月の関東インカレ(1部)では10000mに出場し、28分08秒29の自己ベストで6位入賞を果たした。さらに、6月の全日本大学駅伝関東地区選考会では3組で1着を奪う活躍を見せ、本大会出場に貢献した。

「前半シーズンは、ほぼほぼ自分の思うようにできました。一番大きかったのは関東インカレ。表彰台が見えてから6位に落ちてしまった部分は課題ですが、あの時は自分の全力を出し切ることができました」と、充実した前半戦を送った。

新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。

最終学年充実の前半戦

東洋大に頼もしい選手が帰ってきた。4年の石田洸介。その実績は華々しく、各世代の記録を塗り替えてきた逸材だ。 福岡・浅川中時代には1500mと3000mで当時の中学記録を樹立し、全中実施種目ではない5000mでも中学最高記録。群馬・東農大二高に進むと、3年時には5000mの高校記録を16年ぶりに更新している。 東洋大では1年目から駅伝で活躍。出雲駅伝5区、全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得し、“スーパールーキー”の呼び声に違わぬ走りをさっそく披露した。 ところが、箱根駅伝ではなかなか力通りの活躍を見せられずにいる。1年時は体調が万全ではなかったために起用されず、2年時は満を持して2区に登場したものの、区間19位と力を発揮することができなかった。チームは10位に踏みとどまり、なんとか連続シード権を確保したものの、石田には悔しさだけが残った。 「箱根駅伝で悔しい思いをして、なかなか立ち直ることができず、自分軸というものがなくなってしまったと感じました」。3年生になった石田は、陸上競技から離れ、自分自身を見つめ直す時間を設けた。 なぜ自分が走っているのか、自分は陸上で何を目指しているのか・・・・・・。競技を辞めることも考えたというが、そんな自問自答を繰り返し、日々変化する自分自身の心境と向き合った。 競技を離れていた期間は4ヵ月にも及んだ。走る気力を少しずつ取り戻した石田は、チームに戻る決断をする。仲間も言葉にはせずとも、石田の帰りを待っていた。 3年目は一度も駅伝を走ることがなかったが、仲間の走りは石田にとって大きな刺激になった。 「チームを支えてきた梅崎(蓮、現・4年)と小林(亮太、同)が、箱根駅伝で魂の込もった攻めの走りを見せてくれて、本当に感動しました。2人の走りには“このままでは絶対に終わらせない”という気迫がありました。2人の走りが、僕の心に火をつけてくれました」 そして、最終学年を迎えた石田は復活を果たす。春先からトラックレースで力走を続け、5月の関東インカレ(1部)では10000mに出場し、28分08秒29の自己ベストで6位入賞を果たした。さらに、6月の全日本大学駅伝関東地区選考会では3組で1着を奪う活躍を見せ、本大会出場に貢献した。 「前半シーズンは、ほぼほぼ自分の思うようにできました。一番大きかったのは関東インカレ。表彰台が見えてから6位に落ちてしまった部分は課題ですが、あの時は自分の全力を出し切ることができました」と、充実した前半戦を送った。

