HOME 国内、日本代表

2023.07.14

秦澄美鈴「まだ信じられません」女子走幅跳17年ぶり日本新はワールドクラスの快記録 /アジア選手権
秦澄美鈴「まだ信じられません」女子走幅跳17年ぶり日本新はワールドクラスの快記録 /アジア選手権

23年アジア選手権走幅跳で6m97の日本新を樹立した秦澄美鈴

◇第25回アジア選手権(7月12日~16日/タイ・バンコク)3日目

アジア選手権の3日目午後セッションが行われ、女子走幅跳で秦澄美鈴(シバタ工業)が6m97(+0.5)の日本新で金メダルに輝いた。

広告の下にコンテンツが続きます

ついに、その瞬間が訪れた。2位でトップ8に入り、4回目の6m74(+1.7)で首位に。迎えた最終跳躍は、「助走も良くて、踏み切り板も遠くも近くもなくて、パコーンと」踏み切りが決まった。

弾けるように空中へ跳び出すと、今までよりも一段大きな放物線を描き、「7m」の表示付近に着地した。今季、ここまでに同じシーンが2度あったが、いずれもファウルの赤旗が上がっている。しかし、今回は白旗が上がった。そして、記録が表示される。「6m97」――。

何度もガッツポーズを繰り返し、飛び上がって歓喜を爆発させた秦。2006年に池田久美子(スズキ)が作った日本記録を17年ぶりに更新。日本女子走幅跳待望の大台にあと3cmと迫る大ジャンプは、ブダペスト世界陸上参加標準記録(6m85)を軽々と突破し、パリ五輪の同記録(6m86)をもクリアした。今季世界リストでは4位、昨年のオレゴン世界選手権では3位に相当する大飛躍だ。

「今までは高く浮くだけ、前に抜けるだけという跳躍が多かった」と言うが、「それが両方できた感じ」とその跳躍を振り返り、「まだ信じられません」。

広告の下にコンテンツが続きます

これで、2大会連続の世界陸上は決定的に。初出場だった昨年のオレゴン世界陸上では、力を発揮し切れずに予選敗退に終わった。世界での経験不足を痛感し、今年は冬から積極的に国内外の試合をこなしてきた。

2月のアジア室内選手権では6m62の室内日本新で金メダルを獲得し、その後は豪州やシンガポールなどの遠征もこなす。国内では5月3日の静岡国際で、日本歴代4位だった当時自己記録を8cm更新する6m75をジャンプ。4月の兵庫リレーカーニバルや、5月のセイコーゴールデングランプリでは、ファウルながら7m付近に着地するジャンプを繰り出していた。

ただ、日本選手権は3連覇を飾ったものの、「記録を意識し過ぎて」走りのタイミングやリズムを崩していたという。今大会までに技術的な修正と、冷静に臨むことを確認。アジアの舞台で、「自分の跳躍だけに集中できました」と胸を張る。

それでも、改めて「これで世界と戦うスタートライン」と足元を確認する。この日も3回目を終えて2位だったように、「まだ3回目までに記録を残せていない」と反省。そのうえで、「6m70~80を安定させた」と課題を口にした。

