◇静岡国際(5月3日/静岡・エコパスタジアム)
日本グランプリシリーズ静岡大会の静岡国際が行われ、女子円盤投の郡菜々佳(新潟アルビレックスRC)が優勝した。
郡の2回目。ゆっくりとしたターンから力強い振り切りまで流れるように投げた。57m00。2019年に自らが樹立した日本記録59m00に次ぐセカンドベスト。さらに5回目には57m87まで記録を伸ばした。パフォーマンス日本歴代では前日本記録保持者の室伏由佳の間に割って入る歴代4位。「6回目は記録を狙いにいって、『私らしいミス』」。そう言いながら、笑顔が弾けた。
投げ自体は「そこまで良かったわけではないです」と言うが、「ファーストターンで頑張らず、セカンドターンからしっかり(流れを)作っていく」という意識をしっかり持てたことが好記録につながったようだ。
砲丸投と円盤投で高校記録を作った逸材で、九州共立大で19年に日本記録を樹立し、ドーハ世界選手権にも出場。だが、その日本記録保持者という肩書きが大きな重圧となった。主要大会で「焦ってしまって」結果を出せない。周囲から「焦るな」と言われてもどうしていいかわからなかった。九州共立大院に進学。昨年の秋には競技引退も覚悟したほどだった。
しかし、九州共立大の疋田晃久監督をはじめ、誰もが「やれる」と背中を押してくれた。「やると決めたらやる」。覚悟してからは、冬季のウエイトトレーニングと体重管理を徹底し、体重は5~6kg増加させた。何より、メンタル面での成長が大きく、「客観的に自分を見られるようになった」成果で、焦っていることが「わかるからコントロールできるようになりました」と言う。
日本記録は『ホーム』とも言える大学での記録会で樹立したもの。それはもちろん否定されるべきものではないが、「やっと外(の大会)で投げられたのは自信になります」と郡。これまでは『記録と世界』を無理矢理追いかけてしまっていたが、今は違う。「自分のやるべきことをしっかりやれば、これくらいの記録は出る」。世界選手権をあきらめているわけではないが、「アジア大会を見据えていって、このくらいの記録を安定して投げられれば」。その積み重ねが、再びの世界の舞台につながっていると信じている。
■女子円盤投日本パフォーマンス歴代10傑
59.03 郡 菜々佳(九州共立大3+) 2019. 3.23
58.62 室伏 由佳(ミズノ) 2007. 5.13
58.00 室伏 2 2007. 4. 1
57.78 郡 2 2022. 5. 3
57.76 室伏 3 2007. 5.19
56.95 室伏 4 2007. 4.30
56.84 室伏 5 1999. 4.10
56.65 室伏 6 2002. 5. 6
56.58 齋藤 真希(東女体大3) 2021.10.17
56.51 中西美代子(ミキハウス) 2000.10.18

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