2023.11.28
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)
第1回(1920年/大正9年)
東京高師が10区の大逆転で初代王者となる
箱根駅伝は日本が初めて参加したオリンピックのストックホルム大会(1912年)でマラソンに出場した金栗四三(当時・東京高師在学中)が無念の途中棄権になったことがきっかけで誕生した。
金栗は周囲と相談しながら「世界と対抗するには多くの長距離選手を一度に強化できるようなレースを創設するのが早道」という思いを持つ。1917年4月に行われた“初”の駅伝「東京奠都五十年奉祝・東海道駅伝徒歩競走」にも出場していた金栗は、駅伝大会の創設を考案。いずれはアメリカ大陸を横断する構想もあり、その選考会を開こうと思い立った。大会創設の企画を報知新聞社に持ち込み、各大学の代表者と協議して大会開催にこぎつけた。
1920年2月14日、15日に「四大専門学校対抗駅伝競走」として第1回が開催。東京高師(現・筑波大)、早大、慶大、明大の4チームが出場した。
午後1時にスタートしたレースは東京高師と明大が先頭争いを繰り広げ、早大と慶大が追いかける展開。小田原の辺りで日が暮れるようになり、5区の選手たちは夜の箱根山中を松明(たいまつ)の明かりを頼りに走ったという。明大の沢田英一が往路優勝のゴールテープを切った時の時刻は午後8時半を回っていた。
往路で2位の東京高師に8分27秒差をつけた明大は復路でも首位を独走。9区を終えた時点で11分差をつけていた。ところが、明大の10区・西岡吉平が失速。一方、東京高師の茂木善作が快調なペースで走り抜けると、新橋でついに西岡をかわす。
雪の舞う中で茂木は有楽町の旧報知新聞社前にゴールして、東京高師が初代優勝校に輝いた。2位は25秒差で明大、3位が早大、4位が慶大という結果に終わった。
復路で逆転した8分27秒差は今でも最大差の逆転劇として記録に残っている。また、1位と2位の25秒差は第47回に日体大と順大の23秒差決着に抜かれるまで史上最少のタイム差として残っていて、現在でも歴代3位の僅少差決着だ。
1人のオリンピアンと関係者、学生たちの情熱で始まった箱根駅伝は、この後、長い歴史を刻んでいくことになる。
参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
第1回(1920年/大正9年) 東京高師が10区の大逆転で初代王者となる
箱根駅伝は日本が初めて参加したオリンピックのストックホルム大会(1912年)でマラソンに出場した金栗四三(当時・東京高師在学中)が無念の途中棄権になったことがきっかけで誕生した。 金栗は周囲と相談しながら「世界と対抗するには多くの長距離選手を一度に強化できるようなレースを創設するのが早道」という思いを持つ。1917年4月に行われた“初”の駅伝「東京奠都五十年奉祝・東海道駅伝徒歩競走」にも出場していた金栗は、駅伝大会の創設を考案。いずれはアメリカ大陸を横断する構想もあり、その選考会を開こうと思い立った。大会創設の企画を報知新聞社に持ち込み、各大学の代表者と協議して大会開催にこぎつけた。 1920年2月14日、15日に「四大専門学校対抗駅伝競走」として第1回が開催。東京高師(現・筑波大)、早大、慶大、明大の4チームが出場した。 午後1時にスタートしたレースは東京高師と明大が先頭争いを繰り広げ、早大と慶大が追いかける展開。小田原の辺りで日が暮れるようになり、5区の選手たちは夜の箱根山中を松明(たいまつ)の明かりを頼りに走ったという。明大の沢田英一が往路優勝のゴールテープを切った時の時刻は午後8時半を回っていた。 往路で2位の東京高師に8分27秒差をつけた明大は復路でも首位を独走。9区を終えた時点で11分差をつけていた。ところが、明大の10区・西岡吉平が失速。一方、東京高師の茂木善作が快調なペースで走り抜けると、新橋でついに西岡をかわす。 雪の舞う中で茂木は有楽町の旧報知新聞社前にゴールして、東京高師が初代優勝校に輝いた。2位は25秒差で明大、3位が早大、4位が慶大という結果に終わった。 復路で逆転した8分27秒差は今でも最大差の逆転劇として記録に残っている。また、1位と2位の25秒差は第47回に日体大と順大の23秒差決着に抜かれるまで史上最少のタイム差として残っていて、現在でも歴代3位の僅少差決着だ。 1人のオリンピアンと関係者、学生たちの情熱で始まった箱根駅伝は、この後、長い歴史を刻んでいくことになる。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)第1回箱根駅伝総合成績をチェック
●総合成績 1位 東京高師 15時間05分16秒 2位 明大 15時間05分41秒 3位 早大 15時間15分31秒 4位 慶大 16時間50秒56秒 ●区間賞 1区 山下馬之助(東京高師) 1時間25分00秒 2区 下村広次(明大) 1時間13分00秒 3区 藤井嘉市(明大) 1時間25分09秒 4区 内田庄作(早大) 1時間18分00秒 5区 大浦留市(東京高師) 1時間57分28秒 6区 山口六郎次(明大) 1時間37分30秒 7区 得能末吉(明大) 1時間25分20秒 8区 赤塚勝次(東京高師) 1時間24分45秒 9区 麻生武治(早大) 1時間17分00秒 10区 茂木善作(東京高師) 1時間29分10秒RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.28
2月に名古屋アジア大会・競歩のリハーサル大会 名古屋市の特設コースで実施
-
2025.12.27
-
2025.12.22
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
-
2025.12.21
-
2025.12.21
-
2025.12.21
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.29
第102回箱根駅伝が今日区間エントリ-発表! 青学大・黒田朝日、駒大、國學院大などのエントリーは!?
来年1月2日、3日に行われる第102回箱根駅伝の区間エントリーが今日12月29日に締め切られ、当日発表される。 すでに12月10日に16人のチームエントリーが発表されている。往路5人、復路5人、補員6人が登録され、1月2 […]
2025.12.28
2月に名古屋アジア大会・競歩のリハーサル大会 名古屋市の特設コースで実施
愛知陸協は、26年2月21日に名古屋市で第15回愛知競歩競技会を行うと発表した。 愛知競歩競技会は、これまでパロマ瑞穂北陸上競技場や知多運動公園陸上競技場(Bフードサイエンス1969知多スタジアム)などトラックで実施され […]
2025.12.28
箱根駅伝Stories/人一倍練習をこなして成長した駒大・伊藤蒼唯 夏場のケガを乗り越え「身体で感覚を思い出せた」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 トップ選手が集まる駒大で代名詞が 駒大・伊藤蒼唯(4年)の代名詞は「 […]
2025.12.28
箱根駅伝Stories/3連覇に挑む青学大の絶対エース・黒田朝日 「チームが勝つために最大限の走りがしたい」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 「花の2区」で2度の爆走 箱根駅伝で、黒田朝日(4年)は、「花の2区 […]
2025.12.28
トヨタ自動車、旭化成、Hondaの「3強」が中心!第70回記念大会を制するのは?日本代表たちの激走にも注目/ニューイヤー駅伝
◇第70回全日本実業団対抗駅伝(1月1日/群馬県庁前発着・7区間100km) 第70回の節目を迎える全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝inぐんま)は2026年1月1日、群馬県前橋市の群馬県庁を発着点とする7区間100 […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳
