HOME 国内、世界陸上、日本代表
やり投・北口榛花「メダルを取りに行く」今季世界リスト1位も変わらず「自分のパフォーマンスをしっかりできるように」/ブダペスト世界陸上
やり投・北口榛花「メダルを取りに行く」今季世界リスト1位も変わらず「自分のパフォーマンスをしっかりできるように」/ブダペスト世界陸上

ブダペスト世界選手権で初の金メダルを狙う女子やり投の北口榛花

8月19日から始まるブダペスト世界陸上。注目の日本代表たちをピックアップする。

充実の時を迎えている。女子やり投の北口榛花(JAL)は、ダイヤモンドリーグ(DL)シレジア大会で67m04をマークして優勝した。自身が2019年に作った日本記録を4年ぶりに更新。堂々の世界リストトップで3度目の世界選手権に乗り込む。

「アベレージは確実に上がっているのに、どんなに良い条件でも(大きな)一本が出ないのはすごく気にしていました」。そうした“モヤモヤ”をようやく払拭する一撃。「大会前から初めてと言えるくらい練習で調子が良かったんです。これまで2回試合をして2回とも勝っている競技場。相性も良くて、不安なく臨めたのが大きかったです」と振り返る。それでも、「65mくらいかなと思っていたので、67mまで飛んでいるとは思っていませんでした。ビックリです」と笑った。

今年6月の日本選手権では斉藤真理菜(スズキ)に次ぐまさかの2位。「負けたことは反省しないといけないですし、終わってからコーチとトレーナーさんと原因について考えました」。もちろん、「勝てばうれしいし、負ければ悔しい」。大粒の涙を浮かべていた。しかし、「試合も続きましたし、日本選手権で負けたくらいで下を向いている場合じゃない」と、すぐに切り替えて欧州転戦に入った。

その「原因」とは、「身体が硬くなっていたこと」。冬季はウエイトトレーニングのマックスも上がるなど、数値的にも出力的にも「調子が良かった」。ただ、肝心のやり投になると動きがうまくいかなかったという。

「練習をすればするだけ記録が出るわけではなくて、思うように動く状態でいるのが大事。私は『姿勢』を大事にしていて、人間としていないといけな“ポジション”に近づけるかを意識しています」

そこで、日本選手権後に「ウエイトトレーニングをマックスの7割くらい」に抑え、身体のケアで持ち味である「大きさと柔軟性」を生かせるように調整していった。DLパリで優勝すると、その後のシレジアへの日本新に向けて徐々に調子を上げてくことに成功する。

広告の下にコンテンツが続きます

国際試合でも常に優勝争いを繰り広げている北口。前回、銅メダルという実績も含めて、海外メディアからも「(目指すのは)金メダルでしょ」と振られることも多いという。だが、昨年のオレゴン後に立てた「狙ってメダルを取る」という目標は変わらない。

「68mくらいまでは想像の範囲内で、すべての条件がそろえば出ると思います。試合前は私も不安になりますが、相手同じくらい私も努力しているだろう、と思って臨んでいます。またちょっとでもいいので日本記録を更新して、自分の目標であるメダル獲得ができるように準備していきます」

