日本学生陸上競技連合(日本学連)は8月29日、国際武道大が同大競技場で実施した陸上競技部主催の競技会において、不適正行為があったことを明らかにした。
日本学連によると、国際武道大陸上競技部主催の競技会において、少なくとも2014年4月以降、2023年10月まで、以下の不適正行為があったという。
・同大競技場は逆走の公認を得ていないにもかかわらず、ホームストレートが向かい風になった場合などに100m、110mハードル(混成競技を含む)のレースを、ホームストレートを逆走する方法でレースを実施した。
・110mハードルはスタート地点から1台目のハードルまでの距離(13.72m)が10台目のハードルからフィニッシュ地点までの距離(14.02m)よりも30cm短い。そのため、逆走の場合はすべてのハードルを本来の設置位置よりもフィニッシュ地点に30cm近づけた位置に設置していた。その際、30cmをメジャーで計測し、テーピングテープをレーンライン上に貼って目印にしていた。
・逆走の場合に電動計時システムを使用せず、ハイスピードカメラにて撮影したレース動画を用い、「スタート時のピストルの光(煙)が映ったコマ」と「フィニッシュのコマ」とのコマ数からタイムを算出していた。
以上3つの方法で実施されたレースは、いずれも公認記録とはならない。
加えて、これらの不適正行為は当時の監督の発案で始まったこと、および、当時の監督や担当コーチを含めて記録が公認されないことを認識したうえで、指導者の判断で実施していたこと。さらに、2019年以降は国際武道大の選手だけが参加する競技会のみで上記方法を採用し、他校の選手が参加する競技会では行っていない、ということも判明しており、不適正な実施方法と認識していたことは明らかだと日本学連は判断した。
そのため、このことが発覚したあと、判明している対象レースについて公認記録の取り消し措置が実施された。また、対象のレースの記録を資格記録として日本インカレ等の日本学連主催競技会に出場した選手もいたことも判明しており、その選手の当該競技会における競技成績はすべて取り消される。
加えて、以下の処分を課すことも発表した。
・8月29日までに開催された国際武道大主催の競技会における同大所属選手の100m、110mハードル、および男子混成競技の記録は、日本学連主催の今後の競技会において参加資格記録としては認めない。
・8月29日から2年間、国際武道大が競技会を主催することを禁止。
・元監督が日本学連主催競技会への2年間の参加禁止(来場を含む)、および日本学連における委員の解任。総監督、ハードル担当コーチは2年間、監督は1年間の日本学連主催競技会への参加禁止(来場を含む)。
今回の一件を踏まえ、日本学連は以下のように改めて「競技会の適正な実施」を訴えた。
日本学連「競技会の適正な実施」について
陸上競技は、記録のスポーツです。 ルールに則った正しい計測は、その大前提となります。公認された競技場で正しく実施される競技会において、共通の方法で計測がされることによって、場所や時代を超えて記録を比較することが可能となります。この大前提が崩れれば、陸上競技がスポーツとして成立せず、そして、陸上競技の魅力も失われてしまいます。 今回の事案に限られず、風速の測定やファウルの判定等についても、正しく実施される必要があることは、いうまでもありません。 記録会を開催する全国の各大学や、競技審判等を務める学生の皆さんにおかれましては、ご自身方が陸上競技の大前提を支えていることを改めて認識の上で、引き続き、正しい計測や判定に、常に意を払っていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.09.09
セキノ興産・細川翔太郎が引退 法大時代に箱根駅伝で活躍 ニューイヤー駅伝にも出場
-
2024.09.09
-
2024.09.09
-
2024.09.09
-
2024.09.06
2024.08.20
BROOKSの新作ランニングシューズ「Ghost MAX 2」が9月3日より発売開始!
-
2024.08.13
-
2024.08.30
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.09.10
9/13に隅田川の12の橋がライトアップ!東京世界陸上1年前に合わせて大会メインカラーの紫に
東京都は9月10日、東京世界陸上開催が9月13日に1年前を迎えることに合わせて、隅田川に架かる橋を紫色にライトアップすることを発表した。 築地大橋、佃大橋、蔵前橋など12の橋梁で、日没の15分後から23時までの間で行われ […]
2024.09.09
セキノ興産・細川翔太郎が引退 法大時代に箱根駅伝で活躍 ニューイヤー駅伝にも出場
9月9日、セキノ興産は所属する細川翔太郎が8月31日付で引退したことを発表した。 細川は長野県出身の28歳。大町高では全国大会出場の経験はなかったが、法大へ進学後に実力をつけ、2年目には箱根駅伝の5区に抜擢された。箱根は […]
2024.09.09
福永凌太が400mで銀メダル! 唐澤剣也、佐藤友祈、鬼谷慶子も銀 日本勢は9個のメダル獲得/パリ・パラリンピック
パリ・パラリンピックが8月30日から9月8日まで行われ、男子400mのT13クラス(視覚障害)は福永凌太(日体大)が48秒07で銀メダルを獲得した。 昨年の世界パラ選手権で金メダルを獲得している福永。5日に行われたレース […]
2024.09.09
東京五輪女子800m金メダリスト・ムーが婚約か プロポーズと見られる写真をSNSで公開
東京五輪女子800m金メダリストのA.ムー(米国)が自身のSNSを更新し、プロポーズを受けたと見られる写真を投稿した。 「否定されてばかりのこの年に、神は祝福をもたらした、肯定とともに」という文章とともに、プロポーズとみ […]
Latest Issue 最新号
2024年9月号 (8月9日発売)
速報 パリ五輪
大盛況 福岡IH
久保凛 日本新特集!