HOME 高校

2021.12.27

仙台育英が先行逃げ切り策的中 「パーフェクト過ぎる」鮮やかな独走V/全国高校駅伝女子
仙台育英が先行逃げ切り策的中 「パーフェクト過ぎる」鮮やかな独走V/全国高校駅伝女子


全国高校女子駅伝に30年連続30回目の出場となった仙台育英(宮城)。時折雪が舞う都大路を1区から攻め込んだ。主将の米澤奈々香(3年)が真っ先に競技場を飛び出すと、1kmを3分02秒で通過。2km過ぎで常磐・並木美乃(3年)を引き離して、独走態勢に入った。

3kmは9分17秒で通過して、3位の大集団に17秒差をつける。5kmは15分54秒で通過。後続に24秒差とリードをさらに広げていく。最終的には2位以下を30秒以上も引き離して、19分15秒で区間賞を獲得した。

広告の下にコンテンツが続きます

「自分の役割は2位との差を広げること。スタートから飛び出して自分のペースで走ろうと思っていました。最初の五条通りが追い風だったので、速いリズムで走ることができましたね。狙い通り1位で渡すことができましたし、30秒差もついているとは思わなかったのでうれしい気持ちです」(米澤)

2年連続で2区に入った杉森心音(2年)も果敢に飛ばして、中間点を日本人最高記録と1秒差で通過。日本人歴代3位の12分41秒で走破して、リードを56秒に拡大した。

「上級生で2位との差を引き離して、1年生に伸び伸びと走ってもらう作戦でした。昨年失敗したS字カーブを何度も練習しましたし、昨年の経験を生かして走ることができたと思います」(杉森)

3区は昨年1区(区間2位)を務めた山中菜摘(3年)。3月に左脛を骨折して今季は大きく出遅れたが、都大路には間に合わせてきた。そして9分53秒で区間トップ。仙台育英は怒涛の3連続区間賞で1分15秒という大量リードを奪うことに成功した。

広告の下にコンテンツが続きます

「区間賞の走りをすれば優勝にも貢献できると思っていました。目標タイムは9分35秒だったんですけど、風もあってタイム的にはもう少しでしたね。でも自分の力を出し切ることができました」(山中)

4区の渡邉来愛(1年)はインターハイ1500mで9位に入っている選手。第4中継所手前でタスキを落とすアクシデントがあったが、9分23秒の区間2位でカバーした。

「大きなリードがあっても不安でした。でも菜摘先輩の『負けるな』という声を聴いた瞬間に『やるしかない』という気持ちになれたんです。序盤に上った後は、下りなので、とにかく足を止めないことを意識して走りました」(渡邉)

レース前日、釜石慶太監督は「5区に留学生のいるチームには50~60秒のリードが欲しい」と話していたが、4区終了時の2位は留学生のいない薫英女学院(大阪)。しかも、その差は1分16秒もあった。

広告の下にコンテンツが続きます

大量リードを追い風に5区の須郷柚菜(1年)が快調にレースを進める。危なげない走りでヴィクトリーロードとなった5kmを悠々と駆け抜けた。優勝タイムは1時間7分16秒。雪が舞い散る西京極陸上競技場に歓喜の輪が広がった。

「まさか自分がアンカーになるとは予想もしてなかったので不安もあったんですが、1~4区の選手が大差をつけてくれたので、冷静に走ることができました。ゴールテープを切った瞬間はすごくうれしかったです」(須郷)

1年生アンカーを出迎えた米澤は、「昨年は故障者が出るなど直前のトラブルがあって3位に終わりました。今年は万全な状態でスタートラインに立つことができたのが勝因かなと思います」と笑顔が弾けた。

