第40回大阪国際女子マラソンを2日後に控え、前田穂南(天満屋)、一山麻緒(ワコール)ら有力選手たちが会見に臨み、意気込みを語った。
これまでになかった試みに、その注目度は一気に大きくなっている。第40回目を迎える大阪国際女子マラソンには、東京五輪マラソン代表に内定している前田と一山が招待選手として出場。それだけでも「注目の一戦」だが、それに加えて五輪でのメダル争いを見据えて「2005年に野口みずきがマークした日本記録2時間19分12秒を打ち破る高速レースを目指す」目的で、男子のペースメーカーを起用することが決まった。しかも、川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)、松村康平(三菱重工)、田中飛鳥(ひらまつ病院)というトップランナー3名が務めるため、否が応でも日本記録更新への期待が膨む。
今回、さらに異例となるのがそのコースだ。新型コロナウイルスの感染拡大により、大阪府でも緊急事態宣言が発出。公道を使用するコースは難しいとの判断で、長居公園内での開催を決定した。1周2.8kmのコース上からスタートし、約15周してヤンマースタジアム長居がフィニッシュ。すでに世界陸連(WA)の公認も済んでおり「日本記録」として認定される。
何と言っても注目は前田と一山の激突。マラソンでの対決は2019年東京、同年マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)に続いて3回目となる。東京では一山が7位、前田が12位。東京五輪代表選考会のMGCは前田が優勝して五輪代表を決め、一山は6位だった。一山は昨年の名古屋ウィメンズを2時間20分29秒で制して最後の五輪代表をつかみ取っている。
2人は昨年も好調を維持。前田は昨年2月の青梅マラソン(30km)で1時間38分35秒の日本新記録を樹立している。従来の記録はマラソン日本記録保持者の野口が持つ1時間38分49秒だった。「スピードに自信がついた」(前田)というように、7月には10000mで31分34秒94の好記録をマーク。一方の一山も「マラソンに向けてスピード強化をしてきた」と言い、7月に10000mで31分23秒30の自己新、さらに12月の日本選手権で日本歴代6位となる31分11秒56(2位)だった。その後、12月20日の山陽女子ロードのハーフマラソンでも直接対決があり、一山が1時間10分17秒で日本人トップの3位、前田は1時間10分39秒で9位。それぞれの自己記録の比較は以下の通り。
自己記録比較
前田/一山
5000m15.31.51/15.06.66
10000m31.34.94/31.11.56
マラソン2.23.48/2.20.29
スピードでは一山に軍配が上がるが、勝負強さは前田のほうが上か。直近に調子や練習について会見ではこう話した。
「年末年始に思うように走れなかったが、今は脚の痛みはなく普通に走れています。ポイント練習の日に風が強くてスピードが上げきれなかった。当日走ってみないとわかりません」(前田)
「しっかり練習は積んできているが、質という面では自分としては今ひとつの練習がちらほらあった。20kmを走った時に、自信がない中のわりには走れたと思う」(一山)
いずれも夏の本番に向けて調整をしている中でのレース。昨年のトラックの疲労もあり、万全とはいかないようだが、「久しぶりのマラソンで楽しみ」と前田が言うように、周回コースとは言え、各ランナーは開催されるかどうかの状況の中で走れることにワクワクしているようだ。
周回コースについて、一山は「昨日、散歩で1周歩きました。アップダウンもなくて走りやすそう」と分析。「11、12周目くらいがポイントになりそうなので、そこまで心にゆとりを持って走りたい」と話す。前田は試走もしておらず「周回になっても気にしていません」と、マイペースで臨む構えだ。
「2時間20分切りを目指していきたい」と前田が言えば、一山は「日本記録、それだけを思ってやってきています。明後日のレースで2時間19分12秒を切れればいいな」と、いずれも設定通り、日本記録前後の記録を目指していく。
当日はスタジアム内および公園での観戦はできない。声援がない周回コース、外国人招待選手なし、日本記録を目指しての男子ペースメーカー……。これまでにないかたちでの開催となる大阪国際女子マラソンは、1月31日、12時10分にスタートする。
■大阪国際女子マラソン招待選手
一山 麻緒(ワコール)
前田 穂南(天満屋)
岩出 玲亜(千葉陸協)
谷本 観月(天満屋)
池満 綾乃(鹿児島銀行)
山口 遥(AC・KITA)
中野 円花(岩谷産業)
萩原 歩美(豊田自動織機)

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.07.03
男子円盤投世界記録保持者・アレクナ 来季からオレゴン大に編入
2025.07.02
日本選手権初日のスタートリスト発表!100m予選でサニブラウンと桐生祥秀が同組
-
2025.07.02
-
2025.07.02
-
2025.07.02
-
2025.07.02
2025.07.02
HOKAの新作レーシングシューズ「ROCKET X 3」が7月2日に新登場!
-
2025.07.01
-
2025.06.17
-
2025.06.04
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.07.03
男子円盤投世界記録保持者・アレクナ 来季からオレゴン大に編入
7月2日、米国のオレゴン大は男子円盤投の世界記録保持者であるマイコラス・アレクナ(リトアニア)が、来季からチームに加入することを発表した。 アレクナは2002年生まれの22歳。シドニー、アテネ五輪で2度金メダルを獲得して […]
2025.07.02
青学大・小河原陽琉が5000m13分56秒66で全体トップ 3000mは鳥井健太が8分12秒74/絆記録会
第15回絆記録挑戦会が7月2日、東京・町田GIONスタジアムで行われ、青学大勢が多数出場した。 男子5000mは1月の箱根駅伝10区区間賞で、5月の関東インカレ(2部)1500mで2位に入っていた小河原陽琉(2年)が13 […]
2025.07.02
日本選手権初日のスタートリスト発表!100m予選でサニブラウンと桐生祥秀が同組
東京世界選手権の代表選考会を兼ねた第109回日本選手権の1日目のスタートリストが発表された。 男子100m予選は全7組。9秒96で東京世界選手権の参加標準記録(10秒00)をただ1人突破しているサニブラウン・アブデル・ハ […]
2025.07.02
駒大・佐藤圭汰が日本選手権5000mスタートリストから外れる 東京世界陸上出場厳しく
日本陸連は7月2日、今年9月の東京世界選手権代表選考を兼ねた日本選手権(東京・国立競技場)第1日(7月4日)のスタートリストを発表し、男子5000mにエントリーしていた佐藤圭汰(駒大)が外れた。佐藤は出場資格獲得条件の一 […]
2025.07.02
「TOKYO ナイトリレーフェス in 国立競技場」が10月17日開催!東京レガシーハーフマラソンの前々日イベント 7 月2日から参加者募集
一般財団法人東京マラソン財団は7月2日、東京レガシーハーフマラソン2025(10月19日)の前々日イベントとして、10月17日に「TOKYO ナイトリレーフェス in 国立競技場」を開催することを発表した。 国立競技場内 […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会