HOME 国内

2024.06.02

桐生祥秀は10秒19wマークも7位「陸上を始めてから一番しんどい」も「この状態なら合格」3大会連続五輪へ覚悟の挑戦/布勢スプリント
桐生祥秀は10秒19wマークも7位「陸上を始めてから一番しんどい」も「この状態なら合格」3大会連続五輪へ覚悟の挑戦/布勢スプリント

布勢スプリント男子100mで7位に入った桐生祥秀

◇布勢スプリント2024(6月2日/鳥取・ヤマタスポーツパーク陸上競技場)

日本グランプリシリーズG2の布勢スプリントが行われ、男子100mは鈴木涼太(スズキ)が10秒06(+2.8)と追い風参考ながら好タイムで優勝した。

9秒98の自己記録を持つ桐生祥秀(日本生命)は10秒19と決して悪くないタイムだったが、好条件での接戦となり4位以下が0.01秒にひしめくなかで「4番くらいかなと思ったのですが抜け切れなかった」と7位だった。

広告の下にコンテンツが続きます

それでも、「この状態で10秒1台で走れれば合格。2本走り切れて、タイムも予選から上げられた。これが一番です」とポジティブに捉えている。

今季は室内60mで日本新(6秒53/当時)を出すなど、好調かに見えた。屋外では4月に中国でダイヤモンドリーグ(DL)2連戦でシーズンインしたが、10秒3台にとどまっていた。実は「4、5月は2週間に1回くらい、練習ができないくらい体調不良になっている」と明かす。室内の海外転戦時やDL初戦でも高熱が出ていた。

ケガもないのに走れない日々。「陸上を始めてから一番しんどい。陸上人生で一番悩んでいます。何もできない。体重も戻しては落ちるの繰り返し。悩んで(気持ちが)ごちゃごちゃになって、まだ葛藤がある」と打ち明ける。これまで9秒台のプレッシャー、東京五輪への重圧、病気とも対峙してきた男でも苦しむ現状。それでも、そのすべてを桐生祥秀というスプリンターは乗り越えてきた。

「この状況を克服すれば、絶対にうまくいくと思っています」

リオ五輪、東京五輪と2大会経験しているが、オリンピックには“忘れ物”がたくさんある。「1週間前の東日本実業団もスパイクを履いて2日目。今回も4、5日くらいしか履けていないので、トータル1週間。ここから3週間でしっかり上げきれればいい。日本選手権はしっかりタイムを出して、準決勝、決勝と考えていって、その先に(オリンピックが)あると思っています」。

この日、スタンドの少年少女から、最も大きな声援を受け、サインを求められたのは桐生だった。それに対し、ゼッケンを渡して応えた。「名前を覚えてもらえているうちはファンサービスしようかなって思います」と茶目っ気たっぷり。この声援がある限り速く走り続けられるだろう。

