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2025.08.08

日本陸連が高校生対象に「ダイバーシティ&インクルージョン」テーマのワークショップ開催!「スポーツを通じて社会課題の解決を」
日本陸連が高校生対象に「ダイバーシティ&インクルージョン」テーマのワークショップ開催!「スポーツを通じて社会課題の解決を」

高校生を対象に「ダイバーシティ&インクルージョン」テーマのワークショップが開催された

日本陸連は8月8日、都内の日本オリンピックミュージアムで高校生を対象に「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」をテーマとしたワークショップを開催した。

日本陸連は今年3月8日に100周年を迎え、「100年続いた歴史を次の世代に引き継ぐ」べく、「すべての人がライフステージで陸上を楽しめるように」「多様性が尊重され、すべての人が公平に扱われるように」を目指して、さまざまな取り組みを進めている。

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今回はその一環で、都内、愛知、大阪から参加した20名の高校生たちが、「D&Iについて」「LGBTQ+について」を学んだ。

そもそもD&Iとは、人々の多様性を尊重し、受け入れて生かす社会・組織を作ることで、より良い、成長が持続する社会・組織を目指すという考え方だ。まずは、日本陸連理事でD&I推進を担当する來田享子氏が、今回のワークショップ開催の意義と合わせ、「スポーツの役割はますます大きくなっています。多様性が尊重され、すべての人が公平に扱われるとともに、スポーツを通じて社会課題の解決につながる環境を構築していくことが求められています」と説明。続いてD&Iにおいて何を考えなければいけないのかを、ワークショップを通じて伝えていく。

なかでも、多様性の根源となる「人権について」を深く探っていった。人々の分類、区別にはどのようなものがあるのか。それらの分類や区別が差別や排除につながっている例はあるか。高校生たちからは「目の色」「肌の色」「国籍」「文化」「収入」など次々と例が挙がる。

それに対して來田理事は、1960年代にアメリカやカナダで実際に行われた目の色で分けた教育研究を事例に出し、「こんな区別は意味がないよね、と互いに理解し合うという画期的な教育がありました」と話し、「みんなの思いついた区別が、誰かを差別したり排除したりすることにつながっていないか、考えてみよう」と訴える。

世界人権宣言、オリンピック憲章にも人権について明確に触れられている。その人権の英語訳『Human Rights(ヒューマン・ライツ)』を紹介した來田知事は、「複数形なので、『権利』とは具体的に数えられるものです」と説明。すべての人が生まれながらにして持つ、人として当たり前に生きていくために欠くことのできないこの権利について、「人を好きになる権利」「スポーツをする権利」「好きな勉強ができる権利」など具体例が挙がっていった。

また、世界人権宣言には記載がなく、オリンピック憲章には記載がある人権に関する記述に「性的指向」がある。「スポーツに入っているということは、スポーツだったらその差別は乗り越えることができると考えているということ」と來田理事は、言葉に力を込める。

まとめとしてD&Iは、「さまざまに分類・区別される人々が差別を受けたり、排除されることなく、一人ひとりの人権が守られ、自分らしく、それぞれの個性や能力を生かして活動できること」とし、「いろいろな人がそこに集まっていればOKということではない。特別扱いではなく、対等な関係であることが大切です」と続けた。

合わせて、チーム、組織、社会全体がD&Iであることの利点と課題についても取り上げ、高校生たちから上がった利点は「多角的に意見が出やすい」「一人よりも二段、三段のアイデアが出る」。課題は「意見がまとまりにくい」「意見の食い違いで言い争いが生まれる」といったものが挙がった。

それらの意見を踏まえ、來田理事は「時間はかかりますが、それを面倒くさがらないこと、少数の意見をしっかりと聞いていくことが大切です」と締めくくった。

続いて、「LGBTQ+」に関しての講義が行われ、特定非営利活動法人プライドハウス東京の村上愛梨さんが担当した。

バスケットボールからラグビーへ転向し、日本代表も経験している村上さんは、自身がレズビアンであることをカミングアウト。この自身が公表する「カミングアウト」と、本人の許可なく暴露される「アウティング」との大きな違いを伝え、自身の経験も踏まえて「言いたい人は言える、言いたくない人は言わなくていいという現場を作っていくこと」の重要性を訴えた。

また、スポーツには「男性らしさ」が全面に出てきていたことを背景に、「男性と女性の構図がはっきりとしている」ことで、トランスジェンダーやノバイナリーの存在が「透明化されやすい」とも言う。

グループワークでは、近年のスポーツ界でも課題として挙がるトランスジェンダー選手の女子種目への参加について、「トランスジェンダーの方々が自認している性別と、生物学的性別とが違う場合に、出場できる女性の枠に出場すると不公平に思われるし、男性の枠で出ると精神的な面で権利を侵害されます。その解決のために、『オープン枠』『男女でより細かい区分をつける』『タイムの伸び率でみる』などをしていけば、そういった人たちでも楽しくスポーツができるのでは」という意見が出た。

