HOME 海外、五輪

2024.08.05

「勝つつもりで走リ続けるしかなかった」 ライルズが王者の走り 大一番で9秒79の自己新V/パリ五輪
「勝つつもりで走リ続けるしかなかった」 ライルズが王者の走り 大一番で9秒79の自己新V/パリ五輪

9秒79の自己新で男子100mを制したライルズ

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)4日目

パリ五輪・陸上競技4日目のイブニングセッションが行われ、接戦となった男子100mはノア・ライルズ(米国)が9秒79(+1.0)で初の五輪チャンピオンとなった。

広告の下にコンテンツが続きます

昨年のブダペスト世界選手権では100m、200m、4×100mリレーの3冠に輝き、スプリント王者に就いたライルズ。今大会でも当然、金メダル候補に挙げられていたが、その地位は決して安泰ではなかった。

今季は20代前半の若手が台頭し、23歳のキシェーン・トンプソン(ジャマイカ)が6月に9秒77の世界歴代9位タイのタイムを出したほか、同じ年のオブリク・セヴィル(ジャマイカ)も9秒82、ブダペスト世界選手権2位の21歳のレツィレ・テボゴ(ボツワナ)もケガから復調し、頂点をうかがっていた。

もちろんライルズも世界王者として安定した力を披露。全米五輪選考会を9秒83の自己タイで制すると、7月20日のダイヤモンドリーグ(DL)ロンドン大会で9秒81(-0.3)の自己記録をマーク。五輪に向けて、調子を上げてパリに乗り込んでいた。

ただ、パリ五輪でのライルズは予選で10秒04(-0.2)。余裕を持っての通過ではあったが、ライバルが9秒台をマークするなかではやや見劣りするタイムに。決勝の約2時間前に行われた準決勝では9秒83(+0.7)とタイムを大きく短縮するも、セヴィルに0.02秒差で先着されたほか、別の組ではトンプソンが9秒80(+0.5)とジャマイカの2人の勢いが勝っているようにも感じられた。

それでも、王者は動じない。

決勝の選手入場時には勢いよくゲートから飛び出すと、スタンドを埋めた7万7000人の観衆を煽るかのように両手で飛び回る。このアクションに、会場の雰囲気はライルズのものになった。

スタートでの反応が遅れ、40m地点での通過は最下位だったが、2次加速の局面から他のライバルを次々とかわしていく。中盤ではトンプソンがトップに立ったが、徐々に追い詰めるとほぼ同時にフィニッシュラインを駆け抜けた。

スタジアムに設置された大型ビジョンに会場中の視線が集まるなか、一番上に記されたのは「Noah LYLES」の文字。

トンプソンもライルズと同じ9秒79のタイムだったが、1000分の1秒までの計測ではライルズが「9秒784」、トンプソンは「9秒789」。わずか0.005秒差でライルズの優勝が決まった。

レース直後には、トンプソンに駆け寄り「君が優勝したと思うよ」と声を掛けたというライルズ。「彼(トンプソン)は4レーンで、自分が7レーンだったから、何が起こっているのか、よく見えなかった。でも、勝つつもりで走リ続けるしかなかったし、フィニッシュのときには何かが自分に身体を前に傾けるように告げていたんだ」と1980年モスクワ大会以来の同タイム決着を振り返った。

昨年の世界選手権での活躍から、スポーツ界のスターへと駆け上がった。「自分の周りには自身のコマーシャルが流れていたし、『パリで主役になるよ』と言ってくれる人もたくさんいた。もちろんそれはプレッシャーにもなった。ただ、『それは自分のためにあるんだ、自分に必要なものになるんだ』と言い続けてきた」と話す。

陸上競技の人気低下を憂い、他の競技と比較する言葉が周囲と軋轢を生んだこともあった。ただ、それは自身が陸上界を引っ張っているという自負があるからこその言葉。そして、その自負を結果で示した王者・ライルズ。

