HOME 駅伝

2024.10.14

國學院大・チーム一丸での逆転V 平林清澄「みんなの勢いを借りて優勝できた」/出雲駅伝
國學院大・チーム一丸での逆転V 平林清澄「みんなの勢いを借りて優勝できた」/出雲駅伝

24年出雲駅伝のフィニッシュテープを切る國學院大・平林清澄

◇第36回出雲駅伝(10月14日/6区間45.1km:島根・出雲大社正面鳥居前スタート、出雲ドームフィニッシュ)

学生三大駅伝の開幕を告げる第36回出雲駅伝が行われ、國學院大が2時間9分24秒で5年ぶり2回目の優勝を果たした。

昨年度の学生駅伝で優勝を経験している青学大と駒大、そして今季好調の國學院大の三つ巴が予想された今大会。終盤まで、その有力校が互いに見せ場を作る白熱したレースが展開された。

1区では青学大の鶴川正也(4年)が國學院大の青木瑠郁(3年)との競り合いを制して区間賞を獲得。國學院大は8秒差の3位、駒大が16秒差の6位で通過した。2区は創価大・吉田響(4年)が区間賞を獲得して抜け出すなか、3校は10秒差以内で3区に中継する。準エース区間の3区では青学大・黒田朝日(3年)、駒大・山川拓馬(3年)、國學院大・辻原輝(2年)が集団を形成。辻原は「当初は心配もあったけど、僕の仕事は青学大や駒大と最小限の差でつなぐこと」と、2人に離されたものの最後まで粘り、トップ青学大と20秒、駒大とは16秒差で前半を乗り越えた。

國學院大が圧巻だったのが、後半の3区間。学生駅伝デビュー戦となった4区の野中恒亨(2年)は、「今回のメンバーでは一番僕が弱いので、先輩や同期の辻原に楽をさせてもらった」と言いつつも、攻めの走りを披露。単独走と難しい状況にもかかわらず、首位争いをする青学大、駒大との差を詰めて中継。区間賞で反撃の狼煙を上げた。

すると、続く上原琉翔(3年)も「アンカーには平林さんがいたので安心して走れました」と言うように、のびのびと出雲路を快走。下がってきた青学大をかわすと、5km地点で駒大にも追いつく。残り1kmを切ってからスピードを上げると駒大も振り切り区間1位の走りで、エースの平林清澄(4年)にタスキが渡った。

広告の下にコンテンツが続きます

エースの平林清澄は今年2月の大阪マラソンでは2時間6分18秒の初マラソン日本新、日本学生記録で優勝。その後はレースを絞り、今大会は7月以来の実戦レースで、フレッシュな状態で駅伝に臨んでいた。1.1kmには4秒差でスタートした駒大・篠原倖太朗(4年)に追いつかれたが、レースの主導権は渡さず。9月からの連戦で疲れも見える篠原に対して、「自分で行くしかないと決め、浜山の上りを使ってスパートして離すことができた」と狙いどおりのレースを展開した。

1区から5区の選手たちはアンカーにエースがいることで、落ち着いて走ることができ、また平林も「僕がアンカーにいるからではなく、みんなが強いので、その勢いを借りて優勝することができました。自分だけの走りではない。みんなありがとう」と感謝の言葉を掛けたように、エースの力だけではなく、チーム全体で勝ち取った5年ぶりの栄冠。終わってみれば、後半3区間の区間賞も独占し、前田康弘監督も「多くの方に支えられた優勝、『オール國學院』の優勝だとおもいます」と出雲制覇を評価する。

2022年度は出雲、全日本と2位となり、箱根では4位。昨年度はさらなる上昇を目指したが、三大駅伝すべてで前年の順位を下回る歯がゆいシーズンとなった。しかし、2019年の出雲駅伝で優勝したチームにあこがれて入学した平林が、いまや日本を代表する長距離ランナーへと成長。青木や上原、辻原など他校のエースにも引けを取らない選手たちも育っている。出雲優勝を経て、全日本、箱根でも優勝を狙っていく。

