2019.01.14
「逆襲」のプロ・スプリンター ケンブリッジ飛鳥
〝モヤモヤ〟続いたリオ後の2年「来季こそ爆発したい」
日大を卒業して社会人1年目のシーズン(2016年)に大ブレイクした、男子短距離のケンブリッジ飛鳥(Nike/当時・ドーム)。日本選手権の100mで山縣亮太(セイコー)と桐生祥秀(日本生命/当時・東洋大)を終盤の爆発力で蹴散らし、初優勝。その年のリオ五輪では100mで準決勝まで進出すると、銀メダルに輝いた4×100mリレーではアンカーを務め、ジャマイカのウサイン・ボルトに次いでフィニッシュした。翌年からプロに転向したケンブリッジはロンドン世界選手権、ジャカルタ・アジア大会と2017年、18年の主要大会代表になっているものの、彼本来の走りが影を潜めている。17年に10秒08(-0.9)まで自己記録を縮めたが、18年のシーズンベストは10秒12(+0.9)にとどまり、「ここ2年間はずっとモヤモヤが続いている」状態。そこからの脱却を図って再び上昇軌道に戻すため、ケンブリッジはこの冬、海外に行かず母校の日大グラウンドで走り込んでいた。
10月半ばから冬季トレーニング
東京・世田谷にある日大グラウンドは、冬休みに入った附属の高校生も練習にやってきて賑わっていた。師走も押し詰まった12月25日。天気予報では「クリスマス寒波」の到来が言われていたが、風さえなければ日差しが暖かい。
午前9時半から小一時間、ダイナマックス・メディシンボールなどを使ったフィジカル・トレーニングでウォーミングアップを済ませたケンブリッジは、額にうっすら汗を浮かべていた。
8月末のジャカルタ・アジア大会で2018年シーズンを終え、10月半ばには冬季トレーニングに入った。「シーズン中の感覚が良くなかったので、秋のレースは見送って、ちょっとゆっくりしてから、普段より早めに来季に向けたトレーニングに入りました」とケンブリッジ。「最初の2週間は完全オフにしたんですけど、その後は動いてないのが気持ち悪くて、週に1~2回グラウンドに来て、300m1本走ったりして帰るとかしてました」と言って笑う。それも含めて1ヵ月半の休養期間は「一番長いオフかもしれません」。
冬季トレーニングの火曜日と土曜日は走ることがメインで、特に火曜日はスピード系のメニューが中心。この日の本練習は300m+200m+100m+200mで、つなぎはウォーク。サングラスに白の長袖シャツ、黒のアンダータイツ姿のケンブリッジは後輩の学生4人を従え、最初の300mを36秒台で走ったが、だんだんと疲労が溜まり、最後の200mは1人で遅れてやることに。ストップウォッチを持つ渕野辰雄コーチ(日大短距離コーチ)が「もがくなよ」と叫ぶ中、何とか走り終えたケンブリッジは、しばらく横になって回復を待った。
「2セットじゃなくて良かったな」と苦笑いしながら、選手たちに声をかける渕野コーチ。ケンブリッジは「火曜と土曜はいつもヘロヘロで、ぶっ倒れてます」と打ち明けるが、充実した練習が継続できている様子で、表情はシーズン中より明るかった。
1年前の米国長期合宿は「行って良かった」
1年前の冬は米国アリゾナ州のクラブチーム「Altis」に単身で行き、年末年始の一時帰国を挟んで11月から年明け4月まで4ヵ月半、長期滞在してトレーニングを積んだ。決してアジア大会をないがしろにしたわけではないが、2018年は世界選手権もオリンピックもない年。2020年の東京五輪を考えると、「普段と違ったことに挑戦するのはこの時期かな」と決断した。
※この続きは2019年1月12日発売の『月刊陸上競技』2月号をご覧ください

「逆襲」のプロ・スプリンター ケンブリッジ飛鳥
〝モヤモヤ〟続いたリオ後の2年「来季こそ爆発したい」
日大を卒業して社会人1年目のシーズン(2016年)に大ブレイクした、男子短距離のケンブリッジ飛鳥(Nike/当時・ドーム)。日本選手権の100mで山縣亮太(セイコー)と桐生祥秀(日本生命/当時・東洋大)を終盤の爆発力で蹴散らし、初優勝。その年のリオ五輪では100mで準決勝まで進出すると、銀メダルに輝いた4×100mリレーではアンカーを務め、ジャマイカのウサイン・ボルトに次いでフィニッシュした。翌年からプロに転向したケンブリッジはロンドン世界選手権、ジャカルタ・アジア大会と2017年、18年の主要大会代表になっているものの、彼本来の走りが影を潜めている。17年に10秒08(-0.9)まで自己記録を縮めたが、18年のシーズンベストは10秒12(+0.9)にとどまり、「ここ2年間はずっとモヤモヤが続いている」状態。そこからの脱却を図って再び上昇軌道に戻すため、ケンブリッジはこの冬、海外に行かず母校の日大グラウンドで走り込んでいた。10月半ばから冬季トレーニング
