2023.12.24
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)
第70回(1994年/平成6年)
1区で渡辺と井幡が超高速マッチレースを展開、記念大会で出場枠は「20」に
前年に続く「早山対決」となった記念すべき第70回大会。出場枠が特別に5校増え、20チームによって争われた。
そのチャンスをつかんだ中央学大と関東学院大が初出場を果たし、第1回大会から出場している慶大が10年ぶり、筑波大が5年ぶりに予選会を突破して本戦に進んだ。
レースは早々に前回王者で全日本大学駅伝2連覇中の早大と、出雲駅伝(当時は「出雲くにびき全日本大学招待ロードリレー」)で3連覇を果たした前回2位の山梨学大によるマッチレースとなった。
1区の5km過ぎで早大の渡辺康幸(2年)と山梨学大の井幡政等(3年)が抜け出すと、9km手前で一度は順大の高橋健一(3年)に追いつかれたものの、その後は最後まで一騎打ちへ。
残り2.3kmでスパートをかけた渡辺が1時間1分13秒のスーパー区間新記録を樹立。井幡も従来の区間記録(1時間2分09秒)を上回る1時間1分40秒で続いた。
2区では前を行く早大・花田勝彦(4年)に対し、山梨学大のステファン・マヤカ(2年)が猛烈な追い上げを見せる。9km地点で追いつくと、13km手前で花田がわき腹を抑えながら後退。マヤカは1時間7分34秒の区間タイ記録でトップ中継を果たし、花田は13秒差でタスキをつないだ。
3区では社会人経験のある山梨学大の23歳・中村祐二が早大・小林雅幸とのルーキー対決を制し、区間賞を獲得。その差を32秒に広げた。
4区では早大の武井隆次(4年)が史上13人目となる4年連続区間賞の偉業を達成したものの、その差は10秒詰まっただけ。5区では下山一彦(4年)が区間賞を獲得した山梨学大が後続を突き放して往路優勝を手にした。
6区でも藤脇友介(2年)が区間2位と好走した山梨学大は、2位に上がった順大に4分15秒、3位・早大とは4分33秒ものセーフティーリードを構築。以降も危なげない継走で、史上初めて11時間を切る10時間59分13秒で2年ぶり2度目の総合優勝を達成した。往路・復路ともに制する完全優勝だった。
2位は前回王者の早大。3位には順大が入り、前回3位の中大が4位と順位を落とした。2区以降、上位4校の順位変動がほとんど起こらない(6区で早大と順大が一時的に入れ替わっただけ)珍しい大会となった。
5位は11年ぶりに過去最高成績に並んだ東海大、7位の神奈川大も43年ぶりの過去最高タイだった。
参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
第70回(1994年/平成6年) 1区で渡辺と井幡が超高速マッチレースを展開、記念大会で出場枠は「20」に
前年に続く「早山対決」となった記念すべき第70回大会。出場枠が特別に5校増え、20チームによって争われた。 そのチャンスをつかんだ中央学大と関東学院大が初出場を果たし、第1回大会から出場している慶大が10年ぶり、筑波大が5年ぶりに予選会を突破して本戦に進んだ。 レースは早々に前回王者で全日本大学駅伝2連覇中の早大と、出雲駅伝(当時は「出雲くにびき全日本大学招待ロードリレー」)で3連覇を果たした前回2位の山梨学大によるマッチレースとなった。 1区の5km過ぎで早大の渡辺康幸(2年)と山梨学大の井幡政等(3年)が抜け出すと、9km手前で一度は順大の高橋健一(3年)に追いつかれたものの、その後は最後まで一騎打ちへ。 残り2.3kmでスパートをかけた渡辺が1時間1分13秒のスーパー区間新記録を樹立。井幡も従来の区間記録(1時間2分09秒)を上回る1時間1分40秒で続いた。 2区では前を行く早大・花田勝彦(4年)に対し、山梨学大のステファン・マヤカ(2年)が猛烈な追い上げを見せる。9km地点で追いつくと、13km手前で花田がわき腹を抑えながら後退。マヤカは1時間7分34秒の区間タイ記録でトップ中継を果たし、花田は13秒差でタスキをつないだ。 3区では社会人経験のある山梨学大の23歳・中村祐二が早大・小林雅幸とのルーキー対決を制し、区間賞を獲得。その差を32秒に広げた。 4区では早大の武井隆次(4年)が史上13人目となる4年連続区間賞の偉業を達成したものの、その差は10秒詰まっただけ。5区では下山一彦(4年)が区間賞を獲得した山梨学大が後続を突き放して往路優勝を手にした。 6区でも藤脇友介(2年)が区間2位と好走した山梨学大は、2位に上がった順大に4分15秒、3位・早大とは4分33秒ものセーフティーリードを構築。以降も危なげない継走で、史上初めて11時間を切る10時間59分13秒で2年ぶり2度目の総合優勝を達成した。往路・復路ともに制する完全優勝だった。 2位は前回王者の早大。3位には順大が入り、前回3位の中大が4位と順位を落とした。2区以降、上位4校の順位変動がほとんど起こらない(6区で早大と順大が一時的に入れ替わっただけ)珍しい大会となった。 5位は11年ぶりに過去最高成績に並んだ東海大、7位の神奈川大も43年ぶりの過去最高タイだった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)第70回箱根駅伝総合成績をチェック