◇第36回出雲駅伝(10月14日/6区間45.1km:島根・出雲大社正面鳥居前スタート、出雲ドームフィニッシュ) 学生三大駅伝の開幕を告げる第36回出雲駅伝が行われ、國學院大が2時間9分24秒で5年ぶり2回目の優勝を果たした。 昨年度の学生駅伝で優勝を経験している青学大と駒大、そして今季好調の國學院大の三つ巴が予想された今大会。終盤まで、その有力校が互いに見せ場を作る白熱したレースが展開された。 1区では青学大の鶴川正也(4年)が國學院大の青木瑠郁(3年)との競り合いを制して区間賞を獲得。國學院大は8秒差の3位、駒大が16秒差の6位で通過した。2区は創価大・吉田響(4年)が区間賞を獲得して抜け出すなか、3校は10秒差以内で3区に中継する。準エース区間の3区では青学大・黒田朝日(3年)、駒大・山川拓馬(3年)、國學院大・辻原輝(2年)が集団を形成。辻原は「当初は心配もあったけど、僕の仕事は青学大や駒大と最小限の差でつなぐこと」と、2人に離されたものの最後まで粘り、トップ青学大と20秒、駒大とは16秒差で前半を乗り越えた。 國學院大が圧巻だったのが、後半の3区間。学生駅伝デビュー戦となった4区の野中恒亨(2年)は、「今回のメンバーでは一番僕が弱いので、先輩や同期の辻原に楽をさせてもらった」と言いつつも、攻めの走りを披露。単独走と難しい状況にもかかわらず、首位争いをする青学大、駒大との差を詰めて中継。区間賞で反撃の狼煙を上げた。 すると、続く上原琉翔(3年)も「アンカーには平林さんがいたので安心して走れました」と言うように、のびのびと出雲路を快走。下がってきた青学大をかわすと、5km地点で駒大にも追いつく。残り1kmを切ってからスピードを上げると駒大も振り切り区間1位の走りで、エースの平林清澄(4年)にタスキが渡った。 エースの平林清澄は今年2月の大阪マラソンでは2時間6分18秒の初マラソン日本新、日本学生記録で優勝。その後はレースを絞り、今大会は7月以来の実戦レースで、フレッシュな状態で駅伝に臨んでいた。1.1kmには4秒差でスタートした駒大・篠原倖太朗(4年)に追いつかれたが、レースの主導権は渡さず。9月からの連戦で疲れも見える篠原に対して、「自分で行くしかないと決め、浜山の上りを使ってスパートして離すことができた」と狙いどおりのレースを展開した。 1区から5区の選手たちはアンカーにエースがいることで、落ち着いて走ることができ、また平林も「僕がアンカーにいるからではなく、みんなが強いので、その勢いを借りて優勝することができました。自分だけの走りではない。みんなありがとう」と感謝の言葉を掛けたように、エースの力だけではなく、チーム全体で勝ち取った5年ぶりの栄冠。終わってみれば、後半3区間の区間賞も独占し、前田康弘監督も「多くの方に支えられた優勝、『オール國學院』の優勝だとおもいます」と出雲制覇を評価する。 2022年度は出雲、全日本と2位となり、箱根では4位。昨年度はさらなる上昇を目指したが、三大駅伝すべてで前年の順位を下回る歯がゆいシーズンとなった。しかし、2019年の出雲駅伝で優勝したチームにあこがれて入学した平林が、いまや日本を代表する長距離ランナーへと成長。青木や上原、辻原など他校のエースにも引けを取らない選手たちも育っている。出雲優勝を経て、全日本、箱根でも優勝を狙っていく。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.01

東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

東京メトロは5月1日、伊東明日香が入部したと発表した。今年3月31日に埼玉医科大グループを退部していた。 伊東は東京・順天高時代から全国高校駅伝に出場。東洋大進学後は全日本女子大学駅伝や富士山女子駅伝など全国大会に出走し […]

NEWS 九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

2025.05.01

九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

九電工は5月1日、ケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが同日付で加入したと発表した。 ニアマイアはケリンゲット高出身の27歳。ハーフマラソンや10kmなどロードレースを主戦場としている。自己ベストは5000m13分57秒3 […]

NEWS アディダスによるスポーツを通じたグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET」が今年も開催!

2025.05.01

アディダスによるスポーツを通じたグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET」が今年も開催!

アディダス ジャパンは、未来のスポーツ環境を支えるためのグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET(ムーブ・フォー・ザ・プラネット)」を5月12日~25日まで開催することを発表した。5月12日の計測開 […]

NEWS 水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top