2020.12.18
高校生たちが熱きタスキリレーを繰り広げる全国高校駅伝が12月20日(日)、京都で開催される。たけびしスタジアム京都(西京極)をスタート・フィニッシュ地点に、女子5区間、男子7区間、高校生ランナーが京都市内を疾走。空前絶後の高速駅伝が展開されそうだ。
連覇狙う仙台育英
世羅、佐久長聖に注目
高校生にも高速化の波が止まらない。今年は5000m13分台が22人(留学生除く、都大路不出場含む)と史上最多となっている。
優勝候補は前回覇者の仙台育英(宮城)に、優勝9度を誇る世羅(広島)、そして佐久長聖(長野)を加えた三つ巴の様相を呈している。
仙台育英は前回大会で男女優勝を果たした。そのメンバーから、白井勇佑(3年/前回2区区間賞)、山平怜生(3年/同5区4位)、M.ディラング(3年/同6区区間賞)、吉居駿恭(2年/同7区9位)の4人が残るのが強み。宮城県大会は吉居が1区を務め、山平が4区、白井が7区に入り、その他は新戦力を使いながら2時間4分53秒と、厚い選手層を見せつけた。「4区でトップ」が理想の展開だと真名子圭監督はもくろんでいる。
全国優勝9度を誇る名門・世羅は、なんと新谷紘ノ介(3年)、森下翔太(2年)、塩出翔太(同)の3人が13分台を持ち、留学生のコスマス・ムワンギ(2年)を加えれば7区中4人が整う。
一方、佐久長聖も強力で、伊藤大志(3年)が高校歴代2位となる13分36秒57をマーク。越陽汰(3年)、吉岡大翔(1年)と、こちらも3人が13分台だ。さらに14分10を切る選手が2人と、驚異的な走力を備えている。
両校の5000mの上位7人平均タイムが世羅14分01秒、佐久長聖14分00秒と、仙台育英の14分07秒を上回る。高校国内国際最高(※留学生を入れた最高記録)が2015年の世羅がマークした2時間1分18秒、高校最高記録が2008年に大迫傑(現・Nike)らを擁した佐久長聖が樹立した2時間2分18秒で、コンディション次第ではいずれのチームもその記録を更新してくるだろう。つまり、優勝争いのラインが2時間1分台ということになりそうだ。
この3チームを追いかけるのが前回2位の倉敷(岡山)。2年ぶり王座を狙う倉敷は、南坂柚汰、イマヌエル・キプチルチルという1年生2人が力をつけている。3区までに独走態勢を築きたいところ。
入賞ラインも過去最高か
花の1区も高速化必至
メダルを狙う上位校も見どころ満載。3年属入賞を狙う学法石川(福島)と九州学院(熊本)は今年も健在だ。学法石川は2年生・山口智規を中心に、5000m平均が14分09秒と今年もスピード豊か。一方、九州学院もエース・鶴川正也(3年)を筆頭に総合力が高い。
このほか、地元を駆け抜ける洛南は、前回2時間3分25秒をマークしながら11位。今季は若林宏樹(3年)、佐藤圭汰(2年)が13分台に突入とパワーアップ。4年ぶり入賞なるか。大エース・石田洸介(3年)を擁する東農大二(群馬)も、入賞にあと3秒届かなかった前回のリベンジを誓う。
5000mで高校記録を持つ東農大二の石田
前回大会では、これまで入賞できるラインだった2時間5分04秒の鎌倉学園(神奈川)が21位。2~8位までの順位別の最高記録を塗り替え、8位は2時間2分57秒だった。さらに、1区(10km)で28分台が7人誕生し、日本人区間上位10傑には8人がランクイン(別表)。
初出場校は相洋(神奈川)、平田(島根)、高知中央(高知)の3チーム。短距離の名門として知られる相洋の戦いぶりにも注目だ。
今年の高校長距離もその高速化の波は止まりそうにない。コロナ禍によりインターハイ中止、練習の中断など、数多くの試練を乗り越えてつかんだ都大路。12月20日、トップで西京極にタスキを持ち帰るのは果たして。
■男子1区日本人選手トップ10(2019年大会まで)
28.48 佐藤 一世(八千代松陰3千葉) 19年(1)
28.50 松山 和希(学法石川3福島) 19年(2)
28.52 鶴川 正也(九州学院2熊本) 19年(3)
28.54 上野裕一郎(佐久長聖3長野) 03年(5)