次は200mでの個人2冠、そしてあのウサイン・ボルトも成し遂げなかった両リレーを含む五輪4冠へと突き進む。

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)4日目 パリ五輪・陸上競技4日目のイブニングセッションが行われ、接戦となった男子100mはノア・ライルズ(米国)が9秒79(+1.0)で初の五輪チャンピオンとなった。 昨年のブダペスト世界選手権では100m、200m、4×100mリレーの3冠に輝き、スプリント王者に就いたライルズ。今大会でも当然、金メダル候補に挙げられていたが、その地位は決して安泰ではなかった。 今季は20代前半の若手が台頭し、23歳のキシェーン・トンプソン(ジャマイカ)が6月に9秒77の世界歴代9位タイのタイムを出したほか、同じ年のオブリク・セヴィル(ジャマイカ)も9秒82、ブダペスト世界選手権2位の21歳のレツィレ・テボゴ(ボツワナ)もケガから復調し、頂点をうかがっていた。 もちろんライルズも世界王者として安定した力を披露。全米五輪選考会を9秒83の自己タイで制すると、7月20日のダイヤモンドリーグ(DL)ロンドン大会で9秒81(-0.3)の自己記録をマーク。五輪に向けて、調子を上げてパリに乗り込んでいた。 ただ、パリ五輪でのライルズは予選で10秒04(-0.2)。余裕を持っての通過ではあったが、ライバルが9秒台をマークするなかではやや見劣りするタイムに。決勝の約2時間前に行われた準決勝では9秒83(+0.7)とタイムを大きく短縮するも、セヴィルに0.02秒差で先着されたほか、別の組ではトンプソンが9秒80(+0.5)とジャマイカの2人の勢いが勝っているようにも感じられた。 それでも、王者は動じない。 決勝の選手入場時には勢いよくゲートから飛び出すと、スタンドを埋めた7万7000人の観衆を煽るかのように両手で飛び回る。このアクションに、会場の雰囲気はライルズのものになった。 スタートでの反応が遅れ、40m地点での通過は最下位だったが、2次加速の局面から他のライバルを次々とかわしていく。中盤ではトンプソンがトップに立ったが、徐々に追い詰めるとほぼ同時にフィニッシュラインを駆け抜けた。 スタジアムに設置された大型ビジョンに会場中の視線が集まるなか、一番上に記されたのは「Noah LYLES」の文字。 トンプソンもライルズと同じ9秒79のタイムだったが、1000分の1秒までの計測ではライルズが「9秒784」、トンプソンは「9秒789」。わずか0.005秒差でライルズの優勝が決まった。 レース直後には、トンプソンに駆け寄り「君が優勝したと思うよ」と声を掛けたというライルズ。「彼(トンプソン)は4レーンで、自分が7レーンだったから、何が起こっているのか、よく見えなかった。でも、勝つつもりで走リ続けるしかなかったし、フィニッシュのときには何かが自分に身体を前に傾けるように告げていたんだ」と1980年モスクワ大会以来の同タイム決着を振り返った。 昨年の世界選手権での活躍から、スポーツ界のスターへと駆け上がった。「自分の周りには自身のコマーシャルが流れていたし、『パリで主役になるよ』と言ってくれる人もたくさんいた。もちろんそれはプレッシャーにもなった。ただ、『それは自分のためにあるんだ、自分に必要なものになるんだ』と言い続けてきた」と話す。 陸上競技の人気低下を憂い、他の競技と比較する言葉が周囲と軋轢を生んだこともあった。ただ、それは自身が陸上界を引っ張っているという自負があるからこその言葉。そして、その自負を結果で示した王者・ライルズ。 次は200mでの個人2冠、そしてあのウサイン・ボルトも成し遂げなかった両リレーを含む五輪4冠へと突き進む。

【動画】最速はライルズ!男子100m決勝をチェック

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

2026.03.09

日本インカレの大会要項が発表 標準記録は前回と同じ フィールド種目にも最大出場人数を設定

日本学生陸上競技連合は3月9日、第95回日本インカレ(9月5日~7日/神奈川・日産スタジアム)の大会要項を発表した。 前回大会からは参加資格にいくつか変更が加えられ、フィールド種目にもトラック種目と同様に最大出場人数が設 […]

NEWS カールストレームがハーフ競歩で1時間24分58秒 女子はインガがガルシア・レオンに先着/WA競歩ツアー

2026.03.09

カールストレームがハーフ競歩で1時間24分58秒 女子はインガがガルシア・レオンに先着/WA競歩ツアー

世界陸連(WA)競歩ツアー・ゴールドのドゥンディスカ50が、3月7日にスロバキアで開催され、男子ハーフマラソン競歩ではブダペスト世界選手権20km競歩銀メダルのP.カールストレーム(スウェーデン)が1時間24分58秒で優 […]

NEWS シマンスキが60mH7秒37の今季世界最高タイ 女子砲丸投スキルダー20m69の自己タイV/WA室内ツアー

2026.03.09

シマンスキが60mH7秒37の今季世界最高タイ 女子砲丸投スキルダー20m69の自己タイV/WA室内ツアー

3月6日、世界陸連(WA)室内ツアー・シルバーのISTAF室内がドイツ・ベルリンで開催され、男子60mハードルではJ.シマンスキ(ポーランド)が今季世界最高タイの7秒37で優勝した。シマンスキは。24年世界室内選手権のこ […]

NEWS 箱根駅伝3年連続9度目Vの青学大に盛岡大附・古川陽樹、須磨学園・藤岡孝太郎ら11人の新入生が加入!

2026.03.09

箱根駅伝3年連続9度目Vの青学大に盛岡大附・古川陽樹、須磨学園・藤岡孝太郎ら11人の新入生が加入!

青学大陸上部長距離ブロックは3月8日、チームのSNSで2026年の新入生を発表した。 11人の新入生が加入。持ち記録の筆頭は5000mで13分58秒62の古川陽樹(盛岡大附・岩手)。インターハイ5000mで7位に入り、国 […]

NEWS 佐藤早也伽が日本人トップ!加世田、大森ら6人がロス五輪MGC切符つかむ/名古屋ウィメンズマラソン

2026.03.09

佐藤早也伽が日本人トップ!加世田、大森ら6人がロス五輪MGC切符つかむ/名古屋ウィメンズマラソン

◇名古屋ウィメンズマラソン2026(3月8日/愛知・バンテリンドーム ナゴヤ発着) アジア大会代表選考会を兼ねたMGCシリーズG1の名古屋ウィメンズマラソンが行われ、シェイラ・チェプキルイ(ケニア)が2時間21分54秒で […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年3月号 (2月14日発売)

2026年3月号 (2月14日発売)

別府大分毎日マラソン
大阪国際女子マラソン
矢田みくにインタビュー
追跡箱根駅伝

page top