2022.06.01
第106回日本選手権・混成競技が6月4日、5日に開催される。近年は長野で行われてきた混成競技の日本選手権だが、今年は秋田が舞台だ。
混成競技とは男子十種競技、女子七種競技のことで、2日間にわたって走る、跳ぶ、投げるを行い、その総合得点で順位を決する。海外では人気の高い種目で「キング・オブ・アスリート」「クイーン・オブ・アスリート」として尊敬を集める。日本のキング&クイーンの座を懸けて、どんな争いが繰り広げられるのか、注目選手たちを紹介する。
●十種競技
中村明彦が3連覇なるか、右代啓祐が王座に返り咲くか
1日目:100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m
2日目:110mH、円盤投、棒高跳、やり投、1500m
2010年以降、日本記録保持者・右代啓祐(国士舘クラブ)と中村明彦(スズキ)の2人が覇権を争ってきた。右代は日本記録の8308点、中村は8180点が自己ベストで日本で8000点を超えているのはこのオリンピアン2人だけ。ここ2年は中村が連覇しており3連覇が懸かる。
日本GPシリーズの木南記念で日本歴代5位の7807点をマークして優勝した丸山優真(住友電工)だが、砲丸投で右手を痛めた影響で今大会を欠場。それもあって優勝争いは混沌としそうだ。
中村は木南記念で7363点の4位。元々の持ち味である走種目や走幅跳の復調と、近年力を入れている投てきや好調の棒高跳が加点のポイントとなりそう。過去8度王座に就いている右代は持ち味の投てき種目や走高跳、棒高跳で積み上げてきそう。ベテラン2人が昨年もマークしている7800点台に乗せられれば優勝に近づきそうだ。
上位争いに加わりそうなのは田上駿(陸上競技物語)、前回2位の奥田啓祐(第一学院高教)、木南記念で2位だった片山和也(烏城塗装工業)らか。田上は昨年ケガが続いたが、持ち記録は7768点。順大大学院を卒業して“プロデカスリート”として新たな環境でチャレンジしている。得意種目の110mハードルなどで加点したい。奥田の自己記録は日本歴代8位の7768点。スピードが武器で課題の2日目を乗り切れるかがカギを握る。
右代、中村が王座を死守するか、それとも新王者の誕生なるか。
●七種競技
4連覇中の山﨑有紀、復活のヘンプヒル恵による頂上決戦
1日目:100mハードル、走高跳、砲丸投、200m
2日目:走幅跳、やり投、800m
大きく歴史が動く一戦となるかもしれない。昨年、日本記録5975点を樹立し、大会4連覇中の山﨑有紀(スズキ)と、ケガから復活を遂げたヘンプヒル恵(アトレ)による頂上決戦に注目が集まる。日本人初の6000点超え、しかもそれが複数人誕生するかもしれない。
山﨑は昨年5900点以上を3試合とハイアベレージ。その反動から左アキレス腱の周辺を痛めて秋まで練習をストップしたというが、春から徐々に出力を上げてきている。山﨑の言う「ベストのパフォーマンス」ができる状態まで上げられれば6000点に届く手応えをつかんでいる。山﨑は200mなどスプリント種目と投てきが武器。課題は走高跳でどれだけ上積みできるかが大台へのポイントだ。
15年から3連覇していたヘンプヒル。17年夏に左膝、20年の日本選手権で右膝を故障して手術するなど苦しい時期を過ごした。それでも競技に復帰すると、昨年暮れから「世界を知るコーチの元でやりたい」と強い覚悟を持って渡米。最も得意とする100mハードルと、6mを何度もマークしている走幅跳が稼ぎ頭で、加えて走高跳も安定し、800mでも手応え十分だ。自身も成長を感じているようで、「6000点、行きます」と力強い。
前哨戦だった木南記念はヘンプヒルが5732点で制し、山﨑は5599点で2位だった。山﨑の5連覇か、ヘンプヒルが5年ぶり4度目の戴冠なるか。
その2人を追い返るのが前回2位の大玉華鈴(日体大SMG横浜)。ワールドユニバーシティゲームズの代表を狙うために日本学生個人選手権に照準を合わせ、木南記念の出場は見送った。結果的にユニバも延期となって代表選出も白紙に。そのぶん、日本選手権に懸ける思いは強い。「初日で得点を稼ぎたい」というように、1m78を跳ぶ走高跳や、13秒台を安定して出しているハードルで加点したいところ。
3番手以下はやや離れているが、木南記念で5366点の自己新だった熱田心(岡山陸協)や関東インカレを制した梶木菜々香(中大)、前回3位の利藤野乃花(わらべや日洋)、萩原このか(とらふぐ亭)らが上位をうかがう。
大会の様子は両日ともライブ配信される。日本のキング&クイーン決定戦を見逃すな!
●ライブ配信
1日目(6/4)
2日目(6/5)
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