HOME 国内、大学

2023.05.13

100m2位井上直紀が感じたライバルとの0.01秒の差 3位・中村彰太を成長させた意識の変化/関東IC

意識の変化で成長を遂げた東洋大の中村彰太

100mで1位・栁田と3位・中村。2人を擁した東洋大が4×100mR優勝

もう一人、忘れてはならないのが3位の中村彰太(東洋大)。予選10秒12(+3.4)、準決勝10秒23(+1.6)と快走を見せていた。

決勝は「モニターに自分が映ったのでもしかして優勝できたかなと思った」と笑ったが、惜しくも3位。ただ、「格上だった後輩の栁田との差を縮められました」と胸を張った。

静岡・浜松の名門クラブチーム「河輪AC」出身で、浜松工高時代には2年でインターハイ4位。3年時も100m5位、200m7位と2種目で入賞した。大学2年時に腰のケガなどあったが、昨年は日本インカレ4位。準決勝では10秒24と自己記録を短縮している。

3年目になる時にも順調にトレーニングを積めたが、さらに昨秋以降は「最上級生としてチームを引っ張っていこう」と気持ちに変化が。「練習でも手を抜かずに、後輩たちにも気を配るようになって、自分にも集中できました」。意識の変化から、同じ練習でも成長度合いが格段に上がった。

今年は日本学生個人選手権で井上に次ぐ10秒23の2位。井上とともにワールドユニバーシティゲームズ代表にもなった。

広告の下にコンテンツが続きます

この日の快走で「10秒1台は見えてきました。日本選手権決勝を目指していきます」と手応えをつかんだ中村。豪華な東洋大スプリントをまとめる頼れる兄貴分として、学生ラストシーズンでさらなる飛躍を見せそうだ。

にわかにハイレベルな様相を呈してきた学生スプリント陣。その中心に栁田がいるのは間違いないが、刺激を受けるように選手層に厚みが出てきた。ブダペスト世界選手権、パリ五輪、そして東京世界選手権へ。シニアを相手にどんどんと突き上げていきそうだ。

[caption id="attachment_101847" align="alignnone" width="2508"] 早大の井上直紀(右)と東洋大の栁田大輝[/caption] ◇第102回関東インカレ(5月11日~14日/神奈川・ギオンスタジアム相模原)2日目 関東インカレ2日目に行われた男子100mはオレゴン世界選手権代表の栁田大輝(東洋大)が10秒09(+3.1)で2連覇を達成した。 2位に入ったのが井上直紀(早大)。その差はわずか0.01秒だった。 前日の予選は10秒14(+2.9)。これは別組の栁田を0.01秒上回る記録だった。準決勝は同組に入ると、10秒22(-0.7)をマークしてトップ。成島陽紀(東洋大)が2着で、栁田は3着通過となる。 ただ、決勝は9レーンから栁田が強襲。井上は「負けてしまった」と一言。「タイムは追い風参考なので……。準決勝のほうが走りや良かったです。(決勝は)スタートから10mのところで行けなかった」と、これまでの課題が出た形になった。 2人は同じ群馬出身。井上は群馬南中時代に全中100mで優勝した世代トップ選手で、同大会で栁田が2位(※走幅跳で優勝)。群馬勢ワンツーは大きなトピックスだった。 県内屈指の進学校・高崎高に進学。1年目からインターハイにも進んだ。しかし、高2から東農大二高に進んだ栁田がスプリントで開花。日本選手権で7位に入るなど一気に飛躍を遂げた。 一方の井上も着実に力をつけたが、福井インターハイ100mでは東京五輪4×100mリレー補欠にも入った栁田が10秒31で制し、井上が10秒45の2位。その背中を追う立場になった。 「栁田がいなかったら今の僕はないというのは間違いない」。冬季もしっかりトレーニングを積み、得意とする中盤以降はさらに力強さを増した。さらに「前半で脚をしっかり回せるようになった」ことで、今季はシーズン序盤から好調で、日本学生個人選手権では10秒19をマークして優勝した。 実はグランプリシリーズなどハードな日程だった栁田が、関東インカレ100mへの出場を最終的に決めたのが井上の学生個人での快走だった。 お互いに「意識していないと言えば嘘になる」と、切磋琢磨してきた。井上は「栁田は高2から(シニアの)トップで戦っている。0.01秒の差は大きいです」と話す。 それでも、今季好調なのは「自信になります」。栁田とは「これからも勝ったり、負けたりを繰り返していく関係」と井上。次は「大舞台で同じようなタイムを出せるようにしたいです」と、日本選手権に向けてさらに気合を入れていく。