久しぶりの三大駅伝「大きな一歩」

しかし、好事魔多しとはこのこと。前半戦の好調ぶりから一転して、8月に右のアキレス腱を痛めてしまい、秋を万全な状態で迎えることができなかった。 「夏は個人的には駅伝に向けたスタミナ、体力作りに取り組みたかったですし、4年生という立場もあるので、チームを引っ張っていかなければいけませんでした。でも、足が全然治らず、練習を引っ張ることもできずに、あっという間に月日が経ちました。出雲駅伝を諦めていなかったので、それに向けて何とかしなきゃいけないと思っていたのですが、それが裏目に出てしまったこともあります」 学生最後の駅伝シーズンに雪辱を期したはずが、出雲は不出場。全日本には間に合わせたが、6区21位と本来の走りからは遠かった。 「全日本は復帰して2週間程度だったので、個人的に厳しい状況ではありましたが、それを承知の上で出場しました。流れを作るような走りをしたかったのですが、うまく走ることができず、チームとしてもシード権を落としてしまい、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした」。そんな悔しさを打ち明ける。 だが、苦しんだ時期が長かっただけに、今度は石田の心が簡単に折れることはなかった。「悔しかった反面、第99回箱根駅伝から1年以上駅伝に出られずにいたので、全日本大学駅伝で久しぶりに三大駅伝の舞台に立てて、自分の中では大きな一歩を踏み出せたと感じています」と、箱根に向けて前を向く。 11月下旬の時点の調子は「前半シーズンと比べるとまだまだ。60%とかそこら辺です」と自己分析。「もう一段、二段ぐらい上げていかないと、箱根はきついと思っています」と自戒する。 「本当に最後の箱根駅伝なので、どの区間に選ばれても、チームのために走りたいです。苦い思い出が残る箱根駅伝を“走って良かった”と塗り替えられるような走りをしたい。区間賞を取って納得したい気持ちもあるのですが、自分の最大限の力を出し切って“もうこれ以上走れない”というぐらいの走りができたなら、それも、自分にとっての納得のできる走りだと思います」 2年前の雪辱を期す箱根駅伝は、往路区間を希望するが、どの区間を任されようと、チームのために全力を注ぐと覚悟を決めている。 [caption id="attachment_123595" align="alignnone" width="800"] 5月の関東インカレでは10000mで6位に入った石田洸介[/caption] いしだ・こうすけ/2002年8月21日生まれ。福岡県遠賀町出身。福岡・浅川中→群馬・東農大二高。5000m13分34秒74、10000m28分08秒29、ハーフ1時間3分09秒 文/和田悟志

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

PR

2026.02.16

日本マラソン界のホープ・平林清澄、世界に向けた挑戦! パワーアップの源となるレース前のルーティーンとは―

昨季まで國學院大學の主力として大学駅伝界を沸かせた平林清澄(ロジスティード)は、社会人になり〝冬眠〟期間を経てパワーアップした走りを披露している。狙ったレースを外さないのが平林。学生時代から食事等に人一倍気を使ってきたが […]

NEWS 【女子棒高跳】伊藤来莉(大砂土中1埼玉) 3m60=中1最高

2026.02.16

【女子棒高跳】伊藤来莉(大砂土中1埼玉) 3m60=中1最高

令和7年度第47回群馬県室内棒高跳記録会が、2月15日に群馬県吉岡町の棒高跳専用室内施設「ベルドーム」で行われ、女子高校・一般棒高跳で中学1年生の伊藤来莉(大砂土中1埼玉)が3m60の中1最高記録を更新した。これまでの中 […]

NEWS 【女子棒高跳】髙橋美優(観音寺中部中3香川) 3m74=中学歴代9位

2026.02.16

【女子棒高跳】髙橋美優(観音寺中部中3香川) 3m74=中学歴代9位

香川室内跳躍競技会が2月7日、8日に香川県観音寺市の市立総合体育館で行われ、7日の中学女子棒高跳で髙橋美優(観音寺中部中3)が3m74の中学歴代9位の記録で優勝した。 髙橋のこれまでのベストは昨年の県中学通信でマークした […]

NEWS キピエゴンが10km29分46秒で快勝 !「マラソンへの第一歩」

2026.02.16

キピエゴンが10km29分46秒で快勝 !「マラソンへの第一歩」

モナコ・ランが2月15日に開催され、女子ロード10kmで1500mの世界記録保持者F.キピエゴン(ケニア)がで29分46秒をマークした。 キピエゴンは五輪・世界選手権で8つの金メダルを獲得している32歳。ロード種目は23 […]

NEWS 三段跳・ロハスが14m95!23年以降の自己最高、アキレス腱断裂の大ケガからようやく復調へ

2026.02.16

三段跳・ロハスが14m95!23年以降の自己最高、アキレス腱断裂の大ケガからようやく復調へ

スペイン国内のクラブ室内選手権が2月14日にバルセロナで開催され、女子三段跳に世界記録保持者のY.ロハス(ベネズエラ)が出場し、今季世界最高の14m95をマークした。 ロハスは22年に15m74の世界記録を樹立した30歳 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年3月号 (2月14日発売)

2026年3月号 (2月14日発売)

別府大分毎日マラソン
大阪国際女子マラソン
矢田みくにインタビュー
追跡箱根駅伝

page top