2026.07.27
小学時代には水球に熱中
高知県高知市出身で、幼少期は「身体が弱かったです」。親が競泳か水球かを悩んだ末に、小学校高学年から地元のクラブで水球を始めた。塾との両立もあり、練習に通う頻度はチームメイトよりも少なかったが、「そこから病気にかからなくなったり、良くなっていきました」と振り返る。
中学ではバスケットボールに取り組もうと考えていたが、新型コロナ禍の影響などもあって「運動部に入っているような感じで帰宅部というか、家に直帰していました」と話す。
しかし、高校卒業後の就職を見据えて進学した高知工高で人生が大きく動き始める。担任の先生の「工業高校に入ったからには、部活をやりなさい」という言葉を受け、迷った末に母親や担任の勧めから陸上部を選択した。
「高知工業は強い高校で自分は初心者だったので、まずは競歩から始めました」。しかし、夏頃に長距離へと移行すると、7月の記録会で3000m8分59秒51をマークする。「その辺りから順調にタイムがついてくるようになりました」と隠れていた才能が開花していく。
1年の県高校駅伝で1区を任されると、2年時は現地で病気にかかって棄権となったが、インターハイにも駒を進める。3年時にはインターハイの5000mで12位、佐賀国民スポーツ大会の少年男子A5000mで8位。11月に13分58秒23までタイムを伸ばし、念願の都大路では1区3位のインパクトを残した。
高校3年間の成長の根本にあるのは、「陸上を嫌にならずに楽しく取り組めていた」こと。監督やコーチとの距離が近く、「みんなと一緒に練習するのが楽しい環境だったのが良かったです」と笑顔で振り返る。
そして、苦しい時も声をかけ続けてくれていた前田監督の存在と、雰囲気の良さに惹かれて國學院大へ。昨年は環境の変化などもあって、レースへの出場は限られたが、存分に力をアピールした。
迎える2度目の夏合宿では、「とにかく距離を踏もうと思っています。去年も8月の月間走行距離は1000kmを超えたので、さらに増やしていきたいです」。駅伝シーズンに向けて土台作りを進めていく。
「野中さん一人のチームにしないためにも、自分がその後を追う1番手になりたいと思っています」。大黒柱の背中を追いかけつつ、まずは「三大駅伝を全部走って、しっかり結果を残す走りをしていきたいです」と力強い。
将来的にはマラソンで日の丸を背負うことが目標だ。「実業団でさらに伸びていくための大学生活にしていきたいです。マラソンをやっていきたいですし、その中でも大迫傑選手のような突き抜けた選手になりたいです」。そんな原石がますます輝きを増していきそうだ。

今年1月の箱根駅伝5区で区間4位と快走した髙石
◎たかいし・いつき/2006年5月23日生まれ、高知県出身。朝倉中→高知工高→國學院大。自己記録5000m13分58秒23、10000m27分57秒71、ハーフマラソン1時間0分53秒。
文/片井雅也
國學院大の髙石樹[/caption]
学生長距離Close-upインタビュー
髙石 樹 Takaishi Itsuki 國學院大2年
「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。60回目は、國學院大の髙石樹(2年)をピックアップする。
5月の関東インカレ(2部)10000mでは8位入賞を果たすと、7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ第2戦の網走大会では10000mで27分57秒71をマークするなど好調を維持する。
今年1月の箱根駅伝ではルーキーながら山上りの5区で区間4位と好走。その名を一気にとどろかせた。國學院大への主力へと成長している髙石に、これまでの道のりや今後の目標について聞いた。
ホクレンDCで1万m27分台に突入
日に日にその注目度が高まりを増していく。國學院大の髙石樹(2年)が7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ第2戦の網走大会10000mで27分台に突入した。 リチャード・エティーリ(東京国際大)がペースメーカーを務め、1000mを2分47秒、5000mを13分53秒と快調なペースで進み、髙石は先輩の野中恒亨(4年)らとともに先頭集団でレースを進める。 直前の練習内容から「27分40秒台」を狙っていたが、スタート時間の19時30分に湿度90%で風も強いコンディションもあって6000m過ぎで集団からは脱落。そこからも持ち味の粘りを見せ、27分57秒71でフィニッシュした。 野中が27分41秒33で日本人トップの2位を占め、「野中さんの力を分からされました」。練習ではその背中が近づき「もしかしたら行けるかもしれないと思える感じ」だっただけに、「調整もうまいと思いました」とチームの主将との差を痛感する。 