2022.12.19
意見を尊重してくれる城西大の環境で成長
城西大を選んだのも、「やらされる練習より自分で考えてやる練習」ができる環境にあったから。低酸素室などの環境も整っており、卒業生に村山紘太(現・旭化成)、山口浩勢(現・愛三工業)という2人のオリンピアンがいることも決め手になった。
「箱根だけで終わるのではなく、その先を見据えてやりたいと思っているので、それを考えたら城西大が一番当てはまっているのかなと思いました」
実際に入学してみて、「やりたいことをやらせてくれる」という印象は変わっていない。櫛部静二監督やコーチも斎藤の意見を聞いてくれたり、練習を見て細かいところまでアドバイスしてくれたりと、非常にやりやすい環境でここまで競技に取り組めている。
6月の全日本大学駅伝選考会ではメンバーに登録。主力の先輩たちが故障明けといった事情もあり、ルーキーながら各校の有力選手が集まる最終4組を任された。この時は29分40秒73で組26着。直前の調子は良かったが、「練習で燃え尽きてしまい」本番で力を発揮できなかった。
チーム内でのタイムは2番目だったが「不甲斐ない走りだった」。その悔しさを晴らすべく練習のボリュームを増やし、ホクレンディスタンスチャレンジに臨んだ。結果、5000mで北見大会13分56秒07、網走大会13分53秒14をマーク。高校の時から13分台を目指していたので「ようやく」という気持ちも強かった。
「周りを見るともっと強い選手がたくさんいるので、13分台は通過点にすぎないと思っています」。あくまで斎藤の目線はもっと高いところを見ている。「負けず嫌いですか?」と思わず聞くと、「そうですね」と笑って返す。練習でも「負けたくない」とバチバチにやり過ぎてしまうこともあるのだと苦笑する。
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中学時代から全国大会に出場、走る楽しさを知る
福井県・陽明中学校の時は野球部で、ピッチャーやサード。運動神経の良さを買われてたびたび陸上の試合に出ることもあり、中学3年時には全中駅伝に出場して1区17位。都道府県対抗男子駅伝のメンバーにも選ばれ2区23位の成績を残している。 全国の強豪が集まる大会を経験し「走るのって楽しいな」、そして「もっと他の人に勝ちたいな」という気持ちに。小学校の時にテレビで見た箱根駅伝で、青学大の神野大地(現・セルソース)が5区で逆転し、チームを優勝に導いたシーンが印象に残っている。「自分も箱根駅伝を走って目立ちたい」。高校から本格的に陸上部に入部して陸上を始めることにした。 野球の強豪校でもある敦賀気比高に進学。走る練習をする時は基本的に1人だった中学時代と違い、初めて集団での練習に強度も上がった。「中学の時は『ただ走り込んでいただけ』で、陸上というものをほとんど知りませんでした。動き作りやフォーム、インターバルやペースを守った距離走など、陸上ならではのメニューになじむのは苦戦しました」。 それでも順調に実力を伸ばし、秋には国体男子少年B3000mに出場して11位。しかし2年になってからは新型コロナウイルス感染拡大の影響で活動が制限されたり、大会がなくなったりして、練習に身が入らないこともあり伸び悩んだ。 3年の前半には調子が良く、5000mでインターハイにも出場。この時は予選17位で決勝には進めなかった。その後は疲れもあり調子を崩し、熱心に陸上に打ち込めない時期もあったという。 「自分に必要なものが感覚的にわかっていたのかもしれない」。改めて自分に向き合い、与えられた練習をするだけではなく「何が足りないのか」を自ら考えた。自分に必要な練習をすることで調子を取り戻すことができ、12月の全国高校駅伝ではエースの集う1区で11位と好走した。 次ページ 意見を尊重してくれる城西大の環境で成長意見を尊重してくれる城西大の環境で成長
城西大を選んだのも、「やらされる練習より自分で考えてやる練習」ができる環境にあったから。低酸素室などの環境も整っており、卒業生に村山紘太(現・旭化成)、山口浩勢(現・愛三工業)という2人のオリンピアンがいることも決め手になった。 「箱根だけで終わるのではなく、その先を見据えてやりたいと思っているので、それを考えたら城西大が一番当てはまっているのかなと思いました」 実際に入学してみて、「やりたいことをやらせてくれる」という印象は変わっていない。櫛部静二監督やコーチも斎藤の意見を聞いてくれたり、練習を見て細かいところまでアドバイスしてくれたりと、非常にやりやすい環境でここまで競技に取り組めている。 [caption id="attachment_89159" align="alignnone" width="800"]
