HOME バックナンバー
【誌面転載】National Record Memorial Interview 高山峻野(男子110mH・ゼンリン)
【誌面転載】National Record Memorial Interview 高山峻野(男子110mH・ゼンリン)

National Record Memorial Interview
高山峻野(男子110mH・ゼンリン)

着実な上積みで
〝想定外〟の日本記録連発

7月27日の実業団・学生対抗で13秒30(+1.9)の日本新記録を打ち立てた高山峻野(ゼンリン)。今シーズンは2度も日本タイを記録しており、まさに3度目の正直だった

まさに3度目の正直だった。6月、布勢スプリントと日本選手権で13秒36の日本タイ記録を2度にわたってマークしていた高山峻野(ゼンリン)。7月27日の2019オールスターナイト陸上(秩父宮賜杯第59回実業団・学生対抗陸上競技大会)で、その壁を一気に突き破る13秒30の日本新記録を樹立した。日本選手権を3度制し、日本記録を樹立しても、その〝マイペース〟は変わらない。現在地と目指すべき場所は明確。ここにたどり着くまでの過程、日本スプリントハードル界の現状、そしてこれから先の展望を聞いた。
構成/向永拓史
撮影/船越陽一郎

広告の下にコンテンツが続きます

3台目までにレースを作れた

――改めまして、日本新記録(13秒30 /+1.9)の樹立おめでとうございます。
高山 ありがとうございます。まだタイムを出したという実感はないのですが、素直にうれしく思います。出社日には会社のみなさんも喜んでくれました。
――実業団・学生対抗にはどのような状態で臨まれたのでしょう。
高山 日本選手権(6月末)が終わってから疲労を取って、体調面は万全の状態でした。自己ベストかそれに近いタイムを出そう、と。ただ、どうも調整がうまくいかな
くて、前日練習も脚をハードルにぶつけていました。それでも競技場に着いた時はやる気があったんです。でも、ウォーミングアップをやって、「今日はダメだな」と。
ハードルで膝を久々に強打して……。気持ちが落ちました。ただ、直前の女子100mハードルでいいタイムが出ていたので、「風が吹けば行けるんじゃないか」と気持ちを
切り替えることができました。
――走りを振り返っていただけますか。
高山 ずっと取り組んでいた「3台目までにレースを作る」という部分が、しっかりできていたと思います。
――感覚としては、布勢スプリントや日本選手権との違いはありましたか。
高山 布勢の時はスピード感がなかったので、どうして(13秒36が)出たのかわかりませんでした。でも、今回は自分で地面をとらえている感じがありました。スタート
はゆっくり出たつもりでしたが、思いのほか前にいて、これは調子がいい時の証。インターバルをうまく刻めればベストに近いタイムが出るかも、と思っていました。
―― いつも競り合う泉谷駿介選手(順大)が、少し遅れました(2着、13秒60)。
高山 隣にいると視界に入りますが、今回はレーンが離れていたので(※高山4レーン、泉谷7レーン)、気になりませんでした。泉谷君はユニバーシアードの疲れなど
があっただけだと思います。
――13秒30というタイムについては、どのように感じていますか。
高山 まったくの想定外。そもそも13秒36でさえ、想定外です。冬季練習の感じからいっても、ベスト(去年までのベスト13秒44 / 17年)を少し更新できればいいな、
と思っていたので、まさか13秒3台が出るとは思いもしませんでした。
――東京五輪の参加標準記録(13秒32)も突破されました。
高山 切れればうれしいな、という思いは持っていましたが、特に意識はしていません。ベストを出し続けた延長にあると思っていました。

※この続きは2019年8月10日発売の『月刊陸上競技』9月号をご覧ください

National Record Memorial Interview 高山峻野(男子110mH・ゼンリン)

着実な上積みで 〝想定外〟の日本記録連発

[caption id="attachment_4027" align="aligncenter" width="400"] 7月27日の実業団・学生対抗で13秒30(+1.9)の日本新記録を打ち立てた高山峻野(ゼンリン)。今シーズンは2度も日本タイを記録しており、まさに3度目の正直だった[/caption] まさに3度目の正直だった。6月、布勢スプリントと日本選手権で13秒36の日本タイ記録を2度にわたってマークしていた高山峻野(ゼンリン)。7月27日の2019オールスターナイト陸上(秩父宮賜杯第59回実業団・学生対抗陸上競技大会)で、その壁を一気に突き破る13秒30の日本新記録を樹立した。日本選手権を3度制し、日本記録を樹立しても、その〝マイペース〟は変わらない。現在地と目指すべき場所は明確。ここにたどり着くまでの過程、日本スプリントハードル界の現状、そしてこれから先の展望を聞いた。 構成/向永拓史 撮影/船越陽一郎