さらに、同学年の中大・三宅悠斗が終盤まで野中に食い下がって、27分44秒45で3着に。「(三宅は)僕が苦しいところで観客に向かって手を挙げたりしていました。負けてしまったのでこの夏、しっかり地力をつけないといけないと思いました」と受け止めた。 一方で、高校時代からあこがれてきたランナーを間近で見る機会にもなった。マラソン日本記録保持者・大迫傑(LI-NING)が同じレースに出場。当時から動画などで活躍を目にしてきた第一人者に「練習での出場だと思いますが、レース終わった後にもポイント練習をしていて違うなと思いました」。挨拶程度しか交流はできなかったが、「それでもうれしかったですね」と笑顔をのぞかせる。 5月の関東インカレ(2部)でも10000mでも8位に入るなど存在感を高めていたが、最も注目度が高まったのが今年1月の箱根駅伝だ。それまでほとんど試合への出場はなかったものの、1年生最高の1時間10分05秒で区間4位の力走。國學院大が苦手としていた山上りに光が差した瞬間だった。 「上りはやっぱりきついですし、別に得意だとは思っていません。自分は本番で動くタイプ。練習以上に動いて、想像つかないようなタイムで走り切れました」 前を行く中大の選手が急に視界から消え、「離されたと思って、急いで詰めないといけないと思いました」と往路フィニッシュへの最後のカーブを曲がらなかったロスはあった。それでも芦ノ湖では、前田康弘監督や先輩たちからは褒められ、照れくさそうな笑顔を浮かべる髙石の姿が印象的だった。 そんな“覚醒”とも言える快走を見せたが、意外にその競技歴はまだ短い。小学時代には水球に熱中
高知県高知市出身で、幼少期は「身体が弱かったです」。親が競泳か水球かを悩んだ末に、小学校高学年から地元のクラブで水球を始めた。塾との両立もあり、練習に通う頻度はチームメイトよりも少なかったが、「そこから病気にかからなくなったり、良くなっていきました」と振り返る。 中学ではバスケットボールに取り組もうと考えていたが、新型コロナ禍の影響などもあって「運動部に入っているような感じで帰宅部というか、家に直帰していました」と話す。 しかし、高校卒業後の就職を見据えて進学した高知工高で人生が大きく動き始める。担任の先生の「工業高校に入ったからには、部活をやりなさい」という言葉を受け、迷った末に母親や担任の勧めから陸上部を選択した。 「高知工業は強い高校で自分は初心者だったので、まずは競歩から始めました」。しかし、夏頃に長距離へと移行すると、7月の記録会で3000m8分59秒51をマークする。「その辺りから順調にタイムがついてくるようになりました」と隠れていた才能が開花していく。 1年の県高校駅伝で1区を任されると、2年時は現地で病気にかかって棄権となったが、インターハイにも駒を進める。3年時にはインターハイの5000mで12位、佐賀国民スポーツ大会の少年男子A5000mで8位。11月に13分58秒23までタイムを伸ばし、念願の都大路では1区3位のインパクトを残した。 高校3年間の成長の根本にあるのは、「陸上を嫌にならずに楽しく取り組めていた」こと。監督やコーチとの距離が近く、「みんなと一緒に練習するのが楽しい環境だったのが良かったです」と笑顔で振り返る。 そして、苦しい時も声をかけ続けてくれていた前田監督の存在と、雰囲気の良さに惹かれて國學院大へ。昨年は環境の変化などもあって、レースへの出場は限られたが、存分に力をアピールした。 迎える2度目の夏合宿では、「とにかく距離を踏もうと思っています。去年も8月の月間走行距離は1000kmを超えたので、さらに増やしていきたいです」。駅伝シーズンに向けて土台作りを進めていく。 「野中さん一人のチームにしないためにも、自分がその後を追う1番手になりたいと思っています」。大黒柱の背中を追いかけつつ、まずは「三大駅伝を全部走って、しっかり結果を残す走りをしていきたいです」と力強い。 将来的にはマラソンで日の丸を背負うことが目標だ。「実業団でさらに伸びていくための大学生活にしていきたいです。マラソンをやっていきたいですし、その中でも大迫傑選手のような突き抜けた選手になりたいです」。そんな原石がますます輝きを増していきそうだ。 [caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"]
今年1月の箱根駅伝5区で区間4位と快走した髙石[/caption]
◎たかいし・いつき/2006年5月23日生まれ、高知県出身。朝倉中→高知工高→國學院大。自己記録5000m13分58秒23、10000m27分57秒71、ハーフマラソン1時間0分53秒。
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