2024.05.03
◇第108回日本選手権10000m(5月3日/静岡・小笠山総合運動公園静岡スタジアム)
パリ五輪代表選考会となる第108回日本選手権10000mが5月3日に静岡・エコパで行われ、葛西潤(旭化成)が日本歴代4位の27分17秒46で初優勝を飾った。
狙いすましたような圧巻のスパートだった。27分22秒00設定の電子ペーサーと、外国人選手が引っ張る先頭集団が1周65~66秒で進むなか、序盤は中段、そこから徐々にポジションを上げる冷静な走りを見せる。
「これまでの練習から余裕を持っていけると思っていた」と葛西。日々「練習後に自分の拍手をする」という充実のトレーニングに裏づけされた自信を、残り1000mからぶつけた。
その時点で先頭集団にいたのは19歳の前田和摩(東農大)、太田智樹、鈴木芽吹(ともにトヨタ自動車)のみ。昨年12月の日本選手権を27分09秒80の日本新で制した塩尻和也(富士通)は6000m過ぎに後退し、同3位だった東京五輪代表・相澤晃(旭化成)は8000m手前で力尽きた。
最初のスパートでトヨタ自動車勢を突き放すが、少し間を開けて前田が食い下がる。葛西はモニターで後方の状況を確認。「追いかけられるのはしんどいですね」と振り返ったが、まだ余力があった。残り1周を過ぎてさらにギアを上げ、勝負を決めた。
これまでの自己ベストは、昨年11月の八王子ロングディスタンスで出した27分36秒75。それを20秒近く塗り替え、トラックレースの国内主要選手権では創価大4年だった22年の日本学生個人選手権10000m以来のタイトルを獲得。「本当にうれしい気持ちでいっぱいです。今日は一番拍手をしました」と笑顔が弾けた。
大阪・関西創価高時代に日本選手権クロカンU20を制し、大学では学生駅伝で活躍。最終学年では全日本大学駅伝2区で区間新・区間賞、箱根駅伝7区で区間賞を獲得している。
昨春に旭化成に入社後は10000mで躍進すると、今年正月のニューイヤー駅伝では5区で区間2位の力走でチームの2年ぶり3位復帰に貢献していた。
パリ五輪参加標準記録(27分00秒00)には届かず、ワールドランキングでもターゲットナンバー(出場枠)の27には届いていない。だが、「2週間後にもう1本レースに出る予定」だという。
大きな飛躍を遂げた社会人2年目の23歳。パリ五輪切符は、まだあきらめていない。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.05.01
東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」
2025.05.01
九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
2025.04.29
100mH田中佑美が予選トップ通過も決勝棄権「故障ではない」昨年の結婚も明かす/織田記念
-
2025.04.28
-
2025.04.26
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.01
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.05.01
東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」
東京メトロは5月1日、伊東明日香が入部したと発表した。今年3月31日に埼玉医科大グループを退部していた。 伊東は東京・順天高時代から全国高校駅伝に出場。東洋大進学後は全日本女子大学駅伝や富士山女子駅伝など全国大会に出走し […]
2025.05.01
九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場
九電工は5月1日、ケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが同日付で加入したと発表した。 ニアマイアはケリンゲット高出身の27歳。ハーフマラソンや10kmなどロードレースを主戦場としている。自己ベストは5000m13分57秒3 […]
2025.05.01
アディダスによるスポーツを通じたグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET」が今年も開催!
アディダス ジャパンは、未来のスポーツ環境を支えるためのグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET(ムーブ・フォー・ザ・プラネット)」を5月12日~25日まで開催することを発表した。5月12日の計測開 […]
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)