1年かけてスケールアップし、再び世界の舞台へと戻る。目指すはファイナル。この日のように「自分の跳躍」をすれば、おのずと道は開けるはずだ。

◇第25回アジア選手権(7月12日~16日/タイ・バンコク)3日目 アジア選手権の3日目午後セッションが行われ、女子走幅跳で秦澄美鈴(シバタ工業)が6m97(+0.5)の日本新で金メダルに輝いた。 ついに、その瞬間が訪れた。2位でトップ8に入り、4回目の6m74(+1.7)で首位に。迎えた最終跳躍は、「助走も良くて、踏み切り板も遠くも近くもなくて、パコーンと」踏み切りが決まった。 弾けるように空中へ跳び出すと、今までよりも一段大きな放物線を描き、「7m」の表示付近に着地した。今季、ここまでに同じシーンが2度あったが、いずれもファウルの赤旗が上がっている。しかし、今回は白旗が上がった。そして、記録が表示される。「6m97」――。 何度もガッツポーズを繰り返し、飛び上がって歓喜を爆発させた秦。2006年に池田久美子(スズキ)が作った日本記録を17年ぶりに更新。日本女子走幅跳待望の大台にあと3cmと迫る大ジャンプは、ブダペスト世界陸上参加標準記録(6m85)を軽々と突破し、パリ五輪の同記録(6m86)をもクリアした。今季世界リストでは4位、昨年のオレゴン世界選手権では3位に相当する大飛躍だ。 「今までは高く浮くだけ、前に抜けるだけという跳躍が多かった」と言うが、「それが両方できた感じ」とその跳躍を振り返り、「まだ信じられません」。 これで、2大会連続の世界陸上は決定的に。初出場だった昨年のオレゴン世界陸上では、力を発揮し切れずに予選敗退に終わった。世界での経験不足を痛感し、今年は冬から積極的に国内外の試合をこなしてきた。 2月のアジア室内選手権では6m62の室内日本新で金メダルを獲得し、その後は豪州やシンガポールなどの遠征もこなす。国内では5月3日の静岡国際で、日本歴代4位だった当時自己記録を8cm更新する6m75をジャンプ。4月の兵庫リレーカーニバルや、5月のセイコーゴールデングランプリでは、ファウルながら7m付近に着地するジャンプを繰り出していた。 ただ、日本選手権は3連覇を飾ったものの、「記録を意識し過ぎて」走りのタイミングやリズムを崩していたという。今大会までに技術的な修正と、冷静に臨むことを確認。アジアの舞台で、「自分の跳躍だけに集中できました」と胸を張る。 それでも、改めて「これで世界と戦うスタートライン」と足元を確認する。この日も3回目を終えて2位だったように、「まだ3回目までに記録を残せていない」と反省。そのうえで、「6m70~80を安定させた」と課題を口にした。 1年かけてスケールアップし、再び世界の舞台へと戻る。目指すはファイナル。この日のように「自分の跳躍」をすれば、おのずと道は開けるはずだ。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.07.01

ナイト・オブ・アスレティックスに森凪也、塩尻和也らエントリー

世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ブロンズのナイト・オブ・アスレティックス(ベルギー)の男子5000mに、アジア選手権代表の森凪也(Honda)、塩尻和也(富士通)がエントリーした。他にも鶴川正也(GMOインターネッ […]

NEWS MARCH対抗戦が今年は11月22日・町田で開催決定! 箱根駅伝前哨戦の10000m4レース

2025.07.01

MARCH対抗戦が今年は11月22日・町田で開催決定! 箱根駅伝前哨戦の10000m4レース

MARCH対抗戦2025が11月22日に東京・町田ギオンスタジアムで開催されることが決まった。大会を主催するアスリートキャリアセンター絆ランニング倶楽部が7月1日、SNSで発表した。 今年で5回目の開催となり、箱根駅伝に […]

NEWS 貯まったマイルで東京マラソンや東京レガシーハーフへ!「RUN as ONEマイレージプログラム」が9月からスタート

2025.07.01

貯まったマイルで東京マラソンや東京レガシーハーフへ!「RUN as ONEマイレージプログラム」が9月からスタート

東京マラソン財団は7月1日、全国のマラソン大会と連携し、ランニングの新たな楽しみ方を提案する「RUN as ONEマイレージプログラム」を、2025年9月から開始すると発表した。 同プロクラムは2015年にスタートした「 […]

NEWS 九電工のベナード・コエチが6月30日で陸上競技部を退部も退社はせず

2025.07.01

九電工のベナード・コエチが6月30日で陸上競技部を退部も退社はせず

九電工は6月30日付でベナード・コエチが陸上競技部を退部したと発表した。コエチは6月11日に、世界陸連の独立不正監査機関アスリート・インテグリティ・ユニット(AIU)からABP(生体パスポート)の数値が異常値を示したとし […]

NEWS 迷惑撮影根絶へ「断じて容認できない」 選手自身も「自らの行動に責任を持って」日本陸連アスリート委員会が声明

2025.07.01

迷惑撮影根絶へ「断じて容認できない」 選手自身も「自らの行動に責任を持って」日本陸連アスリート委員会が声明

日本陸連のアスリート委員会が7月1日、アスリートの迷惑撮影行為の根絶に向けて声明を発表した。 SNSが発達した近年、特に問題視されるようになったアスリートの迷惑撮影行為。写真や動画が性的目的でSNSやインターネット上に投 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年7月号 (6月13日発売)

2025年7月号 (6月13日発売)

詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会

page top