3台目までにレースを作れた

――改めまして、日本新記録(13秒30 /+1.9)の樹立おめでとうございます。 高山 ありがとうございます。まだタイムを出したという実感はないのですが、素直にうれしく思います。出社日には会社のみなさんも喜んでくれました。 ――実業団・学生対抗にはどのような状態で臨まれたのでしょう。 高山 日本選手権(6月末)が終わってから疲労を取って、体調面は万全の状態でした。自己ベストかそれに近いタイムを出そう、と。ただ、どうも調整がうまくいかな くて、前日練習も脚をハードルにぶつけていました。それでも競技場に着いた時はやる気があったんです。でも、ウォーミングアップをやって、「今日はダメだな」と。 ハードルで膝を久々に強打して……。気持ちが落ちました。ただ、直前の女子100mハードルでいいタイムが出ていたので、「風が吹けば行けるんじゃないか」と気持ちを 切り替えることができました。 ――走りを振り返っていただけますか。 高山 ずっと取り組んでいた「3台目までにレースを作る」という部分が、しっかりできていたと思います。 ――感覚としては、布勢スプリントや日本選手権との違いはありましたか。 高山 布勢の時はスピード感がなかったので、どうして(13秒36が)出たのかわかりませんでした。でも、今回は自分で地面をとらえている感じがありました。スタート はゆっくり出たつもりでしたが、思いのほか前にいて、これは調子がいい時の証。インターバルをうまく刻めればベストに近いタイムが出るかも、と思っていました。 ―― いつも競り合う泉谷駿介選手(順大)が、少し遅れました(2着、13秒60)。 高山 隣にいると視界に入りますが、今回はレーンが離れていたので(※高山4レーン、泉谷7レーン)、気になりませんでした。泉谷君はユニバーシアードの疲れなど があっただけだと思います。 ――13秒30というタイムについては、どのように感じていますか。 高山 まったくの想定外。そもそも13秒36でさえ、想定外です。冬季練習の感じからいっても、ベスト(去年までのベスト13秒44 / 17年)を少し更新できればいいな、 と思っていたので、まさか13秒3台が出るとは思いもしませんでした。 ――東京五輪の参加標準記録(13秒32)も突破されました。 高山 切れればうれしいな、という思いは持っていましたが、特に意識はしていません。ベストを出し続けた延長にあると思っていました。 ※この続きは2019年8月10日発売の『月刊陸上競技』9月号をご覧ください

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.29

【高校生FOCUS】走高跳・中村佳吾(関大北陽高)「プレッシャーがあったほうが跳べる」

FOCUS! 高校生INTERVIEW 中村佳吾 Nakamura Keigo 関大北陽3大阪 毎月恒例掲載の高校生FOCUSは、男子走高跳の中村佳吾選手(関大北陽3大阪)に2025年を締めくくってもらいます。7月の広島 […]

NEWS インフル乗り越えた大東大・外園監督「出場できることに感謝」名城大・米田監督「総合力で勝ち切る」/富士山女子駅伝

2025.12.29

インフル乗り越えた大東大・外園監督「出場できることに感謝」名城大・米田監督「総合力で勝ち切る」/富士山女子駅伝

12月30日に開催される2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)の前日会見と開会式が、29日に静岡県富士市内で行われた。 会見には城西大の赤羽周平監督、大東大の外園隆監督、名城大の米田勝朗監督、東北福祉大の冠木雅 […]

NEWS 全日本女王・城西大の赤羽監督は初Vへ「100%が出せれば見えてくる」立命大・杉村監督「この布陣で連覇を」/富士山女子駅伝

2025.12.29

全日本女王・城西大の赤羽監督は初Vへ「100%が出せれば見えてくる」立命大・杉村監督「この布陣で連覇を」/富士山女子駅伝

12月30日に開催される2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)の前日会見と開会式が、29日に静岡県富士市内で行われた。 会見には城西大の赤羽周平監督、大東大の外園隆監督、名城大の米田勝朗監督、東北福祉大の冠木雅 […]

NEWS 【箱根駅伝区間エントリー】全日本王者・駒大は6区に3度目となる伊藤蒼唯! 主将・山川拓馬、エース・佐藤圭汰らは補欠

2025.12.29

【箱根駅伝区間エントリー】全日本王者・駒大は6区に3度目となる伊藤蒼唯! 主将・山川拓馬、エース・佐藤圭汰らは補欠

第102回箱根駅伝(2026年1月2日、3日)の区間エントリーが12月29日に発表された。 全日本大学駅伝を制し、3年ぶりの優勝を狙う駒大は前回経験者4人を登録。1区は伊勢路でも同区間で区間4位と好走した小山翔也(3年) […]

NEWS 【箱根駅伝区間エントリー】悲願の初Vへ國學院大は2区に主将・上原琉翔! ルーキー・髙石樹が5区 野中恒亨らは補欠

2025.12.29

【箱根駅伝区間エントリー】悲願の初Vへ國學院大は2区に主将・上原琉翔! ルーキー・髙石樹が5区 野中恒亨らは補欠

第102回箱根駅伝(2026年1月2日、3日)の区間エントリーが12月29日に発表された。 出雲駅伝を制し、悲願の初優勝を狙う國學院大は2区に主将の上原琉翔(4年)を登録。1区には前回6区の嘉数純平(4年)、4区には出雲 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top