予選は日本時間の8月23日、決勝は8月25日深夜3時20分にスタート。

「1投目をしっかり投げて、どれだけ相手にプレッシャーを与えられるか。誰が上がってくるか私もわかりません。自分がやれることをやれば良い勝負ができると思います」

北口は「初めてなので美しい街並みを見るのが楽しみ」と語るブダペストで、自分らしい最高のパフォーマンスを見せる。

文/向永拓史

■女子やり投(※日本時間)
予選 8月23日(水) A組17時20分~、B組18時55分~
決勝 8月25日(金) 深夜3時20分~

8月19日から始まるブダペスト世界陸上。注目の日本代表たちをピックアップする。 充実の時を迎えている。女子やり投の北口榛花(JAL)は、ダイヤモンドリーグ(DL)シレジア大会で67m04をマークして優勝した。自身が2019年に作った日本記録を4年ぶりに更新。堂々の世界リストトップで3度目の世界選手権に乗り込む。 「アベレージは確実に上がっているのに、どんなに良い条件でも(大きな)一本が出ないのはすごく気にしていました」。そうした“モヤモヤ”をようやく払拭する一撃。「大会前から初めてと言えるくらい練習で調子が良かったんです。これまで2回試合をして2回とも勝っている競技場。相性も良くて、不安なく臨めたのが大きかったです」と振り返る。それでも、「65mくらいかなと思っていたので、67mまで飛んでいるとは思っていませんでした。ビックリです」と笑った。 今年6月の日本選手権では斉藤真理菜(スズキ)に次ぐまさかの2位。「負けたことは反省しないといけないですし、終わってからコーチとトレーナーさんと原因について考えました」。もちろん、「勝てばうれしいし、負ければ悔しい」。大粒の涙を浮かべていた。しかし、「試合も続きましたし、日本選手権で負けたくらいで下を向いている場合じゃない」と、すぐに切り替えて欧州転戦に入った。 その「原因」とは、「身体が硬くなっていたこと」。冬季はウエイトトレーニングのマックスも上がるなど、数値的にも出力的にも「調子が良かった」。ただ、肝心のやり投になると動きがうまくいかなかったという。 「練習をすればするだけ記録が出るわけではなくて、思うように動く状態でいるのが大事。私は『姿勢』を大事にしていて、人間としていないといけな“ポジション”に近づけるかを意識しています」 そこで、日本選手権後に「ウエイトトレーニングをマックスの7割くらい」に抑え、身体のケアで持ち味である「大きさと柔軟性」を生かせるように調整していった。DLパリで優勝すると、その後のシレジアへの日本新に向けて徐々に調子を上げてくことに成功する。 国際試合でも常に優勝争いを繰り広げている北口。前回、銅メダルという実績も含めて、海外メディアからも「(目指すのは)金メダルでしょ」と振られることも多いという。だが、昨年のオレゴン後に立てた「狙ってメダルを取る」という目標は変わらない。 「68mくらいまでは想像の範囲内で、すべての条件がそろえば出ると思います。試合前は私も不安になりますが、相手同じくらい私も努力しているだろう、と思って臨んでいます。またちょっとでもいいので日本記録を更新して、自分の目標であるメダル獲得ができるように準備していきます」 予選は日本時間の8月23日、決勝は8月25日深夜3時20分にスタート。 「1投目をしっかり投げて、どれだけ相手にプレッシャーを与えられるか。誰が上がってくるか私もわかりません。自分がやれることをやれば良い勝負ができると思います」 北口は「初めてなので美しい街並みを見るのが楽しみ」と語るブダペストで、自分らしい最高のパフォーマンスを見せる。 文/向永拓史 ■女子やり投(※日本時間) 予選 8月23日(水) A組17時20分~、B組18時55分~ 決勝 8月25日(金) 深夜3時20分~

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.12.12

日本GPシリーズチャンピオンは福部真子と筒江海斗!種目別800mは落合晃&久保凛の高校日本記録保持者コンビがV、女子1500m田中希実が4連覇

日本グランプリ(GP)シリーズ2024のシリーズチャンピオンが発表され、男子は400mハードルの筒江海斗(ST-WAKO)、女子は100mハードルの福部真子(日本建設工業)と、ともにパリ五輪のハードル種目代表が初の栄冠に […]

NEWS 青学大・原晋監督 連覇へ「山で区間新を出せる準備」チームの雰囲気「単なる仲良しクラブじゃない」

2024.12.12

青学大・原晋監督 連覇へ「山で区間新を出せる準備」チームの雰囲気「単なる仲良しクラブじゃない」

第101回箱根駅伝に出場する前回王者の青学大が、東京の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。その後、会見が開かれて報道陣の取材に応えた。 原監督が掲げた恒例の作戦名は「あいたいね大作戦」。 […]

NEWS 青学大がキャンパスで箱根駅伝壮行会 太田蒼生「俺が箱根を勝たせてやる」残り3週間で体調管理徹底で臨む構え

2024.12.12

青学大がキャンパスで箱根駅伝壮行会 太田蒼生「俺が箱根を勝たせてやる」残り3週間で体調管理徹底で臨む構え

第101回箱根駅伝に出場する前回王者の青学大が、東京の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 関係者だけでなく、学生やファンなどが見守るなか、一部授業のある選手以外が一人ひとりあいさつ。主 […]

NEWS 世界陸連が6つの世界記録を承認 川野将虎が男子35km初代世界記録保持者に

2024.12.12

世界陸連が6つの世界記録を承認 川野将虎が男子35km初代世界記録保持者に

12月11日、世界陸連は5月から10月にかけて誕生した世界記録を正式に承認したことを発表した。 10月27日の日本選手権35km競歩(山形・高畠)で、川野将虎(旭化成)が樹立した2時間21分47秒も世界記録として認定。同 […]

NEWS 月刊陸上競技2025年1月号

2024.12.12

月刊陸上競技2025年1月号

Contents W別冊付録 箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望 大会報道 福岡国際マラソン 吉田祐也 日本歴代3位の激走 涙の復活劇 全日本実業団対抗女子駅伝 JP日本郵政グループ 4年ぶりV 地域実業団駅伝 中学 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top