◇布勢スプリント2024(6月2日/鳥取・ヤマタスポーツパーク陸上競技場) 日本グランプリシリーズG2の布勢スプリントが行われ、男子100mは鈴木涼太(スズキ)が10秒06(+2.8)と追い風参考ながら好タイムで優勝した。 9秒98の自己記録を持つ桐生祥秀(日本生命)は10秒19と決して悪くないタイムだったが、好条件での接戦となり4位以下が0.01秒にひしめくなかで「4番くらいかなと思ったのですが抜け切れなかった」と7位だった。 それでも、「この状態で10秒1台で走れれば合格。2本走り切れて、タイムも予選から上げられた。これが一番です」とポジティブに捉えている。 今季は室内60mで日本新(6秒53/当時)を出すなど、好調かに見えた。屋外では4月に中国でダイヤモンドリーグ(DL)2連戦でシーズンインしたが、10秒3台にとどまっていた。実は「4、5月は2週間に1回くらい、練習ができないくらい体調不良になっている」と明かす。室内の海外転戦時やDL初戦でも高熱が出ていた。 ケガもないのに走れない日々。「陸上を始めてから一番しんどい。陸上人生で一番悩んでいます。何もできない。体重も戻しては落ちるの繰り返し。悩んで(気持ちが)ごちゃごちゃになって、まだ葛藤がある」と打ち明ける。これまで9秒台のプレッシャー、東京五輪への重圧、病気とも対峙してきた男でも苦しむ現状。それでも、そのすべてを桐生祥秀というスプリンターは乗り越えてきた。 「この状況を克服すれば、絶対にうまくいくと思っています」 リオ五輪、東京五輪と2大会経験しているが、オリンピックには“忘れ物”がたくさんある。「1週間前の東日本実業団もスパイクを履いて2日目。今回も4、5日くらいしか履けていないので、トータル1週間。ここから3週間でしっかり上げきれればいい。日本選手権はしっかりタイムを出して、準決勝、決勝と考えていって、その先に(オリンピックが)あると思っています」。 この日、スタンドの少年少女から、最も大きな声援を受け、サインを求められたのは桐生だった。それに対し、ゼッケンを渡して応えた。「名前を覚えてもらえているうちはファンサービスしようかなって思います」と茶目っ気たっぷり。この声援がある限り速く走り続けられるだろう。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.13

7月4日の千歳大会を皮切りに全5戦! ホクレンDC2026の開催日が決定

ホクレン・ディスタンスチャレンジ2026の開催日が12月12日に発表された。 2025年は6月と7月に開催されたが、来年は例年通り7月の開催。7月4日の千歳大会を皮切りに、8日の網走大会、11日の北見大会、15日の深川大 […]

NEWS 國學院大がライフネット生命とスポンサーシップ契約「箱根路で最高の景色を見せられるよう邁進」

2025.12.12

國學院大がライフネット生命とスポンサーシップ契約「箱根路で最高の景色を見せられるよう邁進」

ライフネット生命保険株式会社は12月12日、昨年から結んでいる國學院大陸上競技部とのスポンサーシップ契約を延長したと発表した。 2008年に開業したライフネット生命は、オンライン生保のリーディングカンパニーとして知られる […]

NEWS 全中3000mV出田隆之助擁する中京、前回8位の大淀、戦力充実の稲美北、常盤松などが有力  14日に中学駅伝日本一決定戦/全中駅伝男子展望

2025.12.12

全中3000mV出田隆之助擁する中京、前回8位の大淀、戦力充実の稲美北、常盤松などが有力 14日に中学駅伝日本一決定戦/全中駅伝男子展望

第33回全国中学校駅伝が、12月14日に滋賀県の野洲市と湖南市にまたがる希望が丘文化公園で開催される。 男子6区間18km、女子5区間12kmのコースに、各都道府県代表に開催地枠を加えた男女それぞれ48チームが出場し、中 […]

NEWS 京山が3連覇に向けて前進 東北勢初のトップ3目指す黒石野、初出場の男山三、鶴ヶ島藤が上位候補/全中駅伝女子展望

2025.12.12

京山が3連覇に向けて前進 東北勢初のトップ3目指す黒石野、初出場の男山三、鶴ヶ島藤が上位候補/全中駅伝女子展望

第33回全国中学校駅伝が、12月14日に滋賀県の野洲市と湖南市にまたがる希望が丘文化公園で開催される。 男子6区間18km、女子5区間12kmのコースに、各都道府県代表に開催地枠を加えた男女それぞれ48チームが出場し、中 […]

NEWS 豪州で18歳・ビークロフトが10000m競歩38分02秒68のU20世界新

2025.12.12

豪州で18歳・ビークロフトが10000m競歩38分02秒68のU20世界新

12月11日、豪州シドニーで、ニューサウスウェールズ州10000m競歩選手権が行われ、I.ビークロフト(豪州)が38分02秒68のU20世界新記録をマークした。 ビークロフトは2007年生まれの18歳。競歩選手だった父の […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top