HOME 高校

2022.11.07

西脇工7回目の男女V 長嶋幸宝1区28分31秒で12年ぶり区間新 女子はフィニッシュ直前で逆転/兵庫県高校駅伝
西脇工7回目の男女V 長嶋幸宝1区28分31秒で12年ぶり区間新 女子はフィニッシュ直前で逆転/兵庫県高校駅伝

兵庫県高校駅伝は11月6日、快晴のコンディションのもと、丹波篠山市の大正ロマン館前をスタートし、篠山鳳鳴高校をフィニッシュとする丹波篠山市高校駅伝コースで行われ、男女ともに西脇工が制して6年ぶり7回目の男女Vを達成した。男子(7区間42.195km)は、前回マークしたコースレコードを4秒更新する2時間3分31秒の大会新で2年連続28回目のV。女子は1時間12分01秒で5年ぶり9度目の頂点に立った。

三つ巴の争いが予想された男子は1区(10km)から予想外の展開が待っていた。夏のインターハイ5000mで日本人1、2位の報徳学園・前田和摩(3年)、西脇工・長嶋幸宝(3年)のエース対決。長嶋を1秒でも引き離して2区につなぎたい前田が先頭に立ち、入りの1kmを2分39秒で通過。前回も28分59秒を叩き出し、長嶋に14秒先着して区間賞を獲得しているだけに、自信を持っての先導だった。

2人は、その後も快調な足取りで飛ばし3kmを8分13秒、中間点(5㎞)を驚異の13分50秒で通過。さすがの長嶋もスプリットを確認し、「マジか」と驚いたと言うが、必死で食らいつきチャンスを待った。

快調に飛ばすふたりに変化が見え始めたのが6㎞過ぎ。「直後から見ていて前田のフォームが少し上に跳ねるような感じになり、息も乱れてきていたので、こちらもきつかったですが、思い切って前に出ました」と、急な上りとなる6.5㎞手前で長嶋が前田の前へ出て揺さぶると、前田がズルズルと後退。7㎞過ぎの下りで長嶋がさらにペースを上げると、その差はみるみるうちに広がり、勝負が決まった。

長嶋は、その後もペースを緩めることなく走り切り、28分31秒で2年ぶりに区間賞を奪還。2010年に西池和人(須磨学園)がマークした区間記録を21秒更新する快走でチームに流れを呼び込んだ。

前田は何とかタスキをつなぐも長嶋とは1分11秒差の区間2位。29分42秒と決して悪いタイムではなかったが中継後、フェンスに何度も拳を打ち付け悔しさをにじませていた。

広告の下にコンテンツが続きます

中盤以降、層の厚さを見せつけた西脇工が、その後も後続との差を徐々に広げ7区間中6区間で区間賞を獲得するなど圧勝。2区で区間賞を獲得した藤田大智主将は、「長嶋がいい流れを作ってくれ、最後までそれを崩さずタスキを運ぶことができました。勝負の県大会に向け、いい準備ができたことが大きいです。昨年より力があると言われてきましたが、今日の結果でそれを示せました」と笑顔で話す。

ただ、33回目の都大路を見据えると満足していない。「このままでは全国では通用しません。今回足りなかった部分を本番までにさらに鍛え、タイムを削り出せるようチーム一丸で仕上げていきたい」と、目標の全国制覇に向け気を引き締めていた。

2位は2時間6分33秒で須磨学園。4区で熊井渓人(3年)が区間賞の力走で追い上げた。17年ぶりの優勝を目指した報徳学園は2時間8分40秒で3位だった。

女子の西脇工は、序盤から5連覇を狙う須磨学園に先行される展開。2区こそ飯塚菜月(3年)が区間トップだったが、1、3、4区で区間賞を奪われ、アンカーへの中継時は21秒ビハインドだった。だが、フィニッシュ直前で須磨学園が失速。その間に西脇工・藤城さくら(3年)が逆転し、9回目の都大路行きを決めた。

