HOME 国内、大学

2024.02.05

駒大新主将・篠原倖太朗 日本人トップに「良かった」アクシデント続出も冷静に判断 3月に米国で1万mに挑戦/丸亀ハーフ
駒大新主将・篠原倖太朗 日本人トップに「良かった」アクシデント続出も冷静に判断 3月に米国で1万mに挑戦/丸亀ハーフ

不安を抱えながらも実業団勢を抑え、日本人トップに立った篠原倖太朗

2月4日、第76回香川丸亀国際ハーフマラソンが、香川県立丸亀競技場付属ハーフマラソンコースで行われ、駒大の新主将・篠原倖太朗が日本人トップの8位に入った。

前回大会で1時間0分11秒の日本人学生最高記録をマークした篠原は、今年に入ってから箱根駅伝で1区区間賞、都道府県対抗男子駅伝でも3区4位と好走を続けている。今回は日本記録(1時間0分00秒)をも上回る従来の日本学生記録(59分48秒)をターゲットに掲げてこのレースに備えてきた。

しかし、直前の徳之島合宿で左脚を痛めてしまう。「出るか出ないかはギリギリ(の判断)でした。丸亀に入って、最後の刺激を入れて痛みが出たら止めようと話していたのですが、それほど痛みが出なかったので出場しました」。大八木弘明総監督がこう話すように、決して万全な状態とはいえなかった。

広告の下にコンテンツが続きます

「何本か練習を消化できなかったぶん、不安があった」と、レース後に篠原も心境を明かす。

それでも、スタート直後から先頭を窺える位置でレースを進めた。

5km通過は14分23秒と目標ペースよりも少し遅かったものの、5kmから10kmは14分02秒とペースアップ。途中でアモス・ベット(東京国際大)と接触するアクシデントもあったが、「タイムロスはありましたけど、脚を痛めることもなかった。柔道をやっていたのがよかったかなと思います(笑)。後ろとの差を確認し冷静に対処しました」と、動じることはなかった。

中間点を過ぎて、リチャード・エティーリ(東京国際大)やアレクサンダー・ムティソ(NDソフト)ら外国人勢が形勢する先頭集団には遅れをとってしまう。

「ついていこうと思ったんですけど、少し脚に不安な部分があり、何回か攣りかけたので、大きく崩れてしまう可能性があった。なので、ペースを落とすというか、ついていかないという判断をしました」

ここでも、自身の状態と向き合って冷静な選択を取った。

並走していた田村友佑(黒崎播磨)を振り切ってからは単独走になりペースの維持が難しい状況となりながらも、実業団勢を差し置いて日本人トップの座は守り抜き、1時間1分04秒で8位に入った。

「日本人トップは良かったです。この連戦のなかで、これだけ走れればギリギリ及第点かなと思います」と、篠原は喜びを口にする。ただ、「日本人学生最高ではなくて、学生記録を狙っていたので、少し残念な結果にはなりました。自分の前に3人ぐらい留学生がいましたよね。悔しいです」と、悔しさをあらわにしていた。

大八木総監督も「最低限の走りだったが、後半が伸びなかった。1人になってから上げていけたら本当に強いんだけど。スピードは少しずつついてきたけど、次の課題ですね」と反省点を挙げる。

とはいえ、万全な状態ではなくてもきっちりと強さを示した。今後は2月15日から米国・アルバカーキーで合宿をし、3月16日にロサンゼルスで行われる中長距離の競技会「The TEN」で10000mのレースに臨むという。