予選会ではチーム内日本人トップを飾った[/caption]
6月の全日本大学駅伝選考会ではメンバーに登録。主力の先輩たちが故障明けといった事情もあり、ルーキーながら各校の有力選手が集まる最終4組を任された。この時は29分40秒73で組26着。直前の調子は良かったが、「練習で燃え尽きてしまい」本番で力を発揮できなかった。
チーム内でのタイムは2番目だったが「不甲斐ない走りだった」。その悔しさを晴らすべく練習のボリュームを増やし、ホクレンディスタンスチャレンジに臨んだ。結果、5000mで北見大会13分56秒07、網走大会13分53秒14をマーク。高校の時から13分台を目指していたので「ようやく」という気持ちも強かった。
「周りを見るともっと強い選手がたくさんいるので、13分台は通過点にすぎないと思っています」。あくまで斎藤の目線はもっと高いところを見ている。「負けず嫌いですか?」と思わず聞くと、「そうですね」と笑って返す。練習でも「負けたくない」とバチバチにやり過ぎてしまうこともあるのだと苦笑する。
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「城西大のエース」としての走りを
10月の箱根駅伝予選会では、初のハーフマラソンながら1時間3分18秒で総合27位。チーム内ではヴィクター・キムタイ(1年)に次ぐ2番目で、チームの3位通過に大きく貢献した。 この時も距離に少し不安はあったというが、練習をしっかり積めていたので「ある程度ペースを守っていけば、結果はついてくる」と思って臨み、そのとおりになった。その後もケガなく練習を継続できていることが10000m28分台にもつながった。激坂王決定戦については「練習の一環」として出場。櫛部監督は斎藤の走りに「まさかここまで走れるとは、いい意味で想定外でしたね」と評価する。 まずは学生トップレベルの選手になり、いずれはマラソンにも挑戦したいと目標を語る。まずは他校のエースたちと戦い、どれだけ食らいついていけるか試してみたいという。目標とするのは「國學院大の平林清澄選手」。同じ福井県出身の1学年上で、高校時代から走りを見ていたという。都道府県対抗男子駅伝のメンバーに選ばれた際には一緒に合宿するなど近い存在だった。 その平林は1年目から箱根駅伝で活躍し、日本学生ハーフマラソンで優勝、さらにはドイツのレースに招待されるなど活躍。その姿を見て「自分も負けたくないし、そこを目指したいです」と話す。 [caption id="attachment_89158" align="alignnone" width="800"]
前回5区を走った山本唯翔とツーショット[/caption]
これまでは「量より質」を求めて取り組んできたが、戦うためには練習の量も増やしていかなければいけないと自覚している。今は先輩たちと練習をともにしているが、城西大初の留学生キムタイとどれだけついていけるかをポイントに置く。「まずは練習を一緒に消化すること。同じレースに出た時は勝ち切ることを目標にしています」。
目前に迫った箱根駅伝。目標としていた大会ではあるが、「そこで競技が終わるわけではないので、あくまでも通過点だと思います」と斎藤。箱根で結果を出すことも大事だが、大舞台を経験し、その後の人生や競技につなげていきたいという思いが強い。
走ってみたい区間は「1区か2区」。ヨーイドンでスタートして強豪校の選手に勝ちたい、という気持ちもあるが「あとはテレビにも映るので。やっぱり目立ちたいですね」と笑う。
だが、「力がついてきたと自分でも感じられるので、他大学のエースと走れる2区にチャレンジしたい」という気持ちもある。上りの強さから、5区での起用もあり得るが「もしそうなったら70分台で走って、シード権獲得に貢献したいです」と頼もしい。
「城西大のエースになりたい」と言い切る斎藤の箱根路デビューはどの区間で、どんな走りを見せるだろうか。
さいとう・しょうや/2003年10月22日生まれ。福井県大野市出身。165cm・49kg。福井・陽明中→敦賀気比高。5000m13分53秒14、10000m28分37秒90、ハーフ1時間3分18秒
文/藤井みさ RECOMMENDED おすすめの記事
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