●総合成績 1位 山梨学大 10時間59分13秒 2位 早大 11時間03分42秒 3位 順大 11時間08分06秒 4位 中大 11時間13分18秒 5位 東海大 11時間20分27秒 6位 専大 11時間21分06秒 7位 神奈川大 11時間21分36秒 8位 日体大 11時間22分25秒 9位 日大 11時間23分15秒 10位 法大 11時間23分38秒 11位 駒大 11時間26分55秒 12位 亜細亜大 11時間26分57秒 13位 東農大 11時間28分17秒 14位 国士大 11時間29分08秒 15位 東洋大 11時間36分02秒 16位 中央学大 11時間38分35秒 17位 関東学院大 11時間43分42秒 18位 大東大 11時間45分07秒 19位 慶大 11時間48分32秒 20位 筑波大 11時間48分40秒 ●区間賞 1区 渡辺康幸(早大) 1時間01分13秒 2区 S.マヤカ(山梨学大) 1時間07分34秒 3区 中村祐二(山梨学大) 1時間04分22秒 4区 武井隆次(早大) 1時間03分28秒 5区 下山一彦(山梨学大) 1時間13分08秒 6区 北口学(亜細亜大) 1時間00分13秒 7区 小林正幹(早大) 1時間03分44秒 8区 榎木和貴(中大) 1時間06分31秒 9区 安永淳一(順大) 1時間10分17秒 10区 尾方剛(山梨学大) 1時間04分58秒
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.12.04
田中希実がオムロンとパートナーシップ契約締結 23年からセルフケアで機器を愛用
-
2024.12.04
-
2024.12.03
-
2024.12.01
2024.11.10
全国高校駅伝の都道府県代表出そろう!男子前回Vの佐久長聖、2位・倉敷ら駒進める
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
2024.11.06
駅伝シーズンに向け、ナイキの「EKIDEN PACK」コレクションが登場!
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.04
やり投・北口榛花が日本陸連アスリート・オブ・ザ・イヤー!室伏広治に続き2人目の2年連続受賞
日本陸連は12月4日、日本陸連アスレティックス・アワード2024の受賞者を発表し、最優秀選手に当たる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に、女子やり投の北口榛花(JAL)が選ばれた。昨年に続いて2年連続は、2011、12年の […]
2024.12.04
田中希実がオムロンとパートナーシップ契約締結 23年からセルフケアで機器を愛用
オムロン ヘルスケア株式会社は、女子中長距離の田中希実(New Balance)とパートナーシップ契約を締結したと発表した。 1500m、5000mの日本記録保持者で、東京五輪・パリ五輪代表の田中。23年頃に股関節の繊細 […]
2024.12.04
富士通にブダペスト世界陸上代表・山本亜美と東京世界陸上標準突破の井之上駿太が加入!400mHホープが名門へ
12月4日、富士通はホームページで、来年4月1日付で男子400mハードルの井之上駿太(法大)と女子400mハードルの山本亜美(立命大)の2人が入社することを発表した。 井之上は大阪府出身。中学時代は100mや200mに取 […]
2024.12.04
アトランタ五輪女子円盤投金メダルのヴィルダ氏が死去 55歳 パラアスリートとしても活躍
1996年アトランタ五輪女子円盤投の金メダリスト、イルケ・ヴィルダ氏(ドイツ)が12月1日に亡くなった。55歳だった。 ヴィルダ氏はライプツィヒに生まれ、ドイツ統一前は東ドイツ代表として競技していた。1988年に投げた7 […]
2024.12.04
五輪代表・飯塚翔太が東ティモールで子どもと交流 3年連続JICA活動「スポーツは共通言語」
リオ五輪男子4×100mリレー銀メダリストで、今夏のパリ五輪200m代表の飯塚翔大(ミズノ)が12月4日、訪問先の東ティモールからオンラインで現地の活動について報告会見を行った。 独立行政法人国際協力機構(JICA)が主 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会