HOME 国内

2024.06.30

「自分を信じて最後まで走り切った」 坂井隆一郎が100m連覇! パリ五輪は他国の動向次第/日本選手権
「自分を信じて最後まで走り切った」 坂井隆一郎が100m連覇! パリ五輪は他国の動向次第/日本選手権

優勝を確認した瞬間、喜びを爆発させた坂井隆一郎

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)4日目

第108回日本選手権の4日目が行われ、男子100mで前回の覇者・坂井隆一郎(大阪ガス)が10秒13(-0.2)をマークし、2連覇を果たした。

「タイムは(パリ五輪参加)標準記録を突破できませんでしたが、先輩の江里口匡史さん(2008~11年)以来の連覇になったので本当にうれしです」

広告の下にコンテンツが続きます

前回は涙の初優勝だったが、今回は笑顔がまぶしく輝いた。

持ち味のロケットスタートで序盤から飛び出した。そこから「他を寄せつけないレースプランだった」が、東田旺洋(関彰商事)や栁田大輝(東洋大)の猛追を許す展開に。坂井は「テンションが高かったので、後半は力むようなレースになってしまった。正直、焦りましたが、自分を信じて最後まで走り切りました」と振り返る。

最後は3人がなだれ込むようにほぼ同時にフィニッシュエリアに飛び込んだが、電光掲示板に最初に表示されたのは坂井の名前だった。

「ギリギリで勝った去年の日本選手権と同じ感じで、自分が優勝したかどうかはわかりませんでした。でも、しっかり勝ち切れたのは自分の強さだと思います」

スタート前は「オリンピックが懸かっていたので、いつもにも増して緊張感はあった」と話すが、それ以上に「やってやるぞ」という気持ちの方が強くなっていた。前回優勝者の証でもあるゴールドビブスに重圧を感じながら、同時に「ディフェンディングチャンピオンとして良い走りをしたい」とも思っていたという。そうしたメンタリティが0.01秒差の勝負に競り勝つ力になったのかもしれない。

2年前のオレゴン世界選手権は準決勝進出を果たしたが、昨年のブタペスト世界選手権は予選敗退。「世界大会で思うような結果を残せていない」ことが、坂井の世界にかけるモチベーションになっている。ただ、パリ五輪代表入りに関しては、日本選手権の結果でワールドランキングで出場圏内に浮上しているものの、他国の状況次第ではボーダーが上がり権利を得られない可能性を含む。

「ギリギリだと思うので、どうなるかわかりませんが、代表に決まったらもっと上げないといけない。パリに出場するつもりでまだまだ上げていきたいです」

現時点でできることはすべてやり尽くした。あとは朗報を待つだけだ。

文/小野哲史

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)4日目 第108回日本選手権の4日目が行われ、男子100mで前回の覇者・坂井隆一郎(大阪ガス)が10秒13(-0.2)をマークし、2連覇を果たした。 「タイムは(パリ五輪参加)標準記録を突破できませんでしたが、先輩の江里口匡史さん(2008~11年)以来の連覇になったので本当にうれしです」 前回は涙の初優勝だったが、今回は笑顔がまぶしく輝いた。 持ち味のロケットスタートで序盤から飛び出した。そこから「他を寄せつけないレースプランだった」が、東田旺洋(関彰商事)や栁田大輝(東洋大)の猛追を許す展開に。坂井は「テンションが高かったので、後半は力むようなレースになってしまった。正直、焦りましたが、自分を信じて最後まで走り切りました」と振り返る。 最後は3人がなだれ込むようにほぼ同時にフィニッシュエリアに飛び込んだが、電光掲示板に最初に表示されたのは坂井の名前だった。 「ギリギリで勝った去年の日本選手権と同じ感じで、自分が優勝したかどうかはわかりませんでした。でも、しっかり勝ち切れたのは自分の強さだと思います」 スタート前は「オリンピックが懸かっていたので、いつもにも増して緊張感はあった」と話すが、それ以上に「やってやるぞ」という気持ちの方が強くなっていた。前回優勝者の証でもあるゴールドビブスに重圧を感じながら、同時に「ディフェンディングチャンピオンとして良い走りをしたい」とも思っていたという。そうしたメンタリティが0.01秒差の勝負に競り勝つ力になったのかもしれない。 2年前のオレゴン世界選手権は準決勝進出を果たしたが、昨年のブタペスト世界選手権は予選敗退。「世界大会で思うような結果を残せていない」ことが、坂井の世界にかけるモチベーションになっている。ただ、パリ五輪代表入りに関しては、日本選手権の結果でワールドランキングで出場圏内に浮上しているものの、他国の状況次第ではボーダーが上がり権利を得られない可能性を含む。 「ギリギリだと思うので、どうなるかわかりませんが、代表に決まったらもっと上げないといけない。パリに出場するつもりでまだまだ上げていきたいです」 現時点でできることはすべてやり尽くした。あとは朗報を待つだけだ。 文/小野哲史

【動画】坂井隆一郎がV2!男子100mのレースをチェック!

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.17

日本陸連が育成年代の競技会ガイドラインを策定 来年の滋賀インターハイについて18時開始案など対応継続

日本陸連は12月17日に第106回理事会を開き、「育成年代における競技会ガイドライン」を策定したことを発表した。 このガイドラインは日本陸連がかねてから示している「競技者育成指針」に基づいたもので、「育成年代における競技 […]

NEWS 世界リレー日本代表要項を発表!北京世界選手権のメダル、出場目指して 世界競歩チーム選手権、世界ロードラニング選手権も

2025.12.17

世界リレー日本代表要項を発表!北京世界選手権のメダル、出場目指して 世界競歩チーム選手権、世界ロードラニング選手権も

日本陸連は12月17日、ボツワナ・ハボローネで26年5月2日~3日に開催される世界リレーの日本代表選考要項を発表した。 2027年北京世界選手権の出場権獲得、および世界選手権でのメダル獲得のため、戦略的に選手団をは編成す […]

NEWS U20世界選手権の日本代表選考要項を発表!U20世界8位以内など記録重視の選考に

2025.12.17

U20世界選手権の日本代表選考要項を発表!U20世界8位以内など記録重視の選考に

日本陸連は12月17日、米国・オレゴンで8月5日~9日に開催されるU20世界選手権の日本代表選考要項を発表した。 世界で活躍できるU20カテゴリートップレベルの競技者を派遣し、金メダル獲得を目指す選手団を編成する方針。参 […]

NEWS 26年日本選手権の参加資格発表 参加標準と申込資格記録の2つを採用 アジア大会選考

2025.12.17

26年日本選手権の参加資格発表 参加標準と申込資格記録の2つを採用 アジア大会選考

日本陸連は12月17日、第106回理事会を開き、来年の第110回日本選手権の参加資格について発表した。 今回は「参加標準記録」と「申込資格」の2つの参加資格を設定し、参加標準記録は高く定められている。ターゲットナンバー( […]

NEWS 今年度限りでの「引退」を表明した村澤明伸インタビュー【後編】 〝ぬけぬけ病〟に苦しんだ実業団生活、来年度からはチームのコーチに就任

2025.12.17

今年度限りでの「引退」を表明した村澤明伸インタビュー【後編】 〝ぬけぬけ病〟に苦しんだ実業団生活、来年度からはチームのコーチに就任

全国高校駅伝や箱根駅伝でヒーローになった村澤明伸(SGホールディングス、34歳)が今年度限りでの「引退」を表明した。実業団では故障に苦しみながら、マラソンにも挑戦。北海道マラソンで優勝して、MGCにも出場した。来年度から […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top