28.55 小野隆一朗(北海道栄3北海道) 19年(4)
28.56 石原翔太郎(倉敷3岡山) 19年(5)
28.58 喜早 駿介(仙台育英3宮城) 19年(6)
28.59 鈴木 芽吹(佐久長聖3長野) 19年(7)
29.06 大迫 傑(佐久長聖3長野) 09年(1)
29.06 石田 洸介(東農大二2群馬) 19年(8)
※カッコは区間順位
※日本人最高を上回る留学生
27.48 J.ギタヒ(仙台育英2宮城) 95年(1)
27.58 J.カリウキ(滋賀学園3滋賀) 04年(1)
28.04 S.ワンジル(仙台育英2宮城) 03年(1)
28.08 J.カリウキ(滋賀学園2滋賀) 03年(2)
28.16 M.J.モグス(山梨学大附3山梨) 04年(2)
28.25 J.ギタウ(世羅2広島) 05年(1)
※現在は1区に留学生は起用できない
【展望】連覇狙う仙台育英VS奪還狙う神村学園 高速化&混戦の入賞争い/全国高校駅伝・女子展望
■全国高校駅伝(男子71回、女子32回)
12月20日(日)/京都・たけびしスタジアム京都発着
女子10:20スタート(5区間21.0975km)
男子12:30スタート(7区間42.195km)

連覇狙う仙台育英 世羅、佐久長聖に注目
高校生にも高速化の波が止まらない。今年は5000m13分台が22人(留学生除く、都大路不出場含む)と史上最多となっている。 優勝候補は前回覇者の仙台育英(宮城)に、優勝9度を誇る世羅(広島)、そして佐久長聖(長野)を加えた三つ巴の様相を呈している。 仙台育英は前回大会で男女優勝を果たした。そのメンバーから、白井勇佑(3年/前回2区区間賞)、山平怜生(3年/同5区4位)、M.ディラング(3年/同6区区間賞)、吉居駿恭(2年/同7区9位)の4人が残るのが強み。宮城県大会は吉居が1区を務め、山平が4区、白井が7区に入り、その他は新戦力を使いながら2時間4分53秒と、厚い選手層を見せつけた。「4区でトップ」が理想の展開だと真名子圭監督はもくろんでいる。 全国優勝9度を誇る名門・世羅は、なんと新谷紘ノ介(3年)、森下翔太(2年)、塩出翔太(同)の3人が13分台を持ち、留学生のコスマス・ムワンギ(2年)を加えれば7区中4人が整う。 一方、佐久長聖も強力で、伊藤大志(3年)が高校歴代2位となる13分36秒57をマーク。越陽汰(3年)、吉岡大翔(1年)と、こちらも3人が13分台だ。さらに14分10を切る選手が2人と、驚異的な走力を備えている。 両校の5000mの上位7人平均タイムが世羅14分01秒、佐久長聖14分00秒と、仙台育英の14分07秒を上回る。高校国内国際最高(※留学生を入れた最高記録)が2015年の世羅がマークした2時間1分18秒、高校最高記録が2008年に大迫傑(現・Nike)らを擁した佐久長聖が樹立した2時間2分18秒で、コンディション次第ではいずれのチームもその記録を更新してくるだろう。つまり、優勝争いのラインが2時間1分台ということになりそうだ。 この3チームを追いかけるのが前回2位の倉敷(岡山)。2年ぶり王座を狙う倉敷は、南坂柚汰、イマヌエル・キプチルチルという1年生2人が力をつけている。3区までに独走態勢を築きたいところ。入賞ラインも過去最高か 花の1区も高速化必至
メダルを狙う上位校も見どころ満載。3年属入賞を狙う学法石川(福島)と九州学院(熊本)は今年も健在だ。学法石川は2年生・山口智規を中心に、5000m平均が14分09秒と今年もスピード豊か。一方、九州学院もエース・鶴川正也(3年)を筆頭に総合力が高い。 このほか、地元を駆け抜ける洛南は、前回2時間3分25秒をマークしながら11位。今季は若林宏樹(3年)、佐藤圭汰(2年)が13分台に突入とパワーアップ。4年ぶり入賞なるか。大エース・石田洸介(3年)を擁する東農大二(群馬)も、入賞にあと3秒届かなかった前回のリベンジを誓う。
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