HOME 国内、大学

2023.04.14

「長い距離にも対応できる走法を磨いた」 中距離出身の中村光稀が初タイトル/関西ICハーフ
「長い距離にも対応できる走法を磨いた」 中距離出身の中村光稀が初タイトル/関西ICハーフ

23年関西インカレ男子ハーフマラソン優勝の中村光稀

◇第100回関西インカレ ロードの部(4月14日/大阪府・淀川右岸・西中島マラソンコース)

100回の節目を迎える関西インカレ。5月のトラック&フィールドの部に先立ち行われたロード部(1部)で頂点に立ったのは京産大の3年生・中村光稀だった。3連覇のかかった守屋和希(関学大4)とのマッチレースを制し1時間7分24秒で初のタイトルを手にした。

関西インカレのハーフマラソンは例年、長居公園周回コースで行われているが、工事などの影響のため、淀川の河川敷での開催となった今回。スタート時の気温が20度を超えるなど春の陽気が選手たちを苦しめることとなる。

暑さや河川敷特有の風などの影響もあり、入りの5㎞を16分前後で通過。スローな展開となるなか、レースが動いたのは15㎞過ぎ。さらにペースが落ちたところで、守屋がリズムを変えた。2部を含め8人前後いた集団が一気に崩れ、その仕掛けについたのは中村だけだった。

「自分の本意ではありませんでしたが、コンディションも悪く、何とか優勝して得点を稼ぎたかったので、守屋さんの後ろについて体力を温存させてもらいました」と中村。「スローだったこともあり、後半も余裕がありました」と虎視眈々とスパートの機を狙っていた。

残り1㎞を切り、「守屋さんに余裕がなさそうだったので思い切って前に出ました」と、ラスト600~700mあたりでスパート。みるみるうちの差が開き、一気に17秒差をつけてのフィニッシュとなった。

広告の下にコンテンツが続きます

和歌山北高の2年時までは800mを中心に中距離が専門だった中村。中学時代は100mや4×100mリレーなど短距離にも出場していた経歴を持つ。大学入学を機に本格的に長距離を始めた。「それまでのスプリント的なフォームを見直し、長い距離にも対応できるようリラックスした省エネ走法を磨いてきました」という。昨年末には10000mでも28分55秒22をマークするまで成長を遂げていた。

1月の関西学生ハーフでは、思ったような走りができず1時間5分38秒と不完全燃焼。それでも、「暖かくなるにつれて調子が上がってきました」と、8位に粘った木下太成(2年)と合わせ9点を獲得。「今回はタイムより勝負を優先したので、勝ててよかったです。それでも守屋さんも本調子ではなかったので、関西インカレや全日本予選でも勝ち切れるよう頑張りたい」と意気込む。

3連覇のかかっていた守屋は、2週間前まで実業団の合宿に参加するなどしていたため調整が間に合わずも、納得の2位。守屋から1分近く離されたものの中田千太郎(立命大3)が1時間8分39秒で3位、前回5位の足立舜(京大M2)が4位に続いた。

2部は15㎞まで1部の先頭集団に食らいついていた九野耀太(びわ学大4)が1時間9分10秒で制した。

関西インカレのトラック&フィールドの部は5月24日~27日にヤンマースタジアム長居・ヤンマーフィールド長居で行われる。

文/花木 雫

◇第100回関西インカレ ロードの部(4月14日/大阪府・淀川右岸・西中島マラソンコース) 100回の節目を迎える関西インカレ。5月のトラック&フィールドの部に先立ち行われたロード部(1部)で頂点に立ったのは京産大の3年生・中村光稀だった。3連覇のかかった守屋和希(関学大4)とのマッチレースを制し1時間7分24秒で初のタイトルを手にした。 関西インカレのハーフマラソンは例年、長居公園周回コースで行われているが、工事などの影響のため、淀川の河川敷での開催となった今回。スタート時の気温が20度を超えるなど春の陽気が選手たちを苦しめることとなる。 暑さや河川敷特有の風などの影響もあり、入りの5㎞を16分前後で通過。スローな展開となるなか、レースが動いたのは15㎞過ぎ。さらにペースが落ちたところで、守屋がリズムを変えた。2部を含め8人前後いた集団が一気に崩れ、その仕掛けについたのは中村だけだった。 「自分の本意ではありませんでしたが、コンディションも悪く、何とか優勝して得点を稼ぎたかったので、守屋さんの後ろについて体力を温存させてもらいました」と中村。「スローだったこともあり、後半も余裕がありました」と虎視眈々とスパートの機を狙っていた。 残り1㎞を切り、「守屋さんに余裕がなさそうだったので思い切って前に出ました」と、ラスト600~700mあたりでスパート。みるみるうちの差が開き、一気に17秒差をつけてのフィニッシュとなった。 和歌山北高の2年時までは800mを中心に中距離が専門だった中村。中学時代は100mや4×100mリレーなど短距離にも出場していた経歴を持つ。大学入学を機に本格的に長距離を始めた。「それまでのスプリント的なフォームを見直し、長い距離にも対応できるようリラックスした省エネ走法を磨いてきました」という。昨年末には10000mでも28分55秒22をマークするまで成長を遂げていた。 1月の関西学生ハーフでは、思ったような走りができず1時間5分38秒と不完全燃焼。それでも、「暖かくなるにつれて調子が上がってきました」と、8位に粘った木下太成(2年)と合わせ9点を獲得。「今回はタイムより勝負を優先したので、勝ててよかったです。それでも守屋さんも本調子ではなかったので、関西インカレや全日本予選でも勝ち切れるよう頑張りたい」と意気込む。 3連覇のかかっていた守屋は、2週間前まで実業団の合宿に参加するなどしていたため調整が間に合わずも、納得の2位。守屋から1分近く離されたものの中田千太郎(立命大3)が1時間8分39秒で3位、前回5位の足立舜(京大M2)が4位に続いた。 2部は15㎞まで1部の先頭集団に食らいついていた九野耀太(びわ学大4)が1時間9分10秒で制した。 関西インカレのトラック&フィールドの部は5月24日~27日にヤンマースタジアム長居・ヤンマーフィールド長居で行われる。 文/花木 雫

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

NEWS 【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

2025.04.30

【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]

NEWS 5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top