東京・世田谷にある日大グラウンドは、冬休みに入った附属の高校生も練習にやってきて賑わっていた。師走も押し詰まった12月25日。天気予報では「クリスマス寒波」の到来が言われていたが、風さえなければ日差しが暖かい。 午前9時半から小一時間、ダイナマックス・メディシンボールなどを使ったフィジカル・トレーニングでウォーミングアップを済ませたケンブリッジは、額にうっすら汗を浮かべていた。 8月末のジャカルタ・アジア大会で2018年シーズンを終え、10月半ばには冬季トレーニングに入った。「シーズン中の感覚が良くなかったので、秋のレースは見送って、ちょっとゆっくりしてから、普段より早めに来季に向けたトレーニングに入りました」とケンブリッジ。「最初の2週間は完全オフにしたんですけど、その後は動いてないのが気持ち悪くて、週に1~2回グラウンドに来て、300m1本走ったりして帰るとかしてました」と言って笑う。それも含めて1ヵ月半の休養期間は「一番長いオフかもしれません」。 冬季トレーニングの火曜日と土曜日は走ることがメインで、特に火曜日はスピード系のメニューが中心。この日の本練習は300m+200m+100m+200mで、つなぎはウォーク。サングラスに白の長袖シャツ、黒のアンダータイツ姿のケンブリッジは後輩の学生4人を従え、最初の300mを36秒台で走ったが、だんだんと疲労が溜まり、最後の200mは1人で遅れてやることに。ストップウォッチを持つ渕野辰雄コーチ(日大短距離コーチ)が「もがくなよ」と叫ぶ中、何とか走り終えたケンブリッジは、しばらく横になって回復を待った。 「2セットじゃなくて良かったな」と苦笑いしながら、選手たちに声をかける渕野コーチ。ケンブリッジは「火曜と土曜はいつもヘロヘロで、ぶっ倒れてます」と打ち明けるが、充実した練習が継続できている様子で、表情はシーズン中より明るかった。1年前の米国長期合宿は「行って良かった」
1年前の冬は米国アリゾナ州のクラブチーム「Altis」に単身で行き、年末年始の一時帰国を挟んで11月から年明け4月まで4ヵ月半、長期滞在してトレーニングを積んだ。決してアジア大会をないがしろにしたわけではないが、2018年は世界選手権もオリンピックもない年。2020年の東京五輪を考えると、「普段と違ったことに挑戦するのはこの時期かな」と決断した。 ※この続きは2019年1月12日発売の『月刊陸上競技』2月号をご覧ください
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.16
男子ハーフマラソンでキプリモが56分42秒!! 異次元のスピードで驚愕世界新!
2025.02.16
最後の箱根路/地道な努力でつかんだ青学大・白石光星 感謝のラストラン「走れて光栄でした」
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.16
-
2025.02.16
2025.02.14
競歩・池田向希「納得がいきません」潔白を主張 AIUのドーピング違反裁定に対応協議の姿勢
-
2025.02.14
-
2025.02.10
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.19
-
2025.01.26
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.16
男子ハーフマラソンでキプリモが56分42秒!! 異次元のスピードで驚愕世界新!
2月16日、スペイン・バルセロナでバルセロナ・ハーフマラソンが行われ、男子でJ.キプリモ(ウガンダ)が56分42秒(速報値)の世界新記録を樹立した。これまでの世界記録は昨年10月のバレンシアでY.ケジェルチャ(エチオピア […]
2025.02.16
最後の箱根路/地道な努力でつかんだ青学大・白石光星 感謝のラストラン「走れて光栄でした」
第101回箱根駅伝で力走した選手たちがいる。勝利の栄光で日の目を見た選手以外にもそれぞれの思いを胸に秘め、必死でタスキをつないだ。毎年行われる箱根路でも「第101回」は一度のみ。そんな“最後”の舞台を駆け抜けた選手たちの […]
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
第17回西脇多可新人高校駅伝は2月16日、兵庫県西脇市と多可町を通る北はりま田園ハーフマラソンコースで行われ、男子(7区間42.195km)は須磨学園A(兵庫)が2時間5分28秒で、女子(5区間21.0975km)は長野 […]
2025.02.16
女子3位に食い込んだ梅野倖子「最低限の目標クリア」35kmでの代表入り狙う/日本選手権20km競歩
◇第108回日本選手権20km競歩(2月16日/兵庫県神戸市・六甲アイランド付設コース) 東京世界選手権代表選考会を兼ねた第108回日本選手権20km競歩が2月16日行われ、女子は藤井菜々子(エディオン)が1時間26分3 […]
2025.02.16
10km男子は玉春汰造がVでインターハイの雪辱!女子は奥野紗が全国2冠/U20選抜競歩
◇第36回U20選抜競歩大会(2月16日/兵庫県神戸市・六甲アイランド付設コース) 10kmで争われたU20の男子は玉春汰造(西脇工高3兵庫)が41分04秒で優勝。2位に35秒差をつける完勝だった。「最初から最後まで周囲 […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