全国大会は12月25日、京都市のたけびしスタジアム京都を発着点に行われる。

文/花木 雫

兵庫県高校駅伝は11月6日、快晴のコンディションのもと、丹波篠山市の大正ロマン館前をスタートし、篠山鳳鳴高校をフィニッシュとする丹波篠山市高校駅伝コースで行われ、男女ともに西脇工が制して6年ぶり7回目の男女Vを達成した。男子(7区間42.195km)は、前回マークしたコースレコードを4秒更新する2時間3分31秒の大会新で2年連続28回目のV。女子は1時間12分01秒で5年ぶり9度目の頂点に立った。 三つ巴の争いが予想された男子は1区(10km)から予想外の展開が待っていた。夏のインターハイ5000mで日本人1、2位の報徳学園・前田和摩(3年)、西脇工・長嶋幸宝(3年)のエース対決。長嶋を1秒でも引き離して2区につなぎたい前田が先頭に立ち、入りの1kmを2分39秒で通過。前回も28分59秒を叩き出し、長嶋に14秒先着して区間賞を獲得しているだけに、自信を持っての先導だった。 2人は、その後も快調な足取りで飛ばし3kmを8分13秒、中間点(5㎞)を驚異の13分50秒で通過。さすがの長嶋もスプリットを確認し、「マジか」と驚いたと言うが、必死で食らいつきチャンスを待った。 快調に飛ばすふたりに変化が見え始めたのが6㎞過ぎ。「直後から見ていて前田のフォームが少し上に跳ねるような感じになり、息も乱れてきていたので、こちらもきつかったですが、思い切って前に出ました」と、急な上りとなる6.5㎞手前で長嶋が前田の前へ出て揺さぶると、前田がズルズルと後退。7㎞過ぎの下りで長嶋がさらにペースを上げると、その差はみるみるうちに広がり、勝負が決まった。 長嶋は、その後もペースを緩めることなく走り切り、28分31秒で2年ぶりに区間賞を奪還。2010年に西池和人(須磨学園)がマークした区間記録を21秒更新する快走でチームに流れを呼び込んだ。 前田は何とかタスキをつなぐも長嶋とは1分11秒差の区間2位。29分42秒と決して悪いタイムではなかったが中継後、フェンスに何度も拳を打ち付け悔しさをにじませていた。 中盤以降、層の厚さを見せつけた西脇工が、その後も後続との差を徐々に広げ7区間中6区間で区間賞を獲得するなど圧勝。2区で区間賞を獲得した藤田大智主将は、「長嶋がいい流れを作ってくれ、最後までそれを崩さずタスキを運ぶことができました。勝負の県大会に向け、いい準備ができたことが大きいです。昨年より力があると言われてきましたが、今日の結果でそれを示せました」と笑顔で話す。 ただ、33回目の都大路を見据えると満足していない。「このままでは全国では通用しません。今回足りなかった部分を本番までにさらに鍛え、タイムを削り出せるようチーム一丸で仕上げていきたい」と、目標の全国制覇に向け気を引き締めていた。 2位は2時間6分33秒で須磨学園。4区で熊井渓人(3年)が区間賞の力走で追い上げた。17年ぶりの優勝を目指した報徳学園は2時間8分40秒で3位だった。 女子の西脇工は、序盤から5連覇を狙う須磨学園に先行される展開。2区こそ飯塚菜月(3年)が区間トップだったが、1、3、4区で区間賞を奪われ、アンカーへの中継時は21秒ビハインドだった。だが、フィニッシュ直前で須磨学園が失速。その間に西脇工・藤城さくら(3年)が逆転し、9回目の都大路行きを決めた。 全国大会は12月25日、京都市のたけびしスタジアム京都を発着点に行われる。 文/花木 雫

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

PR

2025.05.01

KIPRUNが環境に優しい新たなシューズを発表 接着剤不使用の「KIPX」はリサイクル可能な次世代アイテム

KIPRUNは4月上旬、フランス・パリで発表会を行い、新たなブランドロゴを発表するとともに、今後日本国内でも発売を予定している新モデルシューズを発表した。 競歩世界チャンピオンも愛用したシューズ 2021年にブランド初の […]

NEWS セイコーGGPトラック種目の海外選手を発表! 100mにパリ五輪4継金メダルブレーク、110mHに同7位ベネットら

2025.05.01

セイコーGGPトラック種目の海外選手を発表! 100mにパリ五輪4継金メダルブレーク、110mHに同7位ベネットら

日本陸連は5月1日、セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場)の出場選手第10弾としてトラック種目の海外選手を発表した。 男子100mには昨年のパリ五輪男子4×100mリレーで金メダルのジェロー […]

NEWS 坂井隆一郎、中島佑気ジョセフ、水久保漱至らがケガのため欠場/セイコーGGP

2025.05.01

坂井隆一郎、中島佑気ジョセフ、水久保漱至らがケガのため欠場/セイコーGGP

5月1日、日本陸連はセイコーゴールデングランプリ(5月18日/東京・国立競技場)の欠場者を発表した。 日本人選手で欠場するのは、男子100mの坂井隆一郎(大阪ガス)、同200mの水久保漱至(宮崎県スポ協)、同400mの中 […]

NEWS アジア選手権男子400m中島佑気ジョセフが故障のため辞退 44秒台の佐藤風雅が代表入り

2025.05.01

アジア選手権男子400m中島佑気ジョセフが故障のため辞退 44秒台の佐藤風雅が代表入り

日本陸連は5月1日、韓国・クミで開催されるアジア選手権の代表選手の入れ替えを発表した。 男子400mで選出されていた中島佑気ジョセフ(富士通)が辞退。右ハムストリングスのケガのためとしている。中島は昨年のパリ五輪代表。4 […]

NEWS 東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

2025.05.01

東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

東京メトロは5月1日、伊東明日香が入部したと発表した。今年3月31日に埼玉医科大グループを退部していた。 伊東は東京・順天高時代から全国高校駅伝に出場。東洋大進学後は全日本女子大学駅伝や富士山女子駅伝など全国大会に出走し […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top