HOME 国内

2025.07.06

男子三段跳は山下航平が6年ぶりの王座奪還 開催国枠設定記録に到達の16m67で世界陸上出場に望み/日本選手権
男子三段跳は山下航平が6年ぶりの王座奪還 開催国枠設定記録に到達の16m67で世界陸上出場に望み/日本選手権

25年日本選手権男子三段跳で優勝した山下航平

◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 2日目

東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、男子三段跳は16年リオ五輪代表の山下航平(ANA)が16m67(+0.4)を跳び、19年以来6年ぶり3回目の復活Vを飾った。

筑波大4年時で迎えたリオ五輪イヤーの関東インカレで16m85(当時・日本歴代6位)をマーク。しかし、以降は18年の16m54が最高と結果を出せない日々が続いた。22年の秋からはフルタイム勤務となり、限られた練習時間の中で競技と真摯に向き合ってきた。

広告の下にコンテンツが続きます

17m15の日本記録を持つ訓史さんを父に持ち、「三段跳を始めた頃から日本記録の更新を目標に競技を続けてきました」と、その呪縛にとらわれるあまり、「足元を見失っていました」と、これまでの競技生活を振り返る。

今秋で31歳を迎え、近年は両脚のアキレス腱の痛みに加えて、現在は腰痛なども抱える。この日も4、5回目をパスするなど、身体と相談しながらの競技となったものの、「ただ強く地面に力を加える感覚から、いかにブレーキをかけず前に進むかを意識して跳ぶことで、これまでとは違った跳躍ができるようになりました」と好調の要因を話す。

学生時代のように100mを10秒台中盤で走れるわけでもないが、「欲を捨てて、今やれることに専念することで、気持ちも軽くなった。今日も(世界選手権の)開催国枠エントリー設定記録の16m67を跳ぶことだけを考えて挑み、それにぴったり達成できたところも自分らしい」と苦笑いを見せる。

広告の下にコンテンツが続きます

設定記録ををクリアして優勝したものの、まだ世界選手権の代表に決まったわけではない。今後、世界ランキングで少しでも出場ラインに近づく必要があり、「あとは信じて待つのみ」と山下。

父は1991年に開催された東京世界選手権に出場し、決勝の舞台に上がった。「父を超えるまでは辞められないという気持ちで続けてきました」。あれから34年。父と同じ舞台に立つための挑戦が続く。

前回チャンピオンで、今季も16m57(+1.7)を跳んでいた安立雄斗(福岡大院2)は16m28(±0)で2位。安立と同じ福岡大出身で先輩の小田大雅(XSPO SEAGULLS)が1cm差で3位に続いた。

文/花木 雫

◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 2日目 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、男子三段跳は16年リオ五輪代表の山下航平(ANA)が16m67(+0.4)を跳び、19年以来6年ぶり3回目の復活Vを飾った。 筑波大4年時で迎えたリオ五輪イヤーの関東インカレで16m85(当時・日本歴代6位)をマーク。しかし、以降は18年の16m54が最高と結果を出せない日々が続いた。22年の秋からはフルタイム勤務となり、限られた練習時間の中で競技と真摯に向き合ってきた。 17m15の日本記録を持つ訓史さんを父に持ち、「三段跳を始めた頃から日本記録の更新を目標に競技を続けてきました」と、その呪縛にとらわれるあまり、「足元を見失っていました」と、これまでの競技生活を振り返る。 今秋で31歳を迎え、近年は両脚のアキレス腱の痛みに加えて、現在は腰痛なども抱える。この日も4、5回目をパスするなど、身体と相談しながらの競技となったものの、「ただ強く地面に力を加える感覚から、いかにブレーキをかけず前に進むかを意識して跳ぶことで、これまでとは違った跳躍ができるようになりました」と好調の要因を話す。 学生時代のように100mを10秒台中盤で走れるわけでもないが、「欲を捨てて、今やれることに専念することで、気持ちも軽くなった。今日も(世界選手権の)開催国枠エントリー設定記録の16m67を跳ぶことだけを考えて挑み、それにぴったり達成できたところも自分らしい」と苦笑いを見せる。 設定記録ををクリアして優勝したものの、まだ世界選手権の代表に決まったわけではない。今後、世界ランキングで少しでも出場ラインに近づく必要があり、「あとは信じて待つのみ」と山下。 父は1991年に開催された東京世界選手権に出場し、決勝の舞台に上がった。「父を超えるまでは辞められないという気持ちで続けてきました」。あれから34年。父と同じ舞台に立つための挑戦が続く。 前回チャンピオンで、今季も16m57(+1.7)を跳んでいた安立雄斗(福岡大院2)は16m28(±0)で2位。安立と同じ福岡大出身で先輩の小田大雅(XSPO SEAGULLS)が1cm差で3位に続いた。 文/花木 雫

