HOME 駅伝、箱根駅伝

2022.10.16

専大・木村暁仁が日本人トップ!佐久長聖時代のチームメイト鈴木芽吹のメッセージ励みに/箱根駅伝予選会
専大・木村暁仁が日本人トップ!佐久長聖時代のチームメイト鈴木芽吹のメッセージ励みに/箱根駅伝予選会

◇第99回箱根駅伝予選会(10月15日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)

広告の下にコンテンツが続きます

来年正月の第99回箱根駅伝の出場権を懸けた箱根駅伝予選会が行われ、15km通過時点で7人に絞られた日本人先頭争いから抜け出したのは専大の木村暁仁(3年)だった。17km過ぎにスパートして他大学のライバルを引き離すと、終盤は前を行く留学生を追い詰める力走で日本人トップ(8位/1時間2分32秒)を占めた。

「16km過ぎにコース上でチームメイトから、(総合10位と)15秒差の12位と言われたので、タイムを稼がないといけないと思って、予定より2kmくらい早いタイミングだったんですけどペースを上げました。その瞬間に両脚がつってしまって、正直きつかったですが、最後まで粘れてよかったです」

チームを3年連続本戦出場に導く意地の走り。15kmからの5kmを14分55秒で駆け抜け、他大学のライバルを引き離した。同校にとっては座間マボロベネディック(座間紅弥)以来となる16年ぶりの日本人トップを勝ち取った。

今年の箱根駅伝では1区4位と好走。これまでの2年間はケガに苦しんできたが、今年は大学3年目にして初めて夏合宿を完全消化した。その中身も実業団合宿への参加や、チームメイトの留学生ダンカン・キサイサ(2年)と同じメニューでの練習など、質の高い練習をこなし、「箱根の結果もそうですし、年々着実に成長できていると実感できたし、自身にもつながっている」という。

広告の下にコンテンツが続きます

だからこそ、今大会で「日本人トップを取る」という思いは人一倍強かった。10月に入ってからは、今大会に向けて、あらゆるレースプランを想定してノートに書きこんだ。

「本当にいろいろ考えましたね。1kmで転倒した場合とか、給水が取れなかったりというアクシデントからレース展開まで、それこそ100パターンくらい考えたと思います」

レース序盤、東海大の石原翔太郎(3年)が前を行く留学生勢を日本人選手ではただ1人追いかけて飛び出した場面でも、「彼のペースがどこかで落ち着いて、公園に入るあたりで追いつければ」と慌てることはなかった。立川市街地から昭和記念公園内に戻ってくる約14km地点あたりでも、「公園に戻ってきた時に(日本人)先頭争いに加わっていれば勝てる」と思い描いていた展開がピタリとはまったレースだった。

スタート前には、今月10日の出雲駅伝で優勝のゴールテープを切った長野・佐久長聖高時代のチームメイト、駒大の鈴木芽吹(3年)から「テレビで応援してるよ」というメッセージをもらった木村。「彼はフィニッシュする時に泣いていたので、自分は絶対笑ってフィニッシュしようと思ったんですけど、ちゃんとできてたか心配です」とおどけて見せる一面も。

広告の下にコンテンツが続きます

本戦に向けては「箱根ではエースとして勝負したいので、難しいコースですが2区に挑戦したいと思っています。今回はハーフマラソンの専大記録を更新できましたが、(箱根の)シード校のエース達が出ていれば61分台で走ったはず。さらに戦える力をつけて、チームに流れを作る走りができれば」と今回の課題を掲げて、本戦での躍進を誓った。