意識の変化で成長を遂げた東洋大の中村彰太

[caption id="attachment_101848" align="alignnone" width="2508"] 100mで1位・栁田と3位・中村。2人を擁した東洋大が4×100mR優勝[/caption] もう一人、忘れてはならないのが3位の中村彰太(東洋大)。予選10秒12(+3.4)、準決勝10秒23(+1.6)と快走を見せていた。 決勝は「モニターに自分が映ったのでもしかして優勝できたかなと思った」と笑ったが、惜しくも3位。ただ、「格上だった後輩の栁田との差を縮められました」と胸を張った。 静岡・浜松の名門クラブチーム「河輪AC」出身で、浜松工高時代には2年でインターハイ4位。3年時も100m5位、200m7位と2種目で入賞した。大学2年時に腰のケガなどあったが、昨年は日本インカレ4位。準決勝では10秒24と自己記録を短縮している。 3年目になる時にも順調にトレーニングを積めたが、さらに昨秋以降は「最上級生としてチームを引っ張っていこう」と気持ちに変化が。「練習でも手を抜かずに、後輩たちにも気を配るようになって、自分にも集中できました」。意識の変化から、同じ練習でも成長度合いが格段に上がった。 今年は日本学生個人選手権で井上に次ぐ10秒23の2位。井上とともにワールドユニバーシティゲームズ代表にもなった。 この日の快走で「10秒1台は見えてきました。日本選手権決勝を目指していきます」と手応えをつかんだ中村。豪華な東洋大スプリントをまとめる頼れる兄貴分として、学生ラストシーズンでさらなる飛躍を見せそうだ。 にわかにハイレベルな様相を呈してきた学生スプリント陣。その中心に栁田がいるのは間違いないが、刺激を受けるように選手層に厚みが出てきた。ブダペスト世界選手権、パリ五輪、そして東京世界選手権へ。シニアを相手にどんどんと突き上げていきそうだ。

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

NEWS 100mH寺田明日香 恩師の訃報に「熱意と愛情を少しでも次の世代へ引き継げるように」

2025.04.30

100mH寺田明日香 恩師の訃報に「熱意と愛情を少しでも次の世代へ引き継げるように」

自身のSNSに思いを綴った寺田明日香 pic.twitter.com/k4AjTVEvHW — 寺田明日香(てらだあすか) (@terasu114) April 30, 2025

NEWS 9月の東京世界陸上に都内の子どもを無料招待 引率含め40,000人 6月から応募スタート

2025.04.30

9月の東京世界陸上に都内の子どもを無料招待 引率含め40,000人 6月から応募スタート

東京都は今年9月に国立競技場をメイン会場として開かれる世界選手権に都内の子どもたちを無料招待すると発表した。 「臨場感あふれる会場での観戦を通じて、都内の子供たちにスポーツの素晴らしさや夢と希望を届ける」というのが目的。 […]

NEWS 新しい形の競技会「THE GAME」が9月14日 大阪・万博記念競技場で開催決定!

2025.04.30

新しい形の競技会「THE GAME」が9月14日 大阪・万博記念競技場で開催決定!

「陸上競技の魅力を最大限に引き出し、観客と選手の双方にとって忘れられない体験を」をコンセプトに、三重県で開催されてきた『THE GAME』。今年は会場を大阪府。万博記念競技場を移して、9月14日に行われることが決まった。 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top