HOME 駅伝、箱根駅伝

2024.01.04

城西大が大願成就の3位! 山本唯翔が2年連続区間新記録でMVP 斎藤将也も2区の大学記録更新/箱根駅伝
城西大が大願成就の3位! 山本唯翔が2年連続区間新記録でMVP 斎藤将也も2区の大学記録更新/箱根駅伝

箱根駅伝2区を務めた城西大・斎藤将也。1時間7分15秒と村山紘太が15年に出した大学記録(1時間7分43秒)を上回った

◇第100回箱根駅伝(東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km)

第100回大会となる箱根駅伝で、城西大が新たな歴史を彩った。総合10時間52分26秒の3位。タイム、順位ともに大学最高を塗り替えた。また、5区で前回自身の樹立した区間記録を更新した山本唯翔(4年)が大会MVPにあたる金栗四三杯を受賞した。

1区を担当した主将の野村颯斗(4年)が区間3位と好調な滑り出し。すると、2区の斎藤将也(2年)も各校のエースと互角に戦い、区間8位ながら1時間7分15秒と15年に村山紘太(現・GMOインターネットグループ)が出した大学記録(1時間7分43秒)を大きく塗り替える力走。順位は2つ下げたが、3区のヴィクター・キムタイ(2年)ですかさず3位に上がった。

広告の下にコンテンツが続きます

4区も順位をキープし、いよいよ山本へタスキが渡る。前回大会で“山の妖精“の愛称が一躍有名になった山本は、大会前は「自らの区間記録を更新したい」と意気込んでいた。ただ、小田原中継所では冷たい雨が降っており、櫛部監督からも「記録よりは自分との戦いだ」と言われていた。

山本も総合3位を達成するため、「区間記録を意識せずに走った」と話す。しかし、山を駆け上がるにつれて身体が動くようになり、2位の駒大との差をどんどんと詰めていく。最終的には1時間9分14秒と、自ら持っていた記録を50秒更新。3位で芦ノ湖にたどり着いた。2位駒大とは39秒差にまで迫っていた。

復路では7区の林晃耀(3年)が区間5位で走った以外は、いずれも区間ふたケタと我慢の駅伝。それでも、後ろから来る東洋大には追いつかせず、86回大会(11年)、88回大会(13年)の6位を上回り初のトップスリー入りを果たし、メンバーには笑顔が絶えなかった。

広告の下にコンテンツが続きます

櫛部静二監督は予選会を突破して挑んだ前回大会の直前に、「100回大会では総合3位を目標とする」と選手たちに宣言。はじめは半信半疑だった選手たちも、99回大会で9位となりシード権を獲得して自信をつけた。走った選手が全員残った今シーズンはより練習のレベルも上がり、チーム全体の競技力が上がったことで、目標が徐々に現実的なものとなってきた。

科学的な見地から低酸素トレーニングを取り入れ、地道に浸透させてきたことで選手の取り組みも変わってきた。はじめは監督から働きかけないと低酸素室に入らなかった選手たちも、トレーニングの効果を感じるようになってからは自発的に練習に取り入れるようになっていったという。

その成果は駅伝シーズンが終わってから結果として表れ、2月に山本が丸亀ハーフで1時間1分34秒の大学記録を更新。関東インカレ(2部)ではキムタイが5000m、10000mの2冠を獲得し、今回の箱根で9区を務めた平林樹(3年)がハーフマラソンで4位入賞を果たす。6月の全日本大学駅伝選考会はトップで悠々と通過した。夏を経て臨んだ出雲駅伝では3位、全日本大学駅伝も5位とともにチーム最高順位を更新。満を持して箱根駅伝だった。

前回の箱根に出場した選手たちの成長を考えてタイムに当てはめた時に、「トレーニングをしっかりしていけば、3位はいける」と思えるようになったと櫛部監督。「本当に練習どおり選手が走れて、思うようにできたかなというのが正直な感想です」と達成感が言葉からにじみ出る。「4年生が本当にしっかりしていました。箱根駅伝は山が中心だと思うので、やはり山本の存在ですね。主将の野村も1区で良いスタートを切ってくれて、下級生たちも一緒になってやった結果だと思います」(櫛部監督)。

今季は春のトラックシーズンからチームが掲げた目標をほぼ完璧にクリア。1年越しの目標であった箱根でも見事に大願を成就させた。来シーズンは1区の野村、4区の山中秀真、5区の山本、10区の中山侑希と今回のメンバーから4人が卒業する。櫛部監督は「今いる選手を育成しなきゃいけないですし、新しく入ってくる選手たちも強くしていかないといけないと思っています。今回の結果も含めて、マインドの部分を継承して、さらに強くしていかないといけない」と、さらに上のステージを視野に入れて語った。真の意味で強豪校となれるか、城西大のこれからにも注目したい。