文/田中 葵

◇第99回箱根駅伝予選会(10月15日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km) 来年正月の第99回箱根駅伝の出場権を懸けた箱根駅伝予選会が行われ、15km通過時点で7人に絞られた日本人先頭争いから抜け出したのは専大の木村暁仁(3年)だった。17km過ぎにスパートして他大学のライバルを引き離すと、終盤は前を行く留学生を追い詰める力走で日本人トップ(8位/1時間2分32秒)を占めた。 「16km過ぎにコース上でチームメイトから、(総合10位と)15秒差の12位と言われたので、タイムを稼がないといけないと思って、予定より2kmくらい早いタイミングだったんですけどペースを上げました。その瞬間に両脚がつってしまって、正直きつかったですが、最後まで粘れてよかったです」 チームを3年連続本戦出場に導く意地の走り。15kmからの5kmを14分55秒で駆け抜け、他大学のライバルを引き離した。同校にとっては座間マボロベネディック(座間紅弥)以来となる16年ぶりの日本人トップを勝ち取った。 今年の箱根駅伝では1区4位と好走。これまでの2年間はケガに苦しんできたが、今年は大学3年目にして初めて夏合宿を完全消化した。その中身も実業団合宿への参加や、チームメイトの留学生ダンカン・キサイサ(2年)と同じメニューでの練習など、質の高い練習をこなし、「箱根の結果もそうですし、年々着実に成長できていると実感できたし、自身にもつながっている」という。 だからこそ、今大会で「日本人トップを取る」という思いは人一倍強かった。10月に入ってからは、今大会に向けて、あらゆるレースプランを想定してノートに書きこんだ。 「本当にいろいろ考えましたね。1kmで転倒した場合とか、給水が取れなかったりというアクシデントからレース展開まで、それこそ100パターンくらい考えたと思います」 レース序盤、東海大の石原翔太郎(3年)が前を行く留学生勢を日本人選手ではただ1人追いかけて飛び出した場面でも、「彼のペースがどこかで落ち着いて、公園に入るあたりで追いつければ」と慌てることはなかった。立川市街地から昭和記念公園内に戻ってくる約14km地点あたりでも、「公園に戻ってきた時に(日本人)先頭争いに加わっていれば勝てる」と思い描いていた展開がピタリとはまったレースだった。 スタート前には、今月10日の出雲駅伝で優勝のゴールテープを切った長野・佐久長聖高時代のチームメイト、駒大の鈴木芽吹(3年)から「テレビで応援してるよ」というメッセージをもらった木村。「彼はフィニッシュする時に泣いていたので、自分は絶対笑ってフィニッシュしようと思ったんですけど、ちゃんとできてたか心配です」とおどけて見せる一面も。 本戦に向けては「箱根ではエースとして勝負したいので、難しいコースですが2区に挑戦したいと思っています。今回はハーフマラソンの専大記録を更新できましたが、(箱根の)シード校のエース達が出ていれば61分台で走ったはず。さらに戦える力をつけて、チームに流れを作る走りができれば」と今回の課題を掲げて、本戦での躍進を誓った。 文/田中 葵

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.05.11

男子1500m・吉居大和が3分39秒75の大会新V 「40秒切ることができてうれしい」/中部実業団対抗

第68回中部実業団対抗大会の1日目は5月11日、岐阜メモリアルセンター長良川で行われ、男子1500mは実業団ルーキーの吉居大和(トヨタ自動車)が3分39秒75の大会新記録で優勝した。 吉居はスタートからエバンス・ケイタニ […]

NEWS 棒高跳・小林美月が4m00で連覇!「雰囲気で楽しみながらできた」/関東IC

2024.05.11

棒高跳・小林美月が4m00で連覇!「雰囲気で楽しみながらできた」/関東IC

◇第103回関東インカレ(5月9~12日/東京・国立競技場)3日目 関東インカレの3日目に女子棒高跳が行われ、小林美月(日体大2)が4m00を跳んで大会連覇を達成。4連覇への資格を得た。 広告の下にコンテンツが続きます […]

NEWS ムティア二4×400mR含む3冠 清水陽翔が100mで大会新  女子は甲府南が総合4連覇/IH山梨県大会

2024.05.11

ムティア二4×400mR含む3冠 清水陽翔が100mで大会新 女子は甲府南が総合4連覇/IH山梨県大会

7月から8月にかけて行われる福岡インターハイに向けた都府県大会が5月上旬から各地で行われ、高校生たちが熱い戦いを繰り広げている。 山梨県大会は5月4日、8~9日の3日間、小瀬スポーツ公園競技場(JITリサイクルインクスタ […]

NEWS 400mHドス・サントスが今季世界トップの46秒86!!200mは好調ベドナレクが19秒67の自己新/DLドーハ

2024.05.11

400mHドス・サントスが今季世界トップの46秒86!!200mは好調ベドナレクが19秒67の自己新/DLドーハ

ダイヤモンドリーグ(DL)第3戦が5月10日、カタール・ドーハで開催され、男子400mハードルではオレゴン世界選手権金メダルのA.ドス・サントス(ブラジル)が今季世界最高の大会新の46秒86で優勝した。ドス・サントスは現 […]

NEWS 青学大・石川優が復活!!100m3年ぶりV、4継との2冠 110mHは阿部が制す 十種・髙橋が堂々デビュー/関東IC

2024.05.11

青学大・石川優が復活!!100m3年ぶりV、4継との2冠 110mHは阿部が制す 十種・髙橋が堂々デビュー/関東IC

◇第103回関東インカレ(5月9~12日/東京・国立競技場)2日目 関東インカレの2日目が行われた。女子100mは石川優(青学大)が11秒75(+0.5)をマークして優勝。1年時以来、3年ぶりの頂点に立った。 広告の下に […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年5月号 (4月12日発売)

2024年5月号 (4月12日発売)

パリ五輪イヤー開幕!

page top