◇日本インカレ(9月17~19日/埼玉・熊谷スポーツ公園)2日目
第90回日本インカレ2日目。女子短距離は兒玉芽生を擁する福岡大が圧巻のパフォーマンスを繰り広げた。
4×100mリレー決勝。日体大が2018年の日本インカレでマークした44秒59の日本学生記録更新を狙った福岡大は、1走を予選の加藤汐織から1年生の伊藤彩香に変更し、兒玉、渡邊輝、城戸優来で臨んだ。オーダーの変更は「調子が良いほうを」(渡邊)と決まっており、「直前まで話し合いました」(兒玉)と、ギリギリで決まったという。
心配された天候だったが、ほとんど雨も降らず、風は穏やか。100mハードルが専門の伊藤が堂々とスタートを切ると、兒玉が圧巻の走りで一気に他校に差をつける。兒玉・渡邊の同級生コンビで「最後」のバトンをつなぐと、ムードメーカーの城戸がフィニッシュまで大切に運んだ。
44秒51――。目標だった学生記録の更新に、メンバーたちは号泣。「これまでの中で比べられないほどうれしかった」と兒玉は珍しく感情を爆発させた。「2年間、ずっと学生記録を狙っていました」。ここまで、「チームメイトや信岡(沙希重)先生と、時には意見をぶつけ合いながらやってきました。4人、補欠、先生とやってきました」と兒玉は、ここまでの道のりに目頭を熱くした。
その勢いのままに臨んだ100m決勝。前回女王、そして日本選手権チャンピオンとして、「追われる立場で苦しさもありました」。決して兒玉らしい走りではない。それでも、東京五輪4×100mリレーとしてともに戦った面々を力でねじ伏せ、11秒51(+0.5)で2連覇を達成した。「タイムも走りも良くなくて、勝ちを意識して硬くなってしまいました。60点くらいですが、恩返しとして優勝できてよかったです」と、ホッと胸をなで下ろす。
これで昨年に続く100m、200m、4×100mリレーの3冠に王手をかけた兒玉。だが、連覇や3冠は「意識せず、優勝を狙って自分のやりたいレースができるようにしたいです」と、目の前の200mのみに集中する構え。これまでこの2年連続3冠を果たした選手は一人もいない。最後のインカレ、最終日。兒玉が歴史を塗り替える。
◇女子100m上位は五輪代表がずらり
兒玉に続き、五輪補欠の壹岐あいこ(立命大)が11秒67で2位。さらに、五輪の4×100mリレーで1走を務めた青山華依(甲南大)が11秒69、同補欠の石川優(青学大/11秒74)、同3走の齋藤愛美(大阪成蹊大/11秒86)と、上位5人に日本代表がずらりと並んだ。オリンピックイヤーの日本インカレで強さを見せたメンバーたち。4×100mリレーで来年のユージン世界選手権の参加標準記録を得ている日本代表入りへ、まだまだ切磋琢磨は続きそうだ。

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.16
男子ハーフマラソンでキプリモが56分42秒!! 異次元のスピードで驚愕世界新!
2025.02.16
最後の箱根路/地道な努力でつかんだ青学大・白石光星 感謝のラストラン「走れて光栄でした」
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.16
-
2025.02.16
2025.02.14
競歩・池田向希「納得がいきません」潔白を主張 AIUのドーピング違反裁定に対応協議の姿勢
-
2025.02.14
-
2025.02.10
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.19
-
2025.01.26
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.16
男子ハーフマラソンでキプリモが56分42秒!! 異次元のスピードで驚愕世界新!
2月16日、スペイン・バルセロナでバルセロナ・ハーフマラソンが行われ、男子でJ.キプリモ(ウガンダ)が56分42秒(速報値)の世界新記録を樹立した。これまでの世界記録は昨年10月のバレンシアでY.ケジェルチャ(エチオピア […]
2025.02.16
最後の箱根路/地道な努力でつかんだ青学大・白石光星 感謝のラストラン「走れて光栄でした」
第101回箱根駅伝で力走した選手たちがいる。勝利の栄光で日の目を見た選手以外にもそれぞれの思いを胸に秘め、必死でタスキをつないだ。毎年行われる箱根路でも「第101回」は一度のみ。そんな“最後”の舞台を駆け抜けた選手たちの […]
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
第17回西脇多可新人高校駅伝は2月16日、兵庫県西脇市と多可町を通る北はりま田園ハーフマラソンコースで行われ、男子(7区間42.195km)は須磨学園A(兵庫)が2時間5分28秒で、女子(5区間21.0975km)は長野 […]
2025.02.16
女子3位に食い込んだ梅野倖子「最低限の目標クリア」35kmでの代表入り狙う/日本選手権20km競歩
◇第108回日本選手権20km競歩(2月16日/兵庫県神戸市・六甲アイランド付設コース) 東京世界選手権代表選考会を兼ねた第108回日本選手権20km競歩が2月16日行われ、女子は藤井菜々子(エディオン)が1時間26分3 […]
2025.02.16
10km男子は玉春汰造がVでインターハイの雪辱!女子は奥野紗が全国2冠/U20選抜競歩
◇第36回U20選抜競歩大会(2月16日/兵庫県神戸市・六甲アイランド付設コース) 10kmで争われたU20の男子は玉春汰造(西脇工高3兵庫)が41分04秒で優勝。2位に35秒差をつける完勝だった。「最初から最後まで周囲 […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