駒大は箱根駅伝では優勝を逃しはしたが、丸亀ハーフでは伊藤蒼唯も1時間1分16秒の自己ベストで14位と好走した。

「どんなに小さい勝利でもおろそかにせず、積み上げていった結果として(学生駅伝)3冠を成し遂げられればいいなと思っています」と篠原。

初春の讃岐路は、チームとしても新シーズンに向けて弾みを付けるレースになっただろう。

文/和田悟志

2月4日、第76回香川丸亀国際ハーフマラソンが、香川県立丸亀競技場付属ハーフマラソンコースで行われ、駒大の新主将・篠原倖太朗が日本人トップの8位に入った。 前回大会で1時間0分11秒の日本人学生最高記録をマークした篠原は、今年に入ってから箱根駅伝で1区区間賞、都道府県対抗男子駅伝でも3区4位と好走を続けている。今回は日本記録(1時間0分00秒)をも上回る従来の日本学生記録(59分48秒)をターゲットに掲げてこのレースに備えてきた。 しかし、直前の徳之島合宿で左脚を痛めてしまう。「出るか出ないかはギリギリ(の判断)でした。丸亀に入って、最後の刺激を入れて痛みが出たら止めようと話していたのですが、それほど痛みが出なかったので出場しました」。大八木弘明総監督がこう話すように、決して万全な状態とはいえなかった。 「何本か練習を消化できなかったぶん、不安があった」と、レース後に篠原も心境を明かす。 それでも、スタート直後から先頭を窺える位置でレースを進めた。 5km通過は14分23秒と目標ペースよりも少し遅かったものの、5kmから10kmは14分02秒とペースアップ。途中でアモス・ベット(東京国際大)と接触するアクシデントもあったが、「タイムロスはありましたけど、脚を痛めることもなかった。柔道をやっていたのがよかったかなと思います(笑)。後ろとの差を確認し冷静に対処しました」と、動じることはなかった。 中間点を過ぎて、リチャード・エティーリ(東京国際大)やアレクサンダー・ムティソ(NDソフト)ら外国人勢が形勢する先頭集団には遅れをとってしまう。 「ついていこうと思ったんですけど、少し脚に不安な部分があり、何回か攣りかけたので、大きく崩れてしまう可能性があった。なので、ペースを落とすというか、ついていかないという判断をしました」 ここでも、自身の状態と向き合って冷静な選択を取った。 並走していた田村友佑(黒崎播磨)を振り切ってからは単独走になりペースの維持が難しい状況となりながらも、実業団勢を差し置いて日本人トップの座は守り抜き、1時間1分04秒で8位に入った。 「日本人トップは良かったです。この連戦のなかで、これだけ走れればギリギリ及第点かなと思います」と、篠原は喜びを口にする。ただ、「日本人学生最高ではなくて、学生記録を狙っていたので、少し残念な結果にはなりました。自分の前に3人ぐらい留学生がいましたよね。悔しいです」と、悔しさをあらわにしていた。 大八木総監督も「最低限の走りだったが、後半が伸びなかった。1人になってから上げていけたら本当に強いんだけど。スピードは少しずつついてきたけど、次の課題ですね」と反省点を挙げる。 とはいえ、万全な状態ではなくてもきっちりと強さを示した。今後は2月15日から米国・アルバカーキーで合宿をし、3月16日にロサンゼルスで行われる中長距離の競技会「The TEN」で10000mのレースに臨むという。 駒大は箱根駅伝では優勝を逃しはしたが、丸亀ハーフでは伊藤蒼唯も1時間1分16秒の自己ベストで14位と好走した。 「どんなに小さい勝利でもおろそかにせず、積み上げていった結果として(学生駅伝)3冠を成し遂げられればいいなと思っています」と篠原。 初春の讃岐路は、チームとしても新シーズンに向けて弾みを付けるレースになっただろう。 文/和田悟志

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.13

編集部コラム「あっという間の2025年」

攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]

NEWS 早大のルーキー・鈴木琉胤「少しずつトラックの頃に戻ってきた」 往路希望で「区間賞を狙う走りを」

2025.12.13

早大のルーキー・鈴木琉胤「少しずつトラックの頃に戻ってきた」 往路希望で「区間賞を狙う走りを」

箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を狙う早大が12月13日、埼玉・所沢キャンパスで合同取材会を開いた。 出雲駅伝、全日本大学駅伝で出走したルーキー・鈴木琉胤は「ハーフは走ったことがなくて、箱根でいきなりという不安はあります。 […]

NEWS 箱根駅伝15年ぶりV狙う早大が合同取材会 花田勝彦駅伝監督「状態上がっている」 山口智規「大手町を楽しみにしてほしい」

2025.12.13

箱根駅伝15年ぶりV狙う早大が合同取材会 花田勝彦駅伝監督「状態上がっている」 山口智規「大手町を楽しみにしてほしい」

箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を狙う早大が12月13日、埼玉・所沢キャンパスで合同取材会を開いた。 この日は撮影と共通取材、個別取材を実施。共通取材で花田勝彦駅伝監督は「今年もかなり良いかたちで準備ができたと思っています […]

NEWS 連覇か、V奪回か?「ニューイヤー駅伝2026」に挑む強豪3チームの意気込み/旭化成・トヨタ自動車・富士通
PR

2025.12.13

連覇か、V奪回か?「ニューイヤー駅伝2026」に挑む強豪3チームの意気込み/旭化成・トヨタ自動車・富士通

2026年の幕開けを飾る全日本実業団対抗駅伝(通称・ニューイヤー駅伝)は、第70回の記念大会として1月1日、前橋市にある群馬県庁前をスタートし、上州路をぐるりと回って県庁に戻る7区間・総距離100kmのコースで行われる。 […]

NEWS ロス瑚花アディアが60m7秒48のユタ州立大新記録 東京・城西高出身で今秋から留学中

2025.12.13

ロス瑚花アディアが60m7秒48のユタ州立大新記録 東京・城西高出身で今秋から留学中

12月10日に米国・ユタ州でブリガム・ヤング大で行われた同大学招待競技会室内女子60mで、ロス瑚花アディア(ユタ州立大)が7秒48で4位に入った。従来のユタ州立大記録38年ぶりの更新となる。 ロスは東京・駒沢中から城西高 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top