文/藤井みさ

◇第100回箱根駅伝(東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km) 第100回大会となる箱根駅伝で、城西大が新たな歴史を彩った。総合10時間52分26秒の3位。タイム、順位ともに大学最高を塗り替えた。また、5区で前回自身の樹立した区間記録を更新した山本唯翔(4年)が大会MVPにあたる金栗四三杯を受賞した。 1区を担当した主将の野村颯斗(4年)が区間3位と好調な滑り出し。すると、2区の斎藤将也(2年)も各校のエースと互角に戦い、区間8位ながら1時間7分15秒と15年に村山紘太(現・GMOインターネットグループ)が出した大学記録(1時間7分43秒)を大きく塗り替える力走。順位は2つ下げたが、3区のヴィクター・キムタイ(2年)ですかさず3位に上がった。 4区も順位をキープし、いよいよ山本へタスキが渡る。前回大会で“山の妖精“の愛称が一躍有名になった山本は、大会前は「自らの区間記録を更新したい」と意気込んでいた。ただ、小田原中継所では冷たい雨が降っており、櫛部監督からも「記録よりは自分との戦いだ」と言われていた。 山本も総合3位を達成するため、「区間記録を意識せずに走った」と話す。しかし、山を駆け上がるにつれて身体が動くようになり、2位の駒大との差をどんどんと詰めていく。最終的には1時間9分14秒と、自ら持っていた記録を50秒更新。3位で芦ノ湖にたどり着いた。2位駒大とは39秒差にまで迫っていた。 復路では7区の林晃耀(3年)が区間5位で走った以外は、いずれも区間ふたケタと我慢の駅伝。それでも、後ろから来る東洋大には追いつかせず、86回大会(11年)、88回大会(13年)の6位を上回り初のトップスリー入りを果たし、メンバーには笑顔が絶えなかった。 櫛部静二監督は予選会を突破して挑んだ前回大会の直前に、「100回大会では総合3位を目標とする」と選手たちに宣言。はじめは半信半疑だった選手たちも、99回大会で9位となりシード権を獲得して自信をつけた。走った選手が全員残った今シーズンはより練習のレベルも上がり、チーム全体の競技力が上がったことで、目標が徐々に現実的なものとなってきた。 科学的な見地から低酸素トレーニングを取り入れ、地道に浸透させてきたことで選手の取り組みも変わってきた。はじめは監督から働きかけないと低酸素室に入らなかった選手たちも、トレーニングの効果を感じるようになってからは自発的に練習に取り入れるようになっていったという。 その成果は駅伝シーズンが終わってから結果として表れ、2月に山本が丸亀ハーフで1時間1分34秒の大学記録を更新。関東インカレ(2部)ではキムタイが5000m、10000mの2冠を獲得し、今回の箱根で9区を務めた平林樹(3年)がハーフマラソンで4位入賞を果たす。6月の全日本大学駅伝選考会はトップで悠々と通過した。夏を経て臨んだ出雲駅伝では3位、全日本大学駅伝も5位とともにチーム最高順位を更新。満を持して箱根駅伝だった。 前回の箱根に出場した選手たちの成長を考えてタイムに当てはめた時に、「トレーニングをしっかりしていけば、3位はいける」と思えるようになったと櫛部監督。「本当に練習どおり選手が走れて、思うようにできたかなというのが正直な感想です」と達成感が言葉からにじみ出る。「4年生が本当にしっかりしていました。箱根駅伝は山が中心だと思うので、やはり山本の存在ですね。主将の野村も1区で良いスタートを切ってくれて、下級生たちも一緒になってやった結果だと思います」(櫛部監督)。 今季は春のトラックシーズンからチームが掲げた目標をほぼ完璧にクリア。1年越しの目標であった箱根でも見事に大願を成就させた。来シーズンは1区の野村、4区の山中秀真、5区の山本、10区の中山侑希と今回のメンバーから4人が卒業する。櫛部監督は「今いる選手を育成しなきゃいけないですし、新しく入ってくる選手たちも強くしていかないといけないと思っています。今回の結果も含めて、マインドの部分を継承して、さらに強くしていかないといけない」と、さらに上のステージを視野に入れて語った。真の意味で強豪校となれるか、城西大のこれからにも注目したい。 文/藤井みさ

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.19

男子20km競歩 古賀友太の補欠登録を解除/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 日本陸連は9月19日、世界陸上男子20km競歩の補欠だった古賀友太(大塚製薬)の登録を解除したと発表した。 古賀は昨年のパリ五輪では8位に入賞。世界陸上の出場を目指してい […]

NEWS 男子4継・日本は2組8レーン! 英国や南アフリカと同組 マイルはボツワナと同じ2組3レーン リレースタートリスト発表/東京世界陸上

2025.09.19

男子4継・日本は2組8レーン! 英国や南アフリカと同組 マイルはボツワナと同じ2組3レーン リレースタートリスト発表/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日〜21日/国立競技場) 東京世界陸上8日目のイブニングセッションで行われる男女の4×100mリレー予選と4×400mリレー予選のスタートリストが発表された。 2019年ドーハ大会以来3大会ぶりの […]

NEWS オレゴン世界陸上100m金・カーリーがドーピング容認大会参加を表明 今季トラブル続きでスポンサー契約も解除

2025.09.19

オレゴン世界陸上100m金・カーリーがドーピング容認大会参加を表明 今季トラブル続きでスポンサー契約も解除

オレゴン世界選手権男子100m金メダリストのF.カーリー(米国)がドーピング容認の大会、エンハンスト・ゲームズに参加することを表明した。陸上からは同大会への登録は初となる。 エンハンスト・ゲームズは26年5月に米国・ラス […]

NEWS 34年の時を超えて 91年東京7位・高野進氏「自分の勝負パターンを見つけた」 400m中島佑気ジョセフの6位入賞を称賛 /東京世界陸上

2025.09.19

34年の時を超えて 91年東京7位・高野進氏「自分の勝負パターンを見つけた」 400m中島佑気ジョセフの6位入賞を称賛 /東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子400mで日本勢34年ぶりとなる決勝に進出した中島佑気ジョセフ(富士通)が44秒62で日本勢過去最高位となる6 […]

NEWS 日本勢34年ぶり400m決勝の中島佑気ジョセフは3連続44秒台で6位 田中希実5000m4大会連続予選突破/世界陸上Day6

2025.09.19

日本勢34年ぶり400m決勝の中島佑気ジョセフは3連続44秒台で6位 田中希実5000m4大会連続予選突破/世界陸上Day6

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、男子400mで日本勢34年ぶりに決勝に残った中島佑気ジョセフ(富士通)は44秒62で6位入賞を果たした。1991年 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top