このほか、LBGTQ+の人たちを支援する「アライ」に自身がなった場合に、「身近なスポーツ現場にLGBTQ+の選手が参加しやすくするためには何ができるか」、そして今回のワークショップの総まとめとして「D&Iを体現するような陸上競技種目の考案」をテーマにグループワークが行われ、活発な意見交換がなされた。

日本陸連は8月8日、都内の日本オリンピックミュージアムで高校生を対象に「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」をテーマとしたワークショップを開催した。 日本陸連は今年3月8日に100周年を迎え、「100年続いた歴史を次の世代に引き継ぐ」べく、「すべての人がライフステージで陸上を楽しめるように」「多様性が尊重され、すべての人が公平に扱われるように」を目指して、さまざまな取り組みを進めている。 今回はその一環で、都内、愛知、大阪から参加した20名の高校生たちが、「D&Iについて」「LGBTQ+について」を学んだ。 そもそもD&Iとは、人々の多様性を尊重し、受け入れて生かす社会・組織を作ることで、より良い、成長が持続する社会・組織を目指すという考え方だ。まずは、日本陸連理事でD&I推進を担当する來田享子氏が、今回のワークショップ開催の意義と合わせ、「スポーツの役割はますます大きくなっています。多様性が尊重され、すべての人が公平に扱われるとともに、スポーツを通じて社会課題の解決につながる環境を構築していくことが求められています」と説明。続いてD&Iにおいて何を考えなければいけないのかを、ワークショップを通じて伝えていく。 なかでも、多様性の根源となる「人権について」を深く探っていった。人々の分類、区別にはどのようなものがあるのか。それらの分類や区別が差別や排除につながっている例はあるか。高校生たちからは「目の色」「肌の色」「国籍」「文化」「収入」など次々と例が挙がる。 それに対して來田理事は、1960年代にアメリカやカナダで実際に行われた目の色で分けた教育研究を事例に出し、「こんな区別は意味がないよね、と互いに理解し合うという画期的な教育がありました」と話し、「みんなの思いついた区別が、誰かを差別したり排除したりすることにつながっていないか、考えてみよう」と訴える。 世界人権宣言、オリンピック憲章にも人権について明確に触れられている。その人権の英語訳『Human Rights(ヒューマン・ライツ)』を紹介した來田知事は、「複数形なので、『権利』とは具体的に数えられるものです」と説明。すべての人が生まれながらにして持つ、人として当たり前に生きていくために欠くことのできないこの権利について、「人を好きになる権利」「スポーツをする権利」「好きな勉強ができる権利」など具体例が挙がっていった。 また、世界人権宣言には記載がなく、オリンピック憲章には記載がある人権に関する記述に「性的指向」がある。「スポーツに入っているということは、スポーツだったらその差別は乗り越えることができると考えているということ」と來田理事は、言葉に力を込める。 まとめとしてD&Iは、「さまざまに分類・区別される人々が差別を受けたり、排除されることなく、一人ひとりの人権が守られ、自分らしく、それぞれの個性や能力を生かして活動できること」とし、「いろいろな人がそこに集まっていればOKということではない。特別扱いではなく、対等な関係であることが大切です」と続けた。 合わせて、チーム、組織、社会全体がD&Iであることの利点と課題についても取り上げ、高校生たちから上がった利点は「多角的に意見が出やすい」「一人よりも二段、三段のアイデアが出る」。課題は「意見がまとまりにくい」「意見の食い違いで言い争いが生まれる」といったものが挙がった。 それらの意見を踏まえ、來田理事は「時間はかかりますが、それを面倒くさがらないこと、少数の意見をしっかりと聞いていくことが大切です」と締めくくった。 続いて、「LGBTQ+」に関しての講義が行われ、特定非営利活動法人プライドハウス東京の村上愛梨さんが担当した。 バスケットボールからラグビーへ転向し、日本代表も経験している村上さんは、自身がレズビアンであることをカミングアウト。この自身が公表する「カミングアウト」と、本人の許可なく暴露される「アウティング」との大きな違いを伝え、自身の経験も踏まえて「言いたい人は言える、言いたくない人は言わなくていいという現場を作っていくこと」の重要性を訴えた。 また、スポーツには「男性らしさ」が全面に出てきていたことを背景に、「男性と女性の構図がはっきりとしている」ことで、トランスジェンダーやノバイナリーの存在が「透明化されやすい」とも言う。 グループワークでは、近年のスポーツ界でも課題として挙がるトランスジェンダー選手の女子種目への参加について、「トランスジェンダーの方々が自認している性別と、生物学的性別とが違う場合に、出場できる女性の枠に出場すると不公平に思われるし、男性の枠で出ると精神的な面で権利を侵害されます。その解決のために、『オープン枠』『男女でより細かい区分をつける』『タイムの伸び率でみる』などをしていけば、そういった人たちでも楽しくスポーツができるのでは」という意見が出た。 このほか、LBGTQ+の人たちを支援する「アライ」に自身がなった場合に、「身近なスポーツ現場にLGBTQ+の選手が参加しやすくするためには何ができるか」、そして今回のワークショップの総まとめとして「D&Iを体現するような陸上競技種目の考案」をテーマにグループワークが行われ、活発な意見交換がなされた。

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