そして釜石監督は、「タスキさえ落とさなければ4区も区間賞だったと思います。パーフェクト過ぎて怖いですね」と選手たちの快走を絶賛した。

広告の下にコンテンツが続きます

仙台育英の5年連続メダルは女子最多5回目の「金」としてエレガントな輝きを放った。

文/酒井政人

全国高校女子駅伝に30年連続30回目の出場となった仙台育英(宮城)。時折雪が舞う都大路を1区から攻め込んだ。主将の米澤奈々香(3年)が真っ先に競技場を飛び出すと、1kmを3分02秒で通過。2km過ぎで常磐・並木美乃(3年)を引き離して、独走態勢に入った。 3kmは9分17秒で通過して、3位の大集団に17秒差をつける。5kmは15分54秒で通過。後続に24秒差とリードをさらに広げていく。最終的には2位以下を30秒以上も引き離して、19分15秒で区間賞を獲得した。 「自分の役割は2位との差を広げること。スタートから飛び出して自分のペースで走ろうと思っていました。最初の五条通りが追い風だったので、速いリズムで走ることができましたね。狙い通り1位で渡すことができましたし、30秒差もついているとは思わなかったのでうれしい気持ちです」(米澤) 2年連続で2区に入った杉森心音(2年)も果敢に飛ばして、中間点を日本人最高記録と1秒差で通過。日本人歴代3位の12分41秒で走破して、リードを56秒に拡大した。 「上級生で2位との差を引き離して、1年生に伸び伸びと走ってもらう作戦でした。昨年失敗したS字カーブを何度も練習しましたし、昨年の経験を生かして走ることができたと思います」(杉森) 3区は昨年1区(区間2位)を務めた山中菜摘(3年)。3月に左脛を骨折して今季は大きく出遅れたが、都大路には間に合わせてきた。そして9分53秒で区間トップ。仙台育英は怒涛の3連続区間賞で1分15秒という大量リードを奪うことに成功した。 「区間賞の走りをすれば優勝にも貢献できると思っていました。目標タイムは9分35秒だったんですけど、風もあってタイム的にはもう少しでしたね。でも自分の力を出し切ることができました」(山中) 4区の渡邉来愛(1年)はインターハイ1500mで9位に入っている選手。第4中継所手前でタスキを落とすアクシデントがあったが、9分23秒の区間2位でカバーした。 「大きなリードがあっても不安でした。でも菜摘先輩の『負けるな』という声を聴いた瞬間に『やるしかない』という気持ちになれたんです。序盤に上った後は、下りなので、とにかく足を止めないことを意識して走りました」(渡邉) レース前日、釜石慶太監督は「5区に留学生のいるチームには50~60秒のリードが欲しい」と話していたが、4区終了時の2位は留学生のいない薫英女学院(大阪)。しかも、その差は1分16秒もあった。 大量リードを追い風に5区の須郷柚菜(1年)が快調にレースを進める。危なげない走りでヴィクトリーロードとなった5kmを悠々と駆け抜けた。優勝タイムは1時間7分16秒。雪が舞い散る西京極陸上競技場に歓喜の輪が広がった。 「まさか自分がアンカーになるとは予想もしてなかったので不安もあったんですが、1~4区の選手が大差をつけてくれたので、冷静に走ることができました。ゴールテープを切った瞬間はすごくうれしかったです」(須郷) 1年生アンカーを出迎えた米澤は、「昨年は故障者が出るなど直前のトラブルがあって3位に終わりました。今年は万全な状態でスタートラインに立つことができたのが勝因かなと思います」と笑顔が弾けた。 そして釜石監督は、「タスキさえ落とさなければ4区も区間賞だったと思います。パーフェクト過ぎて怖いですね」と選手たちの快走を絶賛した。 仙台育英の5年連続メダルは女子最多5回目の「金」としてエレガントな輝きを放った。 文/酒井政人

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.05.08

110mH・泉谷駿介が右ハム違和感のためセイコーGGP欠場 5000m・山本有真、三段跳・森本麻里子も出場見送り

日本陸連は5月8日、セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京(5月19日/東京・国立競技場)の欠場者を発表し、パリ五輪代表に内定している泉谷駿介(住友電工)が右ハムストリングスの違和感のため欠場することを発表した。 […]

NEWS 男子三段跳・テイラーが今年限りでの引退を表明! ロンドン、リオ五輪金メダリスト

2024.05.08

男子三段跳・テイラーが今年限りでの引退を表明! ロンドン、リオ五輪金メダリスト

男子三段跳五輪・世界選手権金メダリストのクリスチャン・テイラー(米国)が今季限りで引退する意向であることを発表した。米国・NBCスポーツが報じている。 テイラーは33歳。12年ロンドン五輪、16年リオ五輪で金メダルを獲得 […]

NEWS マラソン五輪王者・キプチョゲがキプトゥム氏の事故死に対する誹謗中傷を告白 IOCはAI活用し、選手への中傷を監視することを発表

2024.05.08

マラソン五輪王者・キプチョゲがキプトゥム氏の事故死に対する誹謗中傷を告白 IOCはAI活用し、選手への中傷を監視することを発表

男子マラソン前世界記録保持者で五輪2連覇中のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が、昨年10月に世界記録を塗り替えたケルビン・キプトゥム氏の事故死に関与したという憶測から、誹謗中傷をSNSで受けてきたことを明らかにした。 キプ […]

NEWS 【竹澤健介の視点】葛西潤と五島莉乃に感じた「意志」と冷静さ 太田智樹の安定感、前田和摩の潜在能力に驚き/日本選手権10000m

2024.05.07

【竹澤健介の視点】葛西潤と五島莉乃に感じた「意志」と冷静さ 太田智樹の安定感、前田和摩の潜在能力に驚き/日本選手権10000m

静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムを舞台に開催された第108回日本選手権10000m。男子は葛西潤(旭化成)が27分17秒46、女子は五島莉乃(資生堂)が30分53秒31と、ともに日本歴代6位の好タイムで初優勝を飾 […]

NEWS 【高平慎士の視点】男子4×100m、4×400m「収穫ある4位」五輪シードレーン獲得、後手に回ってメダル争いの価値/世界リレー

2024.05.06

【高平慎士の視点】男子4×100m、4×400m「収穫ある4位」五輪シードレーン獲得、後手に回ってメダル争いの価値/世界リレー

バハマ・ナッソーで開催された2024世界リレー(5月4日、5日/日本時間5日、6日)で男子の4×100mと4×400mがパリ五輪出場権を獲得した。初日の予選で、4×100mは38秒10で1着通過して五輪切符を決めると、決 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年5月号 (4月12日発売)

2024年5月号 (4月12日発売)

パリ五輪イヤー開幕!

page top