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.10.05

故・川越学氏の『お別れ会』開催 東京世界陸上銅メダリスト・藤井菜々子「最後のメダル争いで(天国から)背中を押してくれた」

8月22日に合宿先の北海道で急逝した長距離指導者・川越学氏の「お別れ会」が10月5日、東京都内で営まれ、実業団・学連の関係者、早大競走部時代の仲間など約300人が参列した。 式典では、出席できなかった早稲田アスレチックス […]

NEWS 増子陽太が5000m13分34秒84!今季日本人高校最高 /日体大長距離競技会

2025.10.05

増子陽太が5000m13分34秒84!今季日本人高校最高 /日体大長距離競技会

10月5日、神奈川県横浜市の慶大日吉陸上競技場で第323回日体大長距離競技会兼第17回NITTAIDAII Challenge Gamesが行われ、NCG男子5000mで増子陽太(学法石川高3福島)が13分34秒84で日 […]

NEWS ドッキリ大成功!寺田明日香の元に福部真子、中島ひとみ、田中佑美、青木益未「実感湧かない」と涙/滋賀国スポ

2025.10.05

ドッキリ大成功!寺田明日香の元に福部真子、中島ひとみ、田中佑美、青木益未「実感湧かない」と涙/滋賀国スポ

◇滋賀国民スポーツ大会(10月3日~7日/滋賀・平和堂HATOスタジアム:彦根総合スポーツ公園陸上競技場) 3日目 滋賀国民スポーツ大会・陸上競技の3日目に行われた成年女子100mハードル。今季限りで第一線を退く寺田明日 […]

NEWS 110mH阿部竜希が13秒26で制す!「本当は帰ろうかなと思ったけど…」世界陸上逃した現実と向き合い糧に/滋賀国スポ

2025.10.05

110mH阿部竜希が13秒26で制す!「本当は帰ろうかなと思ったけど…」世界陸上逃した現実と向き合い糧に/滋賀国スポ

◇滋賀国民スポーツ大会(10月3日~7日/滋賀・平和堂HATOスタジアム:彦根総合スポーツ公園陸上競技場) 3日目 滋賀国民スポーツ大会・陸上競技の3日目が行われ、成年男子110mハードルは阿部竜希(千葉・順大)が13秒 […]

NEWS 一線退く寺田明日香「私1人ではこういう雰囲気を作れなかった」らしさ全開の“ゴール”に泣き笑い/滋賀国スポ

2025.10.05

一線退く寺田明日香「私1人ではこういう雰囲気を作れなかった」らしさ全開の“ゴール”に泣き笑い/滋賀国スポ

◇滋賀国民スポーツ大会(10月3日~7日/滋賀・平和堂HATOスタジアム:彦根総合スポーツ公園陸上競技場) 3日目 滋賀国民スポーツ大会・陸上競技の3日目が行われ、成年女子100mハードルは清山ちさと(宮崎・いちご)が1 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top