◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)
9月15日、東京世界陸上2日目の男子10000mで優勝したジミー・グレシエ(フランス)が都内で会見に臨み、「すべての展開が自分に向き、勝利をつかむことができた」と喜びを語った。
レースはスローペースで進み、グレシエは集団の4~5番手で待機。ラスト1周を切っても10人以上が先頭にひしめく大混戦となったが、最後のホームストレートで強烈なスパートを放ち、残り20mでヨミフ・ケジェルチャ(エチオピア)を逆転して金メダルをもぎ取った。
試合後にはサポートメンバーと祝杯を挙げ、明け方に宿舎へ戻ると近くのコンビニで買ったデザートを味わい、勝利の余韻に浸ったという。
この日はレースの疲れも見せずインタビューに応じ、フランス勢として世界陸上初の長距離金メダルに、「歴史に名を残せたことを誇りに思う」と語った。
レース中は周囲を冷静にチェックしながら走り、「ラスト1000mになっても誰も動かなかったので、『これなら行ける』と思った」と語る。「残り100mで自分の目の前の道が開けた」とスペースを見つけ、一気に加速しフィニッシュラインを駆け抜けた。
グレシエは1997年生まれの28歳。17歳から本格的に走り始め、キャリア当初はクロカンで実績を積んだ。21年東京五輪では5000m13位、22年世界選手権では10000m11位とトラックでも活躍するようになり、昨年のパリ五輪では13位と入賞を逃したものの26分58秒67の自己新をマークしていた。
今季は1月末に地元ブランド「KIPRUN(キプラン)」からサポートを受け、快進撃を続ける。ショートトラック5000mで12分54秒92の欧州記録を樹立し、欧州ロード選手権ハーフマラソンでも金メダルを獲得。さらに8月のダイヤモンドリーグ・ファイナルでは3000mで優勝を果たし、「あの結果で自分もヤコブ(・インゲブリグトセン)のようなスターになれたと自信を持てた」と語っていた。
男子10000mで非アフリカ出身者が優勝するのは1983年の第1回大会以来の快挙。グレシエは最終日の5000mにも出場予定で、「ここで満足するつもりはない。ヤコブが100%の状態ではないし、勝てるチャンスはある」と長距離2冠を狙う。
さらに、「28年ロス五輪はどうなるかわからないが、10000mかマラソンのいずれかに挑戦することになるだろう」と、マラソンへも意欲を見せた。
【動画】壮絶なスパート合戦 東京世界陸上男子10000mをチェック
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