写真/時事
陸上競技6日目も好記録に沸いた。
前日、男子400mハードルで世界新が出ていたこともあり、モーニングセッションの女子400mハードルでも大記録の予感が漂っていた。16年リオ五輪女王のD.ムハンマド(米国)と、今季史上初の51秒台(51秒90)に突入したS.マクラフリン(米国)。2019年ドーハ世界選手権で激闘を演じた2人が東京でも激走する。
レースはキャリアで勝るムハンマドが先行。前半は過去に類を見ないほどのスピードで突っ走った。マクラフリンと今季53秒33をマークしているF.ボル(オランダ)が2位争い。だが、後半に入ると、ムハンマドとマクラフリンの差が徐々に縮まっていく。
逃げるムハンマドと追うマクラフリン。最終ハードルをムハンマド、マクラフリン、ボルの順でクリアすると、残り30m付近でマクラフリンが逆転。かつてないタイムが出たことは明らか。上位の記録に世界中がエキサイティングしたことだろう。フィニッシュタイムは、マクラフリンが自身の記録を0.44秒更新する51秒46の世界新記録、ムハンマドも従来の世界記録を上回る51秒58、ボルは自己ベストを大幅短縮して欧州新となる52秒03。メダリスト3人が五輪記録(52秒64)を上回った。
「脚に乳酸がたまり、起き上がるまでしばらく待たなければなりませんでした。それよりも処理方法がわからないのは感情の洪水のほうだと思います」と、世界記録保持者になったマクラフリン。「今回の結果については、ちょっと信じられません。世界記録と金メダルを私の家族や友人に持ち帰ることができるのは本当に素晴らしいことです」と、成し遂げた快挙に信じられないようだった。
ムハンマドについて「ライバル関係などではありません。お互いが最高になるように切磋琢磨している存在」と語るマクラフリン。最強の相手に勝つために、「最後の40mを何度も練習してきました。これまでやってきたことをすべて出せたと思います」と振り返った。
2年前のドーハ世界選手権ではムハンマドが52秒16の世界新記録(当時)で52秒23のマクラフリンに勝利した。順位が入れ替わったとはいえ、今回も世界新決着に。マクラフリンとボルはまだ21歳。女子400mハードルのレベルは今後も上昇していきそうだ。
ハンマー投を制したノヴィツキ(写真/時事)
男子ハンマー投も超ハイレベル。優勝したのは3回目に82m52の自己ベストを投げW.ノヴィツキ(ポーランド)で、6回目のファウル以外すべて80mを投げた。なお、80mを投げてメダルを取れなかったのは過去3度目だった。ラスト勝負となった男子800mはE.キプクルイ・コリルが1分45秒06で制すと、F.チェルイヨット・ロティッチが2位。ケニア勢が五輪4連覇を達成すると同時にワン・ツーを飾った。
男子200mはA.デグラス(カナダ)が米国勢を抑えて、世界歴代8位の19秒62(-0.5)でフィニッシュ。2016年リオ五輪と2019年ドーハ世界選手権で銀メダル、100mでは3つ(リオ五輪、ドーハ世界選手権、東京五輪)の銅メダルを収集している26歳が悲願の金メダルを獲得した。女子3000m障害はフレーリクス(米国)が先行するも、ラスト1周でチャムタイ(ウガンダ)が逆転。自国記録の9分01秒45で金メダルに輝いた。
日本勢で衝撃を与えたのは田中希実(豊田自動織機TC)。女子1500m準決勝で日本女子初の4分切りとなる3分59秒19をマークし、なんと5着に入って着順で決勝進出を決めた。女子中距離トラック種目で決勝に進出するのは、1928年アムステルダム五輪女子800mの人見絹枝以来の快挙だった。決勝進出が期待された男子110mハードル陣。準決勝突破に挑んだが、泉谷駿介(順大)、金井大旺(ミズノ)ともに、惜しくも決勝進出はならなかった。男子やり投の小南拓人(染めQ)も初の五輪は予選敗退に終わった。


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