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2023.11.05

古豪・大牟田が涙の復活 激闘の末に3年ぶり都大路へ 女子は中盤でリードした北九州市立が2年ぶりV/福岡県高校駅伝
古豪・大牟田が涙の復活 激闘の末に3年ぶり都大路へ 女子は中盤でリードした北九州市立が2年ぶりV/福岡県高校駅伝

1位フィニッシュする大牟田・本田(左)と北九州市立・中村

全国高校駅伝(12月24日/京都)の出場権を懸けた福岡県高校駅伝が11月4日、嘉麻市の嘉麻総合運動公園周辺コースで行われ、男子(7区間42.195km)は大牟田が2時間6分55秒で3年ぶり40回目、女子(5区間21.0975km)は、北九州市立が1時間11分37秒で2年ぶり8回目の優勝を果たした。

気温25度と夏のような暑さのなかでスタートした男子は、7人の平均タイムが出場校ナンバーワンの大牟田が勝負強さを見せた。1区(10km)。大牟田はインターハイ1500m覇者の谷本昴士郎(3年)を起用し、区間賞(30分07秒)の自由ケ丘・佐藤恵伍(3年)から5秒差の2位発進。前年優勝の福岡第一は大牟田から2秒差の3位でつなぐ。

2区に入ると、大牟田は野﨑想(3年)が自由ケ丘を逆転してトップを奪い、3区の山口翔輝(3年)が区間賞で34秒リード。だが、4区で福岡第一の2年生エース・辻誉に猛追され、同タイムながらわずかに先行されて中継。5区では2秒先行される展開となった。だが、6区で形勢が逆転する。中盤から大牟田・松田祐真(2年)が飛び出し、21秒先着して最終区へ。アンカーの本田桜二郎(1年)も松田に続く区間賞でリードをさらに広げた。2位の福岡第一とは28秒差。地区代表を含め、3年ぶり44回目の都大路行きを決めた。

大牟田は過去2年間、全国大会でも入賞を狙うチームを作りながら、県大会でアクシデントやブレーキが重なって都大路を逃している。

駅伝で勝つことの難しさを体感し続けてきたエースの谷本は、本田がフィニッシュした瞬間から感情を抑えきれず泣き崩れた。「今年こそはという気持ちで練習を重ねてきたので、まだ終わりじゃないけど、一つの区切りとしてほっとした気持ちで涙が出ました。まだ伸びしろがあるチームなので、もっと都大路に向けて努力していきたいです」と話した。

3年ぶりのため、全員が初めての都大路となるが、個の力は十分ある。全国優勝5回を数える古豪が、今度は全国の舞台で復活のレースを見せられるか注目だ。

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女子は、今年も北九州市立がライバル・筑紫女学園との激しい戦いを展開した。

1区の下森美咲(3年)は、19分58秒でトップ中継した筑紫女学園・金森詩絵菜(2年)から5秒遅れ。しかし、今季1番の成長株だという2区(4.0975km)の長町くらら(2年)が中間点で逆転する。13分40秒の区間賞で、筑紫女学園に8秒リードした。その後も強さを発揮。3区以降も北九州市立が連続区間賞を奪い、最終的にはライバルに47秒差リードした。全国大会は地区代表を含めて2年ぶり12回目の出場となる。

前回大会は、1区で26秒リードしながらも、3区途中で筑紫女学園に逆転を許し、涙の敗戦となった北九州市立。その悔しさを晴らそうと、この1年は何度もコースの試走を繰り返し、補欠を含めた全員がベストの状態で当日を迎えようと団結を深めてきた。

アンカーを務めた1年生の中村愛琉は「先輩たちの悔しさを晴らすことができてうれしいです。毎日の練習から部員全員で円陣を組んで、気持ちを一つにしてから練習してきました。全国高校駅伝では絶対に(学校過去最高を上回る)3位入賞を果たしたいです」と次の目標へ持ちを高めていた。

全国大会は12月24日、京都市のたけびしスタジアム京都を発着点に行われる。記念大会となる女子は都道府県代表に加え、地区代表も出場する。

文/田端慶子

全国高校駅伝(12月24日/京都)の出場権を懸けた福岡県高校駅伝が11月4日、嘉麻市の嘉麻総合運動公園周辺コースで行われ、男子(7区間42.195km)は大牟田が2時間6分55秒で3年ぶり40回目、女子(5区間21.0975km)は、北九州市立が1時間11分37秒で2年ぶり8回目の優勝を果たした。 気温25度と夏のような暑さのなかでスタートした男子は、7人の平均タイムが出場校ナンバーワンの大牟田が勝負強さを見せた。1区(10km)。大牟田はインターハイ1500m覇者の谷本昴士郎(3年)を起用し、区間賞(30分07秒)の自由ケ丘・佐藤恵伍(3年)から5秒差の2位発進。前年優勝の福岡第一は大牟田から2秒差の3位でつなぐ。 2区に入ると、大牟田は野﨑想(3年)が自由ケ丘を逆転してトップを奪い、3区の山口翔輝(3年)が区間賞で34秒リード。だが、4区で福岡第一の2年生エース・辻誉に猛追され、同タイムながらわずかに先行されて中継。5区では2秒先行される展開となった。だが、6区で形勢が逆転する。中盤から大牟田・松田祐真(2年)が飛び出し、21秒先着して最終区へ。アンカーの本田桜二郎(1年)も松田に続く区間賞でリードをさらに広げた。2位の福岡第一とは28秒差。地区代表を含め、3年ぶり44回目の都大路行きを決めた。 大牟田は過去2年間、全国大会でも入賞を狙うチームを作りながら、県大会でアクシデントやブレーキが重なって都大路を逃している。 駅伝で勝つことの難しさを体感し続けてきたエースの谷本は、本田がフィニッシュした瞬間から感情を抑えきれず泣き崩れた。「今年こそはという気持ちで練習を重ねてきたので、まだ終わりじゃないけど、一つの区切りとしてほっとした気持ちで涙が出ました。まだ伸びしろがあるチームなので、もっと都大路に向けて努力していきたいです」と話した。 3年ぶりのため、全員が初めての都大路となるが、個の力は十分ある。全国優勝5回を数える古豪が、今度は全国の舞台で復活のレースを見せられるか注目だ。 女子は、今年も北九州市立がライバル・筑紫女学園との激しい戦いを展開した。 1区の下森美咲(3年)は、19分58秒でトップ中継した筑紫女学園・金森詩絵菜(2年)から5秒遅れ。しかし、今季1番の成長株だという2区(4.0975km)の長町くらら(2年)が中間点で逆転する。13分40秒の区間賞で、筑紫女学園に8秒リードした。その後も強さを発揮。3区以降も北九州市立が連続区間賞を奪い、最終的にはライバルに47秒差リードした。全国大会は地区代表を含めて2年ぶり12回目の出場となる。 前回大会は、1区で26秒リードしながらも、3区途中で筑紫女学園に逆転を許し、涙の敗戦となった北九州市立。その悔しさを晴らそうと、この1年は何度もコースの試走を繰り返し、補欠を含めた全員がベストの状態で当日を迎えようと団結を深めてきた。 アンカーを務めた1年生の中村愛琉は「先輩たちの悔しさを晴らすことができてうれしいです。毎日の練習から部員全員で円陣を組んで、気持ちを一つにしてから練習してきました。全国高校駅伝では絶対に(学校過去最高を上回る)3位入賞を果たしたいです」と次の目標へ持ちを高めていた。 全国大会は12月24日、京都市のたけびしスタジアム京都を発着点に行われる。記念大会となる女子は都道府県代表に加え、地区代表も出場する